日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北縦断花見の旅 2016続編 - 晩酌

2016-04-24 23:47:29 | 晩酌
11時を少し回ったところでぼんぼりと投光器が一斉に消えました。しかし、岩手公園と違って街灯はついています。まだ入れる呑み屋もあるにはある状況ながら、公園のベンチで一献やるには今夜がまたとない機会です。一旦宿に戻って機材を置き、コンビニで買い出ししてから出直してきました。選んだのは三の丸の通称ピクニック広場です。
ソメイヨシノ、エドヒガン、八重紅枝垂、八重桜、さらには聞いたこともない変わり種まで様々な桜が揃う、桜の見本市とでもいうべき一角がここです。飲み食いできる区画がいくつかある中、照明に浮かび上がるエドヒガンの大木が決め手になってここを選びました。消灯直後は地元の花見客が若干残ってはいたものの、今は人っ子一人見当たりません。広場を借り切り、右に桜を、左に月を眺めながらの、何とも贅沢な晩酌です。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 弘前の夜桜

2016-04-24 22:12:42 | 東北
河原の駐車場に車を止めれば西濠から、その他の場合は追手門から入るのが弘前公園での常です。今夜は「しまや」に寄ってきたため後者の経路となります。只今杉の大橋を渡って二の丸に入り、大枝垂の前のベンチで一息ついたところです。
外堀の桜が少し散って花筏が浮いている状況とはいえ、本格的に散り出すのは明後日あたりからでしょう。最大勢力のソメイヨシノはもちろんのこと、やや早咲きのエドヒガン、やや遅咲きの八重紅枝垂までが軒並み見頃を迎えているのは、わずか一日前後してもいけない、文字通りの最盛期に重なったということでもあります。しかも空には十六夜の月が出ており、それが桜に重なるというおまけつきです。
こうなると圧倒的という以外の言葉が見つからず、ここまで来るのに一時間を要してしまいました。追手門から二の丸までということは、全体の四分の一にもならないでしょう。つまり、一周すれば四、五時間はかかるということです。夜桜だけで四、五時間ということは、日中も当然同じかそれ以上の時間が要ります。日差しが変わる午前と午後でそれぞれ一周するならば、早朝から深夜まで注ぎ込んでようやく一周という計算です。多少の余裕を見込むなら一日時間を割いても足りず、特に夜桜は二晩かけなければ一周できません。全行程の中で弘前に二昼夜を割り当てたのはそのためでもあるのです。
日曜の晩ということもあり、見物客は次第に引けてきました。しみじみ鑑賞するにはお誂え向きです。一周するのは到底無理な状況ではありますが、とりあえず11時の消灯まで粘ります。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - しまや

2016-04-24 20:33:36 | 居酒屋
本来ならば定休日の日曜だけに、お客が引けたら早仕舞いという事態もあり得るでしょう。ぬか喜びで終わる前にと急ぎ足で店へ向かうと、角を曲がったところで袖看板の明かりが見えてきました。呑み屋街から離れた場所にぽつんと佇む店だけに、開いているかどうかが遠くからでもすぐ分かるのは助かります。
暖簾をくぐるとまず店主、それに前回も世話になった札幌出身のお姉さんと、新顔のお姉さんの三人組が迎えてくれました。花見の最盛期ということもあり、今日は万全の布陣を敷いたのでしょう。とはいえ店内は既に落ち着いてきており、先客はカウンターの中程の三人組だけです。前回訪ねたとき特等席だと評したカウンターの玄関側が空いていたため、そこに迷わず着席しました。
何分夜桜見物の前です。呑むといっても手短に済ませければなりません。そのような状況下には、この店が結果としてはお誂え向きでした。目の前にある惣菜をいくつか指せばすぐさま供され、それをいただきつつ黒板にある品を注文しておけば、肴が来るのを待つ必要がないからです。そのようにして惣菜三品と貝焼味噌をいただき、小一時間の滞在で席を立ちました。

しまや
弘前市元大工町31-1
0172-33-5066
1500PM-2200PM(LO)
日曜定休

酒二合
鶏肉と筍の煮物
茄子煮付け
うど酢味噌和え
貝焼き味噌
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 弘前到着

