月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「サイコハウス」

2008年11月28日 | ◆サ行&ザ行

これも観よう観ようと思いながらそのままになっていた映画の1本です。ラッセル・マルケイ監督が撮ったということで期待していましたが、内容的にはこれはもう間違いなく『揺りかごを揺らす手』の亜流サスペンスで、両方をご覧になった方が驚愕するかもしれません。ですが、それでも最後まで飽きさせることなく観ることができたのは、ラッセル・マルケイ流の映像の魅力。
そして、主人公のベビーシッターのアビー役の女優に興味を抱いたことと、アビーの精神状態は普通ではないけれど、サイコパスの犯罪と言えるような連続殺人を犯していく背景に、彼女の母親が精神異常患者だったということ以上に、彼女アビーが少女時代に受けた虐待が挿入されていたからだろうと思います。

周囲の誰もが親しみや信頼を寄せていくようなベビーシッターが、誰も見ていないところではヒステリー症状となって表情が一変したり、次の瞬間には殺人を何とも思わずに犯していくところはサイコと言えばサイコなのですが・・・・・、思い込みの異常さは、パラノイアといった方がいいような印象です。
そして「彼の妻の座を手に入れる」という最大の目的があってベビーシッターとして入り込んでくるところ、その理由が明らかにされるのはラストにおいてでしたが、日常生活での家事能力の高さや子供たちの世話をする能力、家庭学習を手伝ったり、ちゃんと躾をしたりコミュニケーション能力も高い。そうしたすべてが計算によるものだとしても、好きでもない相手から言い寄られたときの対応は普通の女性と同じだし、誰にも見られないように注意深く殺人を犯すところなどは、相当クールで慎重。相当自己抑制が働いてはいるけれど、異常な程の自己抑制とも思われない生活。ヒステリー症状を呈するのは、お目当ての男性が妻に愛情を示すときだけ。これって、サイコなのだろうかと。
少女時代の虐待のトラウマを抱えながら成人し、いつしかパラノイアという病気を抱えてしまった女性ということなら、サイコって言わないんじゃないかしら・・・・精神病理学的な知識がないので何とも言えないけれど、そんなことを思いながら見ちゃいました。

ラッセル・マルケイ監督は、『バイオハザード3』や『スコーピオン・キング2』といった近作で名前が挙がっていますが、個人的には、好きな俳優でもあるクリストファー・ランバート主演の『ハイランダー』シリーズが好きな作品です。

さて、そのアビーが射止めようという一大決心をしたお相手の弁護士を演じているのは、ウィリアム・R・モーゼス(William・R・Mosese)という俳優です。


(このウィリアム・R・モーゼス、誰かに似ているなァと思ってみていたのですが・・・・・思い出したら、「他人の空似」シリーズにアップしますね。)

妻を愛し仕事復帰をする妻を応援しようとしている夫、子煩悩で仕事を口実に育児から逃げる多くの男性と違って実に家庭的。孤独で男性不審のサイコ女性の心を奪ってしまった理由も、そういったところにありそうで、そんな家庭人としての男性像を好演していました。 

そんな理解のある優しい夫を持った妻に扮するのは、
こちらのゲイル・オグラディ(Gail O'Grady)という女優です。


(2007年制作のこの映画のときは44歳。かなり貫禄がついてきたゲイル・オグラディ)

本作ではかなり小太りになっていましたが、そうした容姿も二人の小学生の子供を持つち、それまで専業主婦として育児と家事とご近所づきあいに明け暮れてきた女性像としてはぴったりかもしれません。そろそろ生きがいだった仕事に復帰したいと考えるやり手の母親役が細身では違和感があったかも。

子供たちがなつき主婦の仕事をほとんど受け持つようになったアビーの存在を、やがて脅威に感じつつも、不安を隠し仕事や仕事の付き合いで育児に割く時間が取れなくなった生活を前向きに考える母親像を好演していました。

そして、このやがてサイコハウスと化す一家にとって、
家族同様になったベビーシッターのアビーを好演していたのが、
こちらのマリアナ・クラヴェーノ(Mariana Klaveno)という女優です。

このマリアナ・クラヴェーノ、
なかなか凄みはありました!



ホラーサスペンス向きというわけじゃないお顔なのですが、
本作では凄まじく怖い人間を演じてみせてくれ、
今後が楽しみだなァと思っています。

カーティス・ハンソン監督の「ゆりかごを揺らす手」が未見の方は、こちらをご覧になってから「ゆりかごを揺らす手」をご覧になるのも面白いかもしれません。個人的には、「ゆりかごを揺らす手」で妻役を演じたアナベル・シオラよりも、本作での妻役のゲイル・オグラディに好感を持ちましたし、「ゆりかごを揺らす手」でベビーシッターとして入り込んで復讐劇を繰り広げる女性を演じたレベッカ・デモ-ネイは、むしろ妻役の方が面白かったと思っているので、そういうヴァージョンがあったら面白いですね♪

ちなみに、
こちらがレベッカ・デモ-ネイです。

いかに怖い表情がぴったりでも、
こんなゴージャスなベビーシッターなんて、
いないですもんね。

 


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