月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「ストリート キング」

2008年06月21日 | ◆サ行&ザ行

事前情報なしで試写会で観てきた映画のうちの1本。いつものことながら、事前情報なしで観る映画はまっさらな分ヘンな期待感がないせいか面白さを発見して楽しめる。



映画の中では、冒頭いきなり武器売買の場面。が、キァヌ・リーブスが悪を演じるのは似合わない・・・・。売人たちにヤラレて武器も奪われるが、逃走した相手を追いもせず誰かに電話。どうもヤラレタのも計算のうちらしいと分かる。が、覆面捜査のFBI捜査官役というのではイマイチありきたりで、そうした映画に主演するとは思われず・・・・

さて、どんな映画なのか。わくわくしながら見始めた瞬間から、この映画はサスペンスになる。電話をかけ終えた後、行方不明の少女の広報看板をチラッと一瞥したキァヌ・リーブス、何とその直後、一人犯人宅を襲撃。刑事なら相棒がいてもいいはずだしィ・・・・・と思っていると、いきなり犯人たちの家に侵入し、ドアを蹴るなりいきなり発砲。

そして反撃する暇も与えず居合わせた犯人グループを皆殺しィ。
トイレの中にいた男に対しても容赦なし!ええっ・・・・!と驚いてはいけない。

さらにその隠蔽工作まで手際よく行うキァヌ・リーブス。その手際が実にスムースで慣れている。「手を挙げろ。武器を捨てろ」などと警告しているうちに悪人どもに撃たれる刑事とは違うことに共感。もしかしたら、これってダーティハリーの新バージョンか!?と思っていると、隠蔽工作完了後、壁に鍵がかかったドアを見つけ開けると、何とそこには恐怖で震えて涙を浮かべた二人の少女が檻の中に閉じ込められていた・・・・・

ここで早くも彼の身分が明らかにされる。男は言う。「もう大丈夫だ。僕は警官だよ。もう大丈夫だ・・・・」その眼差しの何と慈愛に満ちていることか。

いきなり侵入し居合わせた全員を撃ち殺したにも関わらず、

「先に相手が撃ってきたから応戦。撃たれたが(防弾チョッキを着ているから)大丈夫だ。少女は無事保護」と彼の上司フォレスト・ウィッティカーは記者発表。キァヌ・リーブスの行為は上司どころか、仲間も了解の上でのことらしいと映画を見ている観客にはわかるが、同僚で元相棒だった刑事グリルだけは、そんなクキァヌ・リーブスには同調しておらず、


(「どんな悪人でも裁判を受ける権利がある」と釘を刺す元相棒。それに対してキバを剥くキァヌ・リーブス)

両者の間には何か感情的なわだかまりがあるらしい。一気に緊張感。誘拐され性的虐待を受けその様子をネットでも流されるという犯罪被害者に向けた慈しみと犯罪者を憎悪を募らせるキァヌ・リーブスだが、アル中一歩手前という状態で、何故だろうと観客は考えさせられる。

犯人を射殺し少女たちを救出したということで一躍町のヒーローとなるキァヌ・リーブスだったが、そんな彼を内務班の刑事たちがすでにマークしていた・・・・・


(町のヒーローとなった刑事に少女救出のときの状況を聞きたがる男)


(なぜ内務班の副署長がオレを・・・・探っている?と疑心暗鬼になるキァヌ)

映画は勢い、違法捜査を承知の上で正義を行うダーティヒーローたちと「どんな犯罪者にも裁判を受ける権利がある」とする刑事たちとの緊張感ある対立という構図になるが・・・・、内務班にキァヌ・リーブスを告発したのは、元相棒だと分かって感情を爆発させるキァヌ・リーブス、パンチの一つも食らわせてやろうとコンビニに入った元相棒の後を追ったところ、強盗犯たちが車で乗り入れる姿を目撃。そんな感情など吹き飛んで「強盗だ!もうじきやってくる」と銃を持ったまま叫ぶが、元相棒は、「オレに銃を向けるな」といきなりもみ合いになる。

そこに入ってきた覆面強盗!店員をいきなり射殺して自分たちの方に迫る!