2016-04-24 20:20:56 | 東北
松尾八幡平から安代までと、鹿角八幡平から碇ヶ関までが東北道、あとは一般道を経由して弘前に着きました。気温は11.5度、昨夜の盛岡よりやや冷えるものの、無風のためさほど寒くは感じません。長袖シャツを羽織ってちょうどよく感じる気候です。
本来ならば即刻夜桜見物に繰り出し、しかる後に一献というところ、今夜は先に一献傾けます。というのも、ありがたいことに「しまや」が臨時営業していると分かったからです。弘前の第一夜が日曜に重なり、心当たりのある呑み屋が軒並み定休日という状況の中、スーパーの惣菜で晩酌という選択肢も検討していただけに、これは僥倖以外の何物でもありません。
ただし、夜桜見物を控えている関係上、軽く一杯引っかけるだけです。呑み足りなく感じたときは、消灯後にコンビニで缶ビールと肴を買い、公園に持ち込んで晩酌します。満開の桜を眺めつつ、深夜の公園で独り酒を酌むのも悪くはないでしょう。それでは早速行ってきます。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 為内の一本桜

2016-04-24 18:01:51 | 東北
西日が次第に傾き、わずかな残り時間をどう使うかというところ、ここしかないという心当たりが一つだけありました。滝沢から東北道を飛ばし、やってきたのは為内の一本桜です。
この桜を知ったのは去年のことです。弘前を出て小坂に立ち寄った後、やはり日中のわずかな残り時間をどう使うかという局面に遭遇したとき、たまたま手にしたガイドマップに載っていたこの桜が、東北道のICから近そうだったため急遽訪ねたのでした。あらかた散ってはいたものの、塚のような小高い丘の上から空に抜ける佇まいがよく、西の空を背にして影絵になった光景をしばし眺めて、東北での花見を締めくくったというのが当時の顛末です。
一年ぶりに再訪すると、東北道からは記憶していた以上の近さです。松尾八幡平で下り、県道に合流してまっすぐ走ると、五分も経たないうちに桜が見えてきました。その桜は小岩井と同様昨日か今日にようやく開花したと見え、これなら花盛りは大型連休前半に重なりそうです。
結局小岩井でもここでも見頃にはまだ早かったわけであり、実質的な収穫は盛岡の桜だけだったともいえます。しかし、場所を選べば来週いっぱい花見ができると分かっただけでも収穫には違いありません。車を置いて一時帰京し、連休前半まで花見を延長することがほぼ確定的になりました。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 小岩井の一本桜

2016-04-24 16:43:55 | 東北
続いて訪ねるのは石割桜と並ぶ岩手の桜の代名詞、小岩井の一本桜です。ソメイヨシノに比べて開花の早いエドヒガンだけに、こちらはもう見頃だろうと思って乗り込むと、意外なことに開花すらしていませんでした。吹きさらしの草原に立つ桜だけに、周囲の桜の中でも特に開花が遅れるのでしょうか。とはいえ、岩手山を右に、なだらかな草地に立つ一本桜を左に置いた非対称の絵柄は完成し尽くされています。右から左へ流れるような岩手山の稜線と、それと相似形をなすかのごときなだらかな草地との組み合わせがまたよいのです。花見云々を抜きにしても楽しめる光景です。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 小岩井農場

2016-04-24 16:17:06 | 東北
さくら名所100選にも列せられる盛岡随一の名所といえば高松の池です。もちろん次はここだと考えていました。ところが現地へ乗り込むと、駐車場へ続く車の列が半端ではありません。駐車場へ入るまでに下手をすれば小一時間消費しそうな状況です。これではとりつく島がなく、あえなく退散してきました。
夜桜の時間に訪ねたことはあり、早朝とはいえ一周したこともあります。そのときの経験があるだけに、これほどまでに混む場所という記憶はありませんでした。実際のところ、ほぼ全ての車が県内ナンバーだったことからしても、高遠、弘前などと別物なのは明らかです。おそらくは、駐車場が一ヶ所しかない、そこへ至る道が一本しかないといった構造的な問題なのでしょう。行くなら朝しかないということはよく分かったため、次回以降の参考とします。
そのようなわけで、盛岡市街を後に小岩井へやってきました。近辺はもちろんのこと、東北の平地で最も遅く開花する場所の一つがここです。盛岡市内で散りかけていたソメイヨシノは、昨日か一昨日あたりにようやく開花し始めたと見え、まだ五分咲きにも至っておらず、見物客も三々五々やってくる程度に過ぎません。ここなら連休前半までは辛うじて花見ができるのではないでしょうか。一時帰京から復帰したとき、最後をここで飾ることも検討します。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 岩山公園

