フランシス・ピカビア、20世紀フランス、ダダ、シュルレアリスム。
これは崩壊した人間の姿の一例である。罪を犯しすぎた人間の霊魂が、それゆえに活動不能に陥り、それを他の霊魂が無理に動かそうとすると、こういうことになる。死んでいるのに生きねばならない馬鹿になるのだ。これに比べれば、ルース・ダポント夫人はまだ嘘をつこうとする意志があるだけましだ。もうここまでくると、人間は何もできなくなる。自分の霊魂は動けないのに、勝手に誰かが自分を動かしている。それを本人の霊魂は感じている。自分がとうとう、自分ではないものになりきってしまった。それが自己存在のこの世界における究極の崩壊なのである。