むじな@金沢よろず批評ブログ

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台湾語入門書1冊目、刊行は来年夏ごろかな?

2008-11-02 01:58:08 | 台湾言語・族群
一昨年ごろから出す出すとアナウンスしていた台湾語入門書。今のところ、練習本文(20課)のうち半分くらいは書いたので、順調に行けば初稿は年末か年始、その後レイアウトや録音の手配などを考えれば、来年夏ごろには出せるかっていう見通しがついた。

本当はそのまま書けば今月中旬には初稿ができていてもおかしくなかったのだが、練習問題や例文を見直して、ちょっと気に食わないところがあったので、全体を見渡したうえで、さらに構成しなおしているところ。

それにしても、語学教材ってのは、面倒。普通の本の20倍は手間と時間がかかる。
普通の本なら、すらすら書けば初稿は1ヶ月程度で仕上がるものなんだが、この語学書はなんだかんだいって構想を立てるのを含めると2年くらいかかってしまっている。というのも、本になったときのレイアウトや構成などもイメージしながら書かないといけないし、間違ったことを書くわけにはいけない(その言語を知らない編集者が校正できない)からだ。いや、別に普通の本は適当に書いているという意味じゃないんだけどね。

また、台湾語の部分は教会ローマ字、漢字(本字にこだわらず通用的なもの)、さらに入門教材であることを考慮して読み仮名をつけて、さらに日本語訳をつけるし、そのつど入力法を切り替えないといけない。これが恐ろしく精神的に消耗する。
初稿段階では入力の便のために教会ローマ字の声調は数字、その他広音はou,鼻音はNで入力し、後でTaiwanese Packageで変換するつもりだが、でも出版社や印刷社側とどうやってやりとりしようってのが、ちょっと悩ましいところ。特に欧州言語などに存在しない記号を含む第8声が問題。

ちなみにローマ字をいまどきの台湾の台湾語界で「共識」になりつつある台湾ローマ字ではなくて、伝統的な教会ローマ字にした。それは、(1)日本語や英語との対照辞典は今のところ教会ローマ字のものが日本人には入手しやすいし、文献も教会ローマ字の蓄積が豊富にあるから、(2)90年代には対立していた教会ローマ字派とTLPA派が、通用ピンインが台頭してきたものだから、合従連衡して政治的に少人数で決めたものだから、はっきりいって密室政治の典型で、その過程が気に食わないから。大体、歴史的に試みられてきた教会ローマ字の多くの「修正版」と同じように、はっきりいって改良になっていない点も気に入らない。
教会ローマ字って、確かに美的にあまり好ましくない部分があるから、誰でも一度は「改良」したくなる衝動にかられる(w)ものらしいが(かくいう私も台湾語を学び始めたばかりのころはそうだった)、しかし王育徳ですら晩年にその馬鹿げた試みを放棄したように、結局、たいした教養も覇気もない後世の人間が、ほとんど神業ともいえるメダースト、ダグラス、バークレー、キャンベルといった天才たちの偉業を否定できるほどの力はないのだ。だから私は現段階での教会ローマ字の「修正」には反対だ。

入門書は全部で5冊シリーズにすることを考えている。
1冊目は台湾語の基礎文法編、2冊目は実用会話編、3冊目が小辞典(3000語くらい?)。
本当は入門書を会話スキットだけにすればいいのだが、会話スキットの台本を考えていると、これまた恐ろしいほどの時間がかかってしまいそうなので、それは後回しにして、とりあえず構造シラバス中心に文法事項を説明するものを書こうというわけ。
で、残りの2冊は、それぞれ「超入門・客家語」「台湾華語実用会話」と題して(もちろん仮題だが)、日本でおそらく初めてとなる台湾客家語の入門書と、日本では本格的なものがない台湾独自の特色を持ったクレオール北京語の基本書にするつもり。
台湾華語は以前は嫌っていたんだが、自分でよく文章を書いていると、台湾語の影響を受けて語彙や文法が独自に発達した独自の言語だと感じるようになった。かなり独特の癖があると思う。日本の巷には台湾華語の本がないわけではないが、なぜか振り仮名が「ウォー・シー」とか「ション・マ」みたいに、台湾華語の音をまったく無視して標準的な普通話の音を転写したものが多いので、憤慨しているわけ。これじゃ、台湾では通じないだろうと。