2016-04-24 14:25:53 | 東北
午後からは盛岡の中心街を離れて周辺の名所を訪ねます。まず立ち寄るのは岩山公園です。桜というより、岩手山を一望する絶景で知られ、以前訪ねたときの眺めが忘れられずに再訪に至りました。
その結果気付いたのは、以前立ち寄ったのが展望台だとばかり思っていたはずが、展望台はそれよりさらに高い場所にもあり、そちらの眺めは一段と開けているということです。正面に鎮座する岩手山に加え、左の方へ八幡平の稜線が連なり、手前には盛岡市街が広がります。しかもただ広がっているのではなく、盛岡駅、岩手公園などの目印が見分けられ、市街の全体を手に取るように見渡せる好眺望です。八幡平の下には駅の前後を左右に貫く新幹線の高架も見えており、列車が来れば八幡平を背景にした大俯瞰になるかもしれません。
惜しむらくは、市街の東から西方向を眺める展望台のため、時間が経てば経つほど逆光気味になっていくことです。加えて、桜が所々にありながら、主役の岩手山と重なる絵柄がほとんどないのも惜しまれます。しかし、なだらかな斜面にソメイヨシノとエゾヤマザクラが混じって咲く光景は、自身知る中では松本のアルプス公園を彷彿させ、訪れる人もまばらな長閑さも好ましいものがあります。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 食道園再訪

2016-04-24 12:11:21 | B級グルメ
岩手公園を一周すると11時半になりました。腹ごしらえして宿に戻れば、駐車場の利用時間を余すことなく使い切るという状況です。この先時間が経てば経つほど忙しくなり、飲み食いどころではなくなってくるでしょう。切りのよいところで腹ごしらえを済ませておきます。岩手公園の近くという条件からして、またも「食道園」に落ち着きました。
冷麺より焼肉が主とはいえ、昨日の今日ということもあり冷麺を選びました。ここで冷麺をいただくというと焼肉とセットの半分量がほとんどで、冷麺を単品で注文したのは最初に訪ねたとき以来かもしれません。甘辛く煮込まれた干し肉が、同じく甘めのスープによく合っており、付け合わせのカクテキのさわやかな辛さと酸味も秀逸です。この店の冷麺のよさを再発見させられました。

食道園
盛岡市大通1-8-2
019-651-4590
平日 1130AM-1530PM/1700PM-2400PM
日祝日 1130AM-1530PM/1700PM-2200PM
第一・第三火曜定休
冷麺900円
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 岩手公園

2016-04-24 11:13:15 | 東北
続いては岩手公園を訪ねます。盛岡へ来たときにはかなりの頻度で立ち寄っている岩手公園ですが、桜の開花時期に来るのは二度目、しかも日中に眺めるのは初めてです。
改めて眺めると、弘前などと違ってどこもかしこも桜というわけではありません。しかし、南側にある日当たりと見晴らしのよい高台に桜が集中して植えられており、そこに地元の人々がシートを広げて花見に興じていました。桜は今日あたりから散り始めたらしく、遠目には満開のようにも見えながら、足下には花びらが積もっており、風が吹くと華麗な花吹雪が舞い、先週訪ねた鶴ヶ城の二の丸を彷彿とさせます。しかし、あちらと違って葉桜同然の木はなく、今がまさに最盛期ということになるのでしょう。清々しい快晴を含め、これぞ最高といえるものを初めて鑑賞できたような気がします。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 石割桜

2016-04-24 10:37:26 | 東北
まずは石割桜を訪ねます。岩手の桜の代名詞といっても過言ではないこの名木、開花時期に訪ねるのは初めてです。
なぜこれが市街地にあるのかと思うような、石というより岩のような巨石を割って伸びる、読んで字の如しの桜です。悪くいえばそれ以上でもそれ以下でもなく、立ち姿の美しさ、花の絢爛豪華さといった点にかけては、先週末に訪ね歩いた福島の名木に一歩譲ります。加えて裁判所の前庭に立っているため、全景を押さえようとするといかにも現場写真然としてしまい、全くといっていいほど絵にならないのが実情です。写真に収めるよりも、自らの目でしかと見るのがこの桜の楽しみ方ではないかと思います。
そのような中、全景をあえて写さず、石を割って太い幹が伸びる部分を切り取って作画しました。これが自分の考える最善の構図です。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 北ホテル

2016-04-24 09:52:19 | 東北
昨晩世話になったのは、盛岡の定宿として定着した感のある北ホテルです。今までじゃらんを通じて押さえていたのを、今回は自社のWebサイトに登録して直接押さえました。これは、他と比べるまでもなくここを選ぶという方針に転換したということでもあります。料金、立地、直前でも取りやすいといった一般的な要素に加え、この宿には唯一無二の居心地があります。わずかな料金差のために他の宿を探すより、この宿をまず選びたいという考えが自分の中で確立されました。
花見の旅においてはこの宿の美点がより顕著となります。岩手公園まで一本道で徒歩3分、なおかつ午前いっぱい駐車場が使えるからです。まずは車と荷物を預けて岩手公園へ行ってきます。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - 二日目

