月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

ショーン・コネリーのSF「リーグ オブ レジェンド 時空を超えた戦い」

2008年07月15日 | ◆ラ行

滞在している老親と見る羽目になってしまった映画。日本語吹き替え版なので、吹き替えは若山弦蔵。ショーン・コネリートとほぼ同世代のショーン・コネリー専属の声優なれど、その落ち着いた風格のあるバリトン風の低い美声は、映画によってはイマイチ似合わないので、個人的に吹き替え版の映画というのはどうも苦手。いかにつまらない映画でもショーン・コネリーのファンとしてはあの英語が聞かれるだけでOKだったりする。
老親のためなら仕方がないということで2003年制作のアメリカ映画、スティーヴン・ノリントンという監督、ショーン・コネリー主演のSF「リーグ オブ レジェンド 時空を超えた戦い」というつまらない映画を日曜日のゴールデンタイムというのに観てしまった次第。つまらない映画なれど、家族でお茶しながらキッチンに立ったりしてテキトーに見る分には、こういうのも悪くないかもしれない。
そこで、このブログに取り上げるべく、見所をチェックしてみました。余談ながら、ショーン・コネリーって、結構SF映画にも出ているんですよね。

この映画では西欧の子供たちにとってはお馴染みの小説の登場人物たちが集合して悪と戦うという単純なストーリー。
その悪と戦うためにメンバーを召集するのがMというので笑えてしまう。


(Mを演じているのはリチャード・ロクスバーグという俳優で、ここでもう、あ、彼が演じているならMは悪役に違いないと思ってしまうところが何とも・・・・)

というのも、ショーン・コネリーの「007」が所属するイギリス諜報機関がMI6で、007の上司もMと呼ばれる人物だから。実際の組織は、日英同盟の頃に遡る歴史のある首相直属の軍の諜報機関で、冷戦時代はイギリス情報局秘密情報部として暗躍し機関名はSIS。政府機関としては外務省の特務機関(らしい)が、良く分からないところがいかにも諜報機関です。

さて、時は19世紀後半。
イギリスが大英帝国として栄えていた頃の話。

こういう屋敷は、いかにも大英帝国当時のイギリスの邸宅というインテリアですが、ここにMという男から呼ばれて集まるのが、



一人目は、ショーン・コネリー演じる冒険家アラン・クォーターメイン。まるでインディ・ジョーンズのような格好で、映画でもインディ・ジョーンズのパパとして登場しているので、笑ってしまいますが、アラン・クォーターメインってどこかで聞いた名前だと思ったら、冒険小説『ソロモン王の洞窟』の主人公。彼は射撃の名手としての腕を買われて呼ばれたらしい。当時のイギリスが世界各地に持っていた植民地の一つ、アフリカでの冒険から呼び戻されたという設定。

そして、お次は、以下の画像をご覧になればお分かりのように、小説の中の人物、透明人間。ハーバート・ジョージ・ウェルズの小説で一躍世界中を虜にした透明人間ですが、

その小説『透明人間』との関わりなのか、お次も、『宝島』などの冒険小説を書いたロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』から、何とジキル博士。



ジェイソン・フレミングという俳優がジキルを繊細で臆病な紳士として演じる一方で、パワー全開の巨人としてハイドを演じてユニークでしたが、ハイドの方はもう超人ハルクか!?というほど酷似していて、映画『ハルク』にはショーン・コネリーの娘のジェニファー・コネリーが出ていたので、(←【注】二人は親子というのは、私の勘違いでした)特殊メイクやVFXの担当者が同じなのではないかと。こちら(↓)の巨人がジキル博士が変身したときのハイド。

既視感があるのが残念ですね。きっと同じスタッフだわ!と一人で思っていたものです。お次は誰かと思えば、ヴァンパイア。ミナ・ハーカーという役柄で、これも小説『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物。この怪奇小説の作者は、ブラム・ストーカーですが、面白いのは、Mに召集されたメンバーとしてドリアン・グレイが登場すること。
小説『ドリアン・グレイの肖像』を書いたオスカー・ワイルドと彼は、同郷で浅からぬご縁。

