月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「レッド サイレン」

2008年05月03日 | ◆ラ行

2002年製作のフランスのアクション映画。
ストーリーにちょっと無理がある点、B級映画かと思ったら、緊迫した銃撃戦と出演者の表情の凄みに惹かれて
つい最後まで観てしまった。

内容のどこ無理があるかというと、映画冒頭のアラブ辺りで暗殺者か狙撃兵か良く分からない男が、誤って少年を撃ち殺してしまうシーンが、その後の展開とうまく結びついていない点。
そして、母親の殺人を映したビデオを見つけて見てしまった少女が、恐ろしさから刑事に助けを求めて警察に来るというその直後の展開で、現れたその母親の設定が、200以上もの会社を経営する財界政界に後ろ盾を持った実力者という取ってつけたような設定なこと。

警察にとって厄介な相手とする必然性がイマイチで、そんな設定をせずとも、警察で「娘は精神を病んでいて作り話をする」「娘の父親はとっくに死んでいない」と言うときの母親エバ役を演じた女優フランセス・バーバーの存在感と表情だけで、十分な気がする。フランセス・バーバーの表情は、まるでサイコホラー映画のような怖さだ。

殺し屋を雇えるだけの財力と組織と権力を持つ母親が、結婚して娘が生まれた当初は普通のとても良い母親だったという設定も無理がある。変貌した理由も背景もまったく分からないままだったし、異常な性格として描いたままの方がよほど説得力があるのではないか。だから、200以上もの会社を傘下に持った非情な権力志向の女性の彼女が、配下の男たちに娘は自分にとって何より大事な存在だと叫ばせる意味もイマイチ説得力がない。

が、そんなちぐはぐなキャラクターの母親役を演じたフランセス・セイバーと、娘の話を信じて母親の魔の手から少女を守ろうとする女刑事役のアーシア・アルジェントの表情の凄みに惹かれてしまった。


この映画は、この二人の女優の凄みの表情が、実に素晴らしい。その点、主役のはずの殺し屋ヒューゴーを演じたジャン・マルク・バールは、イマイチ中途半端な印象で、何だか良く分からない存在感。

そういう内容ではあったけれど、映像的には楽しめました。監督は誰かと思ったら、映画「イグジット」(Exsit)のオリヴィエ・メガトン!道理で・・・という思いで何だか納得してしまいますね。

 

 


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