わたしは 愛の絵本を
閉じる
しばらくの間 閉じる
きみたちのため ずっと読み聞かせていた
青い愛の絵本を 閉じる
風の紙に燃えていた白い光の文字が
しばしの間 静かに黙し
消えてゆく
しばし しばしの間
君たちへの愛を 休む
あまりに疲れ 萎え果てた故に
許せ
わたしは 愛の絵本を
閉じる
きみたちのための 愛の絵本を閉じる
ああ 長い間読んでいたわたしの声を
聞いてくれたものはいたろうか
それはもう どうでもいいことだが
わたしは 愛の絵本を 閉じる
青い愛の絵本を閉じる
青空のような広いページに
満天の星のように灯っていた
静かに燃える
白い炎の文字が
しばしの間 消える
暗夜をゆかねばならぬ
君たちを
しばしの間
沈黙の神に たくす