2016-04-24 09:16:01 | 東北
おはようございます。出発前の予報通り、窓の外には青空が広がりました。夏場のようだった昨日のぼやけた空とは違う、春から初夏に特有の清々しい青空です。
こうなると悩ましいのが、今日中に弘前で花見をしておくかという問題です。現地では昨日満開を迎えたとの情報が入ってきており、今から急行すればこれ以上ない条件下で花見ができると予想されます。出発前から二転三転していた天気予報も、日曜に関する限りは比較的一貫していたことを考えると、今日が天候面では一番安定しているのでしょう。それに対して週明け二日の予報は依然として定まりません。今のところ明日が晴とはいうものの、昨晩の段階では曇とされていたことからして、直前でまたも変わるという事態は十分あり得ます。そう考えると、弘前で花見をするならもう今しかないといってもよい状況です。
しかし、大いに迷いはありながらも、結論としては見送ります。というのも、この好天下を高速道で延々移動するのももったいない話であり、そうして着いたところで現地が相当混んでいるのは明白だからです。連休前だけに、意外と空いているかもしれないという期待はあるももの、平日と土日では当然人出も違います。明日、明後日の少なくとも一方が晴れてくれれば目的は果たされるため、本日は高を括って見送ることにした次第です。
そのようなわけで、本日はまず盛岡市内の名所を訪ね、しかる後に周辺で花見をしつつ弘前方面へ向かいます。昨夜の状況からして、どこへ行ってもほぼ見頃なのではないでしょうか。残雪の岩手山との取り合わせも絵になりそうです。
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東北縦断花見の旅 2016続編 - Bar Cafe the S

2016-04-24 00:11:18 | 居酒屋
仙台では、牛タンで腹を満たしてから居酒屋で軽く一杯やるという流れが定着しています。しかるに盛岡でそのようにならないのは、街の規模からしても遅くまで入れる店が限られるという事情によるところが一つ。もう一つの理由は、その役割を果たす店が既に存在していることにあります。その店とは前回も世話になったジャズバーです。
ジャズも洋酒も全く知らない自分が、盛岡に限ってこのような店の世話になるのは、職場のボスの紹介があったからで、一人ではおよそ入ることはなかっただろうと以前も申しました。しかし、風合いのよい白木と白壁を貴重にした店内がよく、改めて新規の店を探すより、ここへ戻ってきたいと思わせる居心地がこの店にはあります。実際の問題としても、この時間から入れる店を探すのは難しく、一軒目を焼肉にした時点で居酒屋という選択肢は消えていました。
前回訪ねたときに気付いたのは、カウンターの玄関側にある、間口方向に延びた三席ほどの短い区画が特等席だということでした。これは、奥行きのある店内を玄関側から見渡す形になり、店内の全貌が捉えやすいのに加え、突き当たりにオーディオセットが鎮座するという店内の配置によります。音が正面から迫ってくるのもさることながら、突き当たりの壁の少し手前にあるオーディオラックの造りが秀逸なのです。板を組んで造った格子状の区画の一つ一つに年代物の機器が鎮座し、その向こうには突き当たりの壁際にあるレコード棚が見通せ、オーディオラックで仕切った区画がレコード室のようになっているという仕掛けです。その区画は客席と同様ダウンライトとスポットライトで効果的に照明されており、演奏が終わると店主がそこに入って次の一枚をかけます。店内の造りと店主の立ち振る舞いを鑑賞するだけでも楽しめるという点では、名居酒屋にも通ずる楽しみがあり、それが本来守備範囲外のジャズバーなどに何度も通う理由の一つなのです。
今回誤算だったのは、あいにくカウンターの玄関側に三人組の先客がおり、奥方向の長い辺に着席せざるを得なかったことです。この違いが予想以上でした。眺めが大きく変わるのもさることながら、正面から聞こえていた音楽が背後から聞こえてくるところに違和感があり、スピーカーに近い分だけ音量も大きく感じられます。さほどの間も置かずに先客が席を立ち、玄関側に移れたのは幸いでした。やはりここに勝る特等席はないようです。

★Bar Cafe the S
盛岡市菜園2-7-30 スガトウビル1F
019-625-2440
1900PM-300AM
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