この女吸血鬼を演じている女優、どこかで見た顔だと思えども、思い出せなかったのでチェックしてみたら、「バ二シング・ポイント」「ペンタゴン・クライシス 米国防総省の陰謀」というB級映画に出ていました。彼女はオーストラリア出身なので、大英帝国繋がり・・・凝っていますよね。思わず苦笑。

(ミナ・ハーカー役のペータ・ウィルソン。ショーン・コネリーがクリストファー・ランバートと共演した大好きな映画『ハイランダー』だが、そのテレビシリーズが作られたときに出演しているらしいので、そのご縁でショーン・コネリー主演のこの映画に抜擢されたのか。ロック系音楽の映画に出演しているので、その関係かなあといろいろと想像)



そして、この斜に構えたニヒルな美青年こそ、まさにドリアン・グレイそのままといったイメージですね。ちょっと見にはジョニー・デップであるけれど、彼のように崩れた野性味のないこの俳優、スチュアート・タウンゼントという俳優です。彼もまたダブリン出身のアイルランド人俳優で、この映画、イギリス、アイルランド、スコットランドと勢ぞろい。

面白いのは、このドリアン・グレイと女吸血鬼ミナ・ハーカーをかつて恋人同士だったという関係にしていること。何だか、現実(と言っても、小説の中でのイメージですけれど)と想像が入り混じる仮想空間におけるSFというのが見所でしょうか。

そうして、インド人もびっくりの彼。アラブ人かと思ってしまったけれど、ネモ船長でノーチラス号の船長という設定!


(ナセールディン・シャー)

ネモ船長と言ったら『海底2万マイル』の潜水艦の艦長。もちろん、これも小説の中の人物。空想科学称小説の始祖と称されるジュール・ヴェルヌのSF小説だが、私などネモ艦長というと、ジェイムス・メイスンも演じていたなあと思い出してしまうけれど、小説の続編ではネモ艦長はインド人ということになったらしいので、だから、この映画ではインド人なのだろう。かなりそうしたディテールに細かそうな映画だと、こんなところでも感じる次第。このナセールディン・シャーという俳優、なかなかいい感じなのでチェックしてみたら、



この「モンスーン・ウェディング」というインド映画に出ているので、見てみようかなと思いました。

ところで、この映画で笑えるのは、ここにトム・ソーヤーが出てくること。言わずとしれたマーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』の主人公ですが、アメリカの諜報部員というのは無理があるなあと。というか、この映画では、大英帝国の雰囲気だけで締めくくった方が良かったのにと個人的には思いますね。
設定が19世紀後半となっているので、その当時にすでに広く知られた存在になっている架空の人物たちが選ばれていて、単に世界的に有名な小説の主人公や登場人物というのではなく、怪奇小説や冒険小説、SF小説の中からの大集合になっているところは頷けるし、インドやオーストラリアという大英帝国の植民地だったところの出身俳優の起用とか、凝っているなあと思わせるところで止めておいてほしかったですね。

ということで、この映画、以前にも見ているのですけれど、娘に「これ、映画館で見たよね」と指摘されるまで、まさか映画館に観に出かけた映画だったとは・・・そんなこともすっかり忘れていたくいらいなので、内容もどんなだったか忘れていましたが、途中からピアース・ブロスナンの「007」シリーズ、北朝鮮が敵役となる「ダイ・アナザー・デイ」に出てきたような氷の要塞が出てくるので、スタッフは遊び心満載のつもりなのかもしれませんが、ちょっと興ざめしてしまいました。

 

 


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3 コメント

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なぜ。 (かがみ)
2008-07-16 03:06:32
ジェニファー・コネリー(Jennifer Connelly)はショーン・コネリー(Sean Connery)の娘ではありません。
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失礼しました。 (Ms gekkouinn)
2008-07-17 20:28:17
思わず、エッと驚きました。ずっと勘違いしていたようで、今日初めてネットで検索してみました。おっしゃる通りでした。ご訂正ありがとうございました。
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訂正しました。 (Ms gekkouinn)
2008-07-17 20:34:55
今しがた仰せの箇所のところに、原文はそのままにして訂正の一文を【注】で追記致しました。重ねて御礼を申し上げます。
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