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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

しらたまをくだきて

2008-03-19 13:31:50 | 詩集・貝の琴

しらたまをくだきて
その苦き身の恨みを
見出さむとす
この胸に腐る傷の
たへがたきがゆゑに

こがねなるよろこびの日に
ひとしほ染むる花に
陰なる愚を描かむとす
この骨にこもる傷みの
はげしきがゆゑに

いまいましきこの身の
なきがごとき あるがごとき
たはぶれに
ほろびしものの恨みの
あまりに苦しきがゆゑに

あはれなるものの
たましひをくらひ
我のみがたふとき
くらきたかつきに棲み
ゆふぎりの衣にてよそはむ
星のたまりに去りゆく
神の目をたばからむがために

わが長き月日を織る
機小屋のみづに朽ちゆくを
知らぬ井戸に投げ
あたらしき名にて語らむとす
ことごとく我のほかなるもの
憎きがゆゑに





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ばか

2008-03-18 08:51:17 | 詩集・貝の琴

ばかは ばかって
いわれるのが いやで
ばかになって ばかばっかりで
とうとう ばかになる

ばかになっても ばかがいやで
ばかっていって ばかにして
またばかばっかりで ばかになる
ばかは そればっかりよ

ばかはやめたら いいんだが
やめたら ばかになるって
ばかが いいんだって
ばかを ばかにいいことにして
みんな ばかばっかりにして
ばかだけになったら
ばかかってことになったよ

それでもやめないで ばかやって
ばかやって ばかやって
まだばかやって ばかになっても
ばかになっても ばかやって
まだばかやって
ばかかって ばかやって
やめられなくて ばかだっていって
ばかやって ばかやって
ついには ばかのばかのばかになっても
まだやってるよ

とうとう とうとう
いやんなって
ばかをやめたら ばかになったよ
おれはばかだあって 
ばかになったよ

やっとわかったね


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ごめんなさい

2008-03-10 08:39:54 | 詩集・貝の琴


つらいのは
ばかなことやってしまって
おれがいちばん あほだってことです

がきみたいに
ちっこいことにつまずいて
こんりんざい
いやだってことをやっちまって
おれはおれが
いちばんいやだってことです

みんないやだ みんなあほだっていって
ぜんぶいやなことにして
せをむけて ひとりで
あっぱらぱーなところで
かっこつけて
おれはすげえんだぜって
やってました
みんな あほでした

けっきょく
ぜんぶだめんなって
ばっかねえって
ともだちはみんないっちまって
ひとりで つらいところに
ふきだまって
そらばっかりみてる

とうちゃん かあちゃん
おれはここにいるよ
こんなことになったよ

ぜんぶ あほだけど
おれは 
ゆるしてくれって
いってる
あほみたいにやさしい
かあちゃんのところにかえって
ぜんぶゆるしてもらいたいって

ごめんなさい




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あいしている

2008-03-07 08:59:37 | 詩集・貝の琴

かみさまを あいしている

だって かみさまが
いちばん つらいから

いちばん くるしいから

いちばん さみしいから

それでも
いいんだよと
いってくださるから

すべてを あたえてしまったら
もういっしょにはいられない
こんなにもあいしているから
すべてあげてしまったら
ずっとだいていてあげたくても
いかなくてはならないから

だから かみさまが
いちばん つらい

かみさまの かなしみが
いちばん いたい

だからときどき
あいしてくれなくてもいいって
いうことができたらと おもう
それだったら かみさまは 
らくかしら でも

かみさまは あいしてくれます

ずっと わたしを
すきで いてくれます





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いちばん すきだった

2008-03-03 08:49:05 | 詩集・貝の琴

いちばん すきだったひとは
ながいかみを あんでいた
しろいはなびらの おちるみちで
おれたちは いつもあっていた
そばかすの ほおが
おれのかおを みないのは
すこし おれのことが こわいから

だきしめたいと おもっても
できないほど すきだった
そんなに びじんでもないのに
おれはきみが ずっとすきだった
きみの ちゃいろのかみが
ぶきようなきみのてで あんでいる
かみのかたちが
ふせているまぶたの すきまにゆれる
やさしい まなざしが
すきだった

きみでなければ いやだった

さきみだれる うすべにのはなが
まっしろにみえるほど
おれには なにもわからなくて
せかいが きみだけでいっぱいになるのが
さけびたくなるほど こわかった

きみが だいきらいだといってしまったのは
おれが ばかだったから

とおいむかし いってしまったきみの
よこがおのきおくを ころすために
おれは みんな たべてしまった
なによりも つらかったのは
うそなんだって いえなかったおれが
いちばんきらいだったことだ

あいしてるって いえばよかったのに
ばかなおれが すべてこわした

あいしてるって
いえばよかった


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夢の名残

2008-02-29 08:53:31 | 詩集・貝の琴

いつはりの衣に やすらふ君よ
去りゆくものの 声も聞かず
赤玉のごと 笑ひたりけり

くちびるにひく 苦き紅の
鳥のごとくさかんに 騒ぎたるを
蒼き花の諌めに しづめむとせよ

貝玉を砕きて 白く描きし眉の
風に軽々と 折れゆく
その悲しみを 聞かむとせよ

いたはしき鳥の親の くりかへし
石の雛に 食はさむとして
つかれゆく その眼の翳りを見よ

いつはりの衣に やすらふ君よ
去りゆくものの あまたあるを
玉の面に消ゆる まぼろしに変へ
夢の名残に また酔はむとすなり





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愛は

2008-02-13 08:50:53 | 詩集・貝の琴

愛は 大きすぎて 見えない
強すぎて 弱い

もっとも賢い 一つのことのほかは
何も知らないので
とても 愚かに見える

何にも持っていないのに
すべて持っている

弱すぎて 強い
苦しすぎて 幸せすぎる

さざなみのような ため息ですら
嵐のように 世界を変える

抱きしめようと もがく心を割って
あらゆるものを 生き返らせる

愛しているから それがすべてだと
ただそれだけで
何もかもを やろうとする





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おとこ

2008-02-12 09:11:58 | 詩集・貝の琴

くるしいのは
もうだめだと思って
何もしないからだ
で どうするのかと聞かれたら
何もしない

いつまでもおまえにはりついて
たすけてくれないだろうかと
かんがえている
おれが いやでたまらなくて
いつまでも
おまえばかり いじめている

おれはこの たまらないおれが
たえられなくて
いつもおまえに おしつけてるんだ
おまえがわるいんじゃなければ
おれが いたすぎるんだ
みんな おれがわるいから

くりかえし くりかえし
おなじことばかり
いたいことして おまえをなかして
いやだっていって ばかにして
ぜつぼうてきに きらわれて
また おまえがわるいんだって なかして

おもてうら おもてうら
はらのなかのいたみを よりだして
何かをずっとあんでる おまえがこわくて
おまえなんかぜったいだめだって 
おれはいう

くずれていく 
ばかのいしがきのなかから
あらわれてくるものを 
みられたくなくて

おれはまだ 何もしない

(すきなんだよ)


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我のほかは

2008-02-07 09:25:34 | 詩集・貝の琴

誰や知る 雪のきよきを憎みて
ちまたに塵をまきし 彼の朝のことを

誰や知る 花のあかきを憎みて
錆びたる鎌にちぎりし 彼の夕のことを

痛々しき傷ににじむ 血のかをりに
おまへを軽んじた 彼の夜の闇のことを

あらゆる百合のかなしみに
あをくさのまなざしに
泥の針をまぜ あざ笑はねば
生きてゆけぬ心臓を抱き
幻の城に君臨した 我のこの日々の痛きことを

誰も知らぬ 我のほかは

誰や知る あをき若枝のごとき
ますぐなる指もて それを記すものを

誰や知る いはぬことばにもえ
しづかに怒る花の 我の中に咲くことを

永遠の吐息を
なきものの柱にとぢこめ
死に絶えた貝のうらみに
すべてをとかしてしまひたかった
誰も知らぬ この愚かさを

誰や知る 我のほかに





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ちいさい あめ

2008-02-05 09:31:48 | 詩集・貝の琴

いつも ちいさいことで
すぐ おちこんでしまうのは
ほんとは みんなに
しんせつにしたいからです

きのう ゆりちゃんに
みかんの あめをあげました
でも ゆりちゃんは
たいちくんの そーだあじのがむが
ほしそうでした

そーだあじの がむを
かえば よかった
そーだあじの がむを
あげたら よかった

むねが じりじりして
すぐに ないてしまうのは
ぼくが わるいからです

うちにかえって
ろうかの ひなたで
ねていました
ろうかが きれいに
ひかっています

ぽけっとから あめをだして
たべました
いちごのあじが すっぱくて
ほっぺが ぎゅっと
ちぢまりました 
なみだが でました

でも あまくて
とても おいしかったです

いつか また
だれかに あめをあげたいです






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