映画冒頭で出てくるこのモーテルの部屋の前でのシーン。正直なところ、この体形から、まさか、まさか、このオンナがアシュレイ・ジャッドであるとはまったく思ってもみなかったし、分からなかった。
タンクトップのシャツにデニムのショートパンツ姿!もう隠しようがないほどの体形で、いかにも人生に何の希望も期待もない年齢不詳の体形の崩れたオレゴン辺りの女性像そのまま。
映画を観終えてからネットで検索したので、これも事前情報ゼロで観ることになった映画です。映画「ツイステッド」や「ダブルジョパディ」同様、いやそれ以上の、アシュレイ・ジャッド体当たり演技と言っていいのはないか。それにしても、
こんな姿の彼女は初めて見ましたね。
トイレのドアを開けっ放しで用を足しているシーンなど、まさに圧巻でした。もう誰にも気遣う気持ちもなし。気にする心もなし。家の中は荒れ放題、人生終わっていると言ってもいいほどの崩れ方です。心が壊れてしまった女性の姿・・・・・それも無理はなく、おいおい明らかにされていくけれども、
愛する息子の突然の失踪。スーパーマーケットで連れ去られて以来懸命に探し続けて10年・・・、働かず酒びたりとなった夫の暴力にヘロインに手を出す生活。妻が酒場で働いたお金を持ち去っては遊んでくる夫も殺人未遂で服役。アシュレイ・ジャッドが演じているのはそんな女性アグネス・ホワイト。
(アシュレイ・ジャッドと女友達RCを演じているリン・コリンズ)
以来、アグネスは女友達と酒場で働きながら、お酒とドラッグの生活・・・・・もう男なんてものは要らない人生。そんな彼女の元に元夫が出所しストーカーのようにつきまとう。
(元夫のジェリー・ゴスを演じているのはハリー・コニック・Jrという俳優)
映画の冒頭は、元夫の暴力への恐れからモーテル住まいをしているアグネス・ホワイトの姿。無言電話に反発しつつも落ち着きがなく脅えている彼女・・・
そこに友達の紹介でピーター・エヴァンスという男が現れる・・・
(ピーターになりきって演じていたマイケル・シャノン!)
二つの孤独な魂が出会い「友人になりたい」という言葉に反応しアグネス・ホワイトは泊まる場所もない得たいの知れないこの男を泊めることになる。ナイーブなイメージだったこのピーター、言葉の端はしに普通の人々では持っていないような知識の片鱗が伺われ、虫にやたらと詳しく、彼は何者だろうと思うや、自分は職業軍人であり、イラクである実験体にされ帰国後収容された施設から逃亡してきたと語るのだが・・・・正体不明の敵に追われているピーター。
このピーターを演じているマイケル・シャノン、もう迫真の演技120%でしたね。
これがホラー映画じゃなければ、彼は暴力亭主から彼女を守るヒーローという役どころで、アグネス・ホワイトならラストは彼女自身が自分を守るという落ちで映画はしゃんしゃん!のはずなのだが、
どっこい、そういう映画ではまったくない。
映画後半のモーテルの室内の様変わり・・・・には驚愕するが、そこで、まさに≪二人の世界≫が完成されようとしていたのだ。
監督はウィリアム・フリードキン。
ううっ、実に怖い映画でした!