日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北縦断花見の旅 2016 - 麦とろ

2016-04-16 23:01:01 | 居酒屋
「籠太」に寄れたのはよかったものの、これは結果として大きな代償を伴ってしまいました。「麦とろ」へ乗り込んだところ、既に暖簾はしまわれ行灯の明かりも落ちていたのですorz

不幸中の幸いだったのは、乗り込むと同時に婆さんが何かの用で外に出てくるのと鉢合わせたことです。挨拶代わりに、もう仕舞いかと分かり切ったことを訪ねると、温情措置で招き入れられ、どうにか入店には成功しました。去年訪ねたとき、婆さんが先に上がって店主一人だったことがあります。それに対して今回は店主が先に上がり、残った婆さんが片付けをするという段取りだったようです。「籠太」を出てから行っても入れるのが常だけに、もう看板とは意外でした。ここでも花見客、宴会客が大挙して押し寄せ、あらかた売り切ったため早めに暖簾をしまったのかもしれません。
そのような中、入れてもらっただけでも十分ありがたいのです。しかるに大きな代償と評したのは、目当てにしていたこしあぶらの天ぷらをいただけなくなってしまったからに他なりません。これをいただくのが花見の旅における楽しみの一つであり、去年はその機会を逸していただけに、なおさら楽しみにしていたはずが、またも逃すというあるまじき事態になってしまいました。
こしあぶらはあるのかと、一言聞けば済む話とも思ったのです。しかし、仮にあったとしても、天ぷらを揚げるのが店主の仕事だということは分かっています。看板のところを上がり込み、既に休んだ店主まで引きずり出すのは、あまりに厚かましいというものでしょう。出かけた言葉を飲み込み、お通しの菜の花と身欠き鰊、それに婆さん手製の味噌汁をいただいて辞去しました。

温情措置で入れてもらえたことには感謝しており、「籠太」で呑めたことにも満足していて、このような結果となったことには何の不満もありません。しかし、このままこしあぶらの天ぷらをいただく機会を逃せば、実に三年もの期間が開いてしまうわけです。それを避けたいなら、かなり短い間隔で会津を再訪するしかありません。このまま北上していく関係上、会津にもう一泊するのは無理だとしても、新緑の季節に再訪することも検討する必要がありそうです。

麦とろ
会津若松市栄町4-9
0242-24-9886
1100AM-1400PM/1700PM-100AM
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東北縦断花見の旅 2016 - 籠太

2016-04-16 21:57:04 | 居酒屋
九時半を回ったところで投光器の明かりが消えました。そこで「籠太」に電話を入れると、看板まであと一時間だと、暗に消極的な返答が。しかしこちらにとっては何の問題もありません。すぐさま承諾して店に乗り込みました。
店先には今回も満席の貼り紙が。週末は予約満席が常態化している人気店です。ましてや各地から花見客が押し寄せたであろう今週末はなおさらでしょう。他の店なら品切れで早仕舞いという可能性も考えられるところです。ところがこの店ではそのような事態に遭遇したことが一度もなく、11時の閉店はいつ行っても守られています。どれだけお客が来ようとも万全の体制で待ち構え、開店、閉店時刻も正確に守るという点では、ここと長岡の「魚仙」が全国の双璧ではないでしょうか。そのおかげで、今回も短い時間とはいえここで呑めたことに感謝しています。

籠太
会津若松市栄町8-49
0242-32-5380
1700PM-2300PM
日曜定休

ロ万・寫楽・初しぼり・泉川・奈良萬
お通し(ごぼう胡麻和え)
焼鳥二品
カポナータ
いかの塩辛
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東北縦断花見の旅 2016 - 鶴ヶ城の夜桜

2016-04-16 21:23:16 | 東北
夜桜の終了時刻が迫って鶴ヶ城に直接乗り込み、その後投宿して呑み屋街に繰り出すという展開も過去にはあったと記憶しています。ところが今日は余裕綽々で宿に入り、さらには一風呂浴びてさっぱりしてから出てきました。気温は13度で無風、暑からず寒からず、半袖でも過ごせる心地よさです。数字以上に暖かく感じるのは日中から一貫して変わりません。

例によって北、西、南の順で周回し二の丸に上がってきたところです。鶴ヶ城で最も遅咲きの、なおかつ最も高い木が林立し、天井のように多い被さる一角で、観光客がほとんど来ない穴場でもあります。
去年より九日早く出てきた以上、今年は満開に重なるだろうと思っていました。ところが、呑み屋街から城へ向かって歩く途中、桜並木が相当散っていたのが意外でした。二の丸だけはまだ満開のようにも見えるものの、花びらが雪のように積もっていることからして、明るい