誤解が解けて応戦すべく振り返る元相棒。それが生きた彼を見る最期になろうとは。商品の陳列棚の影に身を隠しながら、応戦するキァヌ・リーブス!


(えっ、そんな角度から撃ったらまずいでしょ!?)

二人組みの強盗殺人班はそのまま逃走。いかにキァヌでも一人ではどうにもならなかった・・・・元相棒の死・・・・
が、店内に取り付けられていたヴィデオに映っていたのは、殺された元同僚と殴りあい、元相棒が撃ち殺されているとき商品の棚の影に身を隠していたキァヌ・リーブスの姿だった。まずい・・・

「ここに映っている状況を見たら、内務班の連中はどう思う!?お前が殺し屋を雇って元相棒の口を封じたと思われるぞ!」
真実を語るも、上司のフォレスト・ウィッティカーは、ディスクは入っていなかったんだ!と叫ぶ。お前は刑事として必要なんだ!どんなことがあってもお前を守ると語る上司・・・


仲間のことを考えろと諭され、ディスクをポケットに入れるキァヌ・リーブスだったが、殺された元相棒の体からは、三つの異なる銃弾が取り出された。追い詰められるキァヌ・・・・

内務班の捜査が自身に迫る中、元相棒は麻薬がらみの汚職に手を染めていたという情報が入り、車からも大金も発見された。

これで事件は終わりだ。キァヌに容疑がかからぬようこの捜査は終わりだと語る上司は、内務班の副所長とは出世レースを競う関係。上司の思惑がどうであろうと、捜査の手が自身に伸び追い詰められるキァヌ・・・・

キァヌの身辺を執拗に捜査するその内務班の副所長にヒュー・ローリエというのは、なかなか渋くてミステリアス!



「ファンタスティック ウォー」のジョニーこと、クリス・エヴァンスがキァヌ・リーブスの新たな相棒役というのも、なかなか新鮮。

捜査の手が自身に及び、精神的に追い詰められるキァヌだが、相棒の葬儀を経て、コンビニの店員と元相棒を撃ち殺した二人組みの覆面強盗犯人・・・・その追跡を決意する。

殺された元相棒の妻を尋ね、コンビニでの様子を収めたディスクを手渡し、コンビニでの誤射という真実を内務班の若き刑事に打ち明けるや、クリス・エヴァンスが新たな相棒となり、二人は犯人捜査に動き出す。

覆面強盗犯の二人の名前を突き止め、二人の潜伏先を執拗に追跡する二人だが・・・

やっと突き止めたときには、二人組はすでに死体となって発見され、強盗以前に殺されていたことが分かり、



事件は複雑怪奇の相を呈していく。二人は事件の捜査に執念を燃やしていくが・・・・・

最後まで騙されてしまいましたね。サスペンス映画としては最後の最後まで騙されてしまう点で成功していると言えるでしょう

キアヌ・リーブス主演の刑事ものながら、ド派手なアクションやカーチェイスはなく、職業が刑事ということで派生するもろもろの事事象が淡々と描かれる中、妻を亡くし相棒との間でしこりを持つ刑事の仕事上でのタフさと精神的な弱さ、良心との葛藤。それを表情だけで現すキァヌの円熟さも見ごたえありますが、何と言っても捜査を進めるなかで進行して事件の真相の謎に迫るサスペンスが面白い。

何といっても、演技賞は上司のフォレスト・ウィッティカー
迫真の演技でした。

 

そして、クリス・エヴァンスとは対照的は凄みでサスペンスを盛り上げた功績は、やはりこちらでしょう。コモン。そして、ザ ゲーム。

ザ・ゲーム

ザ ゲームもコモンも名前はふざけているけれど、俳優として期待が高まりますね。その存在感には唸らされます。

ということで、この映画「キング ストリート」は、ラップミュージックのリズムとマッチングした展開と、こうしたラップミュージシャンの存在感をうまく登用してるなあということで、監督のデヴィッド・アイラーの感覚の勝ち。おススメです。

それにしても気になるのは、ラスト。
これ、以前観たことがあるぞ・・・という既視感がどうしても拭えなくて。

★ご参考までに。
http://www.foxsearchlight.com/streetkings/


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