男性を描いた切り絵のシリーズもこれが最後です。この人は、月の世の物語・余編「什」に出て来た、什さんです。
変わった名前ですが、実はこの名、昔わたしが見た夢から来ています。
いつだったかな、夢の中で、白いスーツを着た、とても背の高い美しい男性がわたしのところを訪れて、こういったのです。
「君があんまり小さくてかわいいというので、会いにきた」と。
で、私はどうやらその人のことを知ってるらしくて、なぜかしら、「ああ、什さんがきてくれた」というのです。そのわたしは、什さんと比べると本当に小さくて細くて、背丈は彼の半分くらいしかないのです。顔も胴の細さもまるで子供のようなのだ。
目を覚まして、「什」という字が、十字架に人をはりつけた図を表していると、なぜか気づいた。そして、夢の中に出て来た人が誰であるのかがわかった。
はたして什さんは、ほんとうにわたしのもとにきてくれたのか、それはわかりませんが。
この什さん、とても美しく描けました。男の人の絵を描いて、しばし見とれてしまったのは、「釈尊」の絵を描いて以来ですね。

今回はサービスで下絵もあげてみました。こっちの方がきれいに見えるなあ。