ま、5冊全部出すまでには、初老になっているかも知れないがw。とりあえず構想。

そういうわけで、現在執筆中の入門書の概要を以下にあげておく。


台湾語入門・Ⅰ(基礎文法編)
目次
第1部:台湾語の概要
 台湾語とはどんな言語か
 台湾語発展史(文学・音楽・運動・政策)
 台湾語とその未来
第2部:文字と発音
第3部:練習
 1 基本挨拶、方言差
 2 イコール文「である」、助詞「も」「すべて」、選択疑問文、所有助詞e5、人称代名詞、国名、職業名
 3 名前や出身地の名乗り方、尋ね方、台湾の地名、台湾人の主な姓、年齢、100までの数詞・序数詞も、挨拶
 4 指示代名詞、付加疑問文・語気助詞、果物名、言語名、身の回りのもの これは何ですか?
 5 所有文・有無句、方向代名詞、所有格助詞、親族名称、数量疑問代名詞
 6 存在文、位置助詞、人称代名詞複数形で所有を示す表現、位置助詞、方向・場所語、道順
 7 動詞文(基本、移動)、助詞、主な動詞、助詞iong,giah、選択疑問文、
 8 形容詞文、程度副詞、程度疑問詞、買い物に使う名詞・動詞、主な形容詞、台湾料理
 9 完了・終了(結果補語の一部)、過去、経験、日(きのう今日あす、週、月、年)、天気、副詞(まだ、もう、すでに、さきほど、いましがた、かつて、しばしば、突然、偶然)
 10 必要、未来、願望、計画、予定、方向動詞と動詞の組み合わせ、千以上の数詞、年月日(日付)、季節、曜日、年号、年齢、疑問詞、休祝祭日、副詞(もうすぐ、やがて、後で、のちほど、はず、おそらく、しばしば、突然、偶然、大体) ←★いま、ココ★
 11 依頼、所要、授受動詞、場所移動地点示す前置詞、時刻・時間、値段、名量詞、交通手段、郵便、副詞(~だけ、の間、してこそ)
 12 能力・可能、gau5~、しやすい、しにくい、残りの結果補語、スポーツ、ホテル、買い物2、身体
 13 禁止、義務、勧奨、許可、「来去」句、重ね動詞、副詞(ちょっと、一緒に、当然、ぜひとも、無理して強いて、先に)
 14 進行、持続、継続(方向補語の一部)、並行、状態の表現、~の時、副詞(ながら、している、依然として、まだ、ずっと、やはり、最中、同時に)
 15 感覚・伝聞・模様の動詞・助動詞・副詞、完全・部分否定、不定疑問文、疑問詞まとめ、たとえば、互いに
 16 仮定・条件文、重ね動詞、疑問詞の特殊用法
 17 可能補語、方向補語(持ってくる、始める)、数量補語・動量詞、様態補語(するのが速い)、関係詞構文、ka7,the3,pang、してしまう
 18 比較文、最上級
 19 受身文、使役文
 20 いろいろな副詞・接続詞・呼応表現(因果、逆説、程度、強調、目的、反実仮想)、擬態語、罵倒の慣用句、感嘆詞、語気助詞まとめ、擬態語と連続変調

各課の構成は

基本例文を5-6
単語説明
文法解説
関連単語
単語置き換え演習
例にもとづいた置き換え演習
台湾語日本語訳 3題
日本語台湾語訳 3題

と、わりとオーソドックスというか、今の基準ではやや古風な感じに。


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台湾語入門・Ⅱ 実用会話編(まだ構想段階)
シラバス:場面および機能シラバス
 挨拶・紹介
 街歩き 道順、買い物
 欲求・計画 勧誘、計画、相談、助言、主張
 話題 回想、慰め、褒める
 礼儀・主張 謝礼、謝罪、言い訳、交渉、抗議
 話し方 人前、電話、わからない、伝達
 読み物 笑い話、童話・民話、随筆、小説、メール、評論、報道
(これ、コレクションフランス語シリーズからヒントを得た構成)


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台湾語入門・Ⅲ 小辞典
小辞典 2000-3000語くらい



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超入門・台湾客家語(仮題)
(簡単な会話スキットと文法解説)
文字と発音
挨拶
基本会話
簡単な文法説明
文型練習


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台湾華語実用会話(仮題)
コンセプト:中国の「普通話」とは違い、台湾語の影響も受けた、台湾で生きている華語、普通話との違いを解説、看板・広告・漫画・日本ドラマ翻訳・新聞表現。
注音符号
発音・語彙の特徴
実用会話

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