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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

さらば

2008-01-14 09:45:11 | 詩集・貝の琴

あをくさをむすびき
きみのかろき足を
折らむがために

にくしみをつちにうめ
どろだまにしてきよめ
赤き嘘語るこの喉につめよ

あをざめた風の
しのびこむ耳につめよ
地にふせし花の
われを見る瞳をとぢよ

あをくさをむすび
たれの足を折らむ
われのなせしわざの
あまたかず
苦き虫となりて
身より生ぜり

あをくさをむすび
その足を折らむ
われに足をあたえよ
きみの足をあたえよ

野のかげにこほりつき
とはのかたりを土にこめ
きみを欠きしこの胸の
洞につめよ
そしてわれは
あをくさをむすばむ
けふもむすばむ
二度と訪はぬきみの夢を
つひにくじかむがために

あをくさを



さらば







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また はじまる

2008-01-01 09:20:47 | 詩集・貝の琴

ひとつ
ひとつしかない ぼくの

ふたつ
ふるさとは どこなのだろう

みっつ
みつめている こころ

よっつ
よくしらない ぼくはぼくを

いつつ
いくものは どこにいく?

むっつ
むだなことでは ないの?

ななつ
なんにも わからない だれかおしえて

やっつ
やってくるものは どこから?

ここのつ
ここにいるよ ぼくは ここにいるよ

とお
とおくから それはくる

じゅういち
とうめいに ひかる
ほしの ささやき

じゅうに
じゆうに やってごらん
あいしているよ

世界をすべて きみにあげるから


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はるか かなた

2007-11-26 10:40:34 | 詩集・貝の琴

はるか かなた
とおく はなれて しまった

ちちの ふところの
ぎんの つぼを
こわしてから
おれは こきょうを すてた
あれのに にじをかき
あふれるほど うそをつき
あたらしい らくえんを
つくる

なにもない きおくの
うつろに わらの
かめんを かぶせ
とうとい ぎんを
灰の 罪で つくる

あらゆる いつわりを
きざんだ たばこに まぜ
どくを さけに うすめ
あまい うたげを
げひんな じょうだんの なかに
かみつぶして ゆく

あらゆるものは ただの
あほう だ
なにもない なにもない
なにもない
は は は は は

はるか かなた
かぜの こえをきく
おれは おれの
みみを つぶす


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風のちょうちょ

2007-08-14 14:48:29 | 詩集・貝の琴

じぶんと かみさまがいれば
なんでもできるよ
あと ともだちがすこしいれば
もっといい

ちっぽけないしをころがして
ゆくみちをきめよう
みえないかべに やまのえをかいて
みんなであるいていこう

なんにもないときには
かぜをちょっとつまんで
ちいさなしわをつくろう
それにいきをふきこむと
かすかなちょうちょができるよ
ほら ちょうちょをおいかけていこう

くるしいかな? くるしいだろう

だれかがとなりでないていたら
くさぶえをつくってふこう
あいしてるよと
とりがそのこころをとどけるまえに
もうこたえがかえっている

あいしてるよ


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遠雷

2007-08-14 09:50:44 | 詩集・貝の琴

嫉妬は 国境の遠雷
城の中の 玉座の王は
はるか彼方に その声をきく

国境のむこうの
美しい藍の国では
人々はみな 玻璃の笛をふき
朝露を織り込んだ
あざやかなみどりの田園を織るという

王は 城の窓から
国を見下ろし
螺鈿細工の 青い鈴の生る
群青の果樹の森が
広々として
わが国にあるのを見る


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田園

2007-08-14 00:45:42 | 詩集・貝の琴

貝を背負った 白いねずみが
天と地のちょうつがいに
油をさしにゆく
世界のきしむ音が
耳について眠れないから

田園を掃く風を車にして
かけていくかけていく
燃えるチョウチョウの翅を透く
光から油はしぼりとった
星々の積む沈黙の夢から
器はきりだした

主のない家が黒々と
田園をくいつぶしてゆく
あふれてくる虚無のためいきに
空気がさびついてゆく

いまこそわたしがゆかねば
いまこそわたしがゆかねば

真空の仮面をかむった
愚かな道化が
世界をたたんでしまう前に
すべての絶望をうちこわして
天地の隙間に両手をつっこみ
それまでいなかった
金の嬰児をこの世にかき出だす

いまこそわたしがやらねば

コメント (2)
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いってしまった

2007-06-29 09:57:15 | 詩集・貝の琴

おとこのこが くるしいのは
おんなのこをいじめる
じぶんが いやだから

おんなのこが くるしいのは
そんなおとこのこの
くるしみが わかってしまうから

えいえんに しらない
かべのむこうで
おとこのこは
いわに じぶんのてを くぎうつ
そらからおちる さけびが
じぶんを くだいてしまえばいい

はたけをたがやす すきを
せかいをくだく ほのおにかえて
おとこのこはいってしまった
いたたまれない 愛のぬけがらを
おんなのこのもとに のこして

くろいしんぞうを そらになげて
あれがたいようだと いいはる
まぼろしのせかいに

いってしまった

コメント (2)
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あごかれの火

2007-06-22 11:39:58 | 詩集・貝の琴

燃やしてははならぬものを燃やし
あこがれの火を焚いた
くべこんだわらの中に
真珠の声をひそめた

だれにも言ってはならぬ
だれにも言ってはならぬ
炎に照らされて明々とうかぶ
その者の顔の中で
うずく傷が虫のようにうごめく

それはすべて
あってはならなかった
あってはならなかった
神の真珠を
薪だとうそをついて燃やした
その煙の中に
世界を巻き込んだ

おれはやってはいない
からっぽの乳母車を押しながら
さまよう女を追いかけて
薄闇の中を見失う

あ い し て い る

いかないでくれ

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ここはすべて

2007-06-15 09:29:06 | 詩集・貝の琴
 
ここはすべて まぼろしの国

すべてあるところに なにもない
なにもないところに すべてある

あさめざめたときに
枕を埋めている砂が
すでに岩のように硬い

歩き始めた足を
包む布の靴が
すでに房のように裂けている

夢見続けていたものが
海の上の霧よりも
はかなかったことを
知っていても知りたくはなかった

なにもない世界の岸辺で
めざめてしまえば
すべてが見えてしまうことが
なによりもいやだった

夢とほんとうの間の
開くはずのない亀裂をこじ開けて
あらゆるものをねじこんでしまう
すべてつぶれてしまえばいい
なにもなかったことになればいい

なくなるはずのない自分を
くだきつぶして一筋の
耐えられない声を作る
その声をつぶす
何も聞えない 何も聞えない

(おれはだれだ)



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女ありて

2007-06-01 08:43:01 | 詩集・貝の琴

女ありて 化粧す
へびのごとく首をしならせ
失せし黄金のうらみを
男の背に刺す

女ありて 飯を炊く
闇のごとき釜に火を投げ
苦しき灰をたき
苦き塩を煮る

女ありて つやつくる
珠失せし眼を花にかくし
ほしきものありと
男の耳に蜘蛛をしこむ

女ありて 月をみあぐ
苦しき世に飽いて歌を詠み
衣の裏にかくしつつ
男の捕りし魚を喜ぶ

女ありて 衣をぬう
夫の背の幅をいとしみ
胸に抱く愛のこかごの
あつき小鳥を鳴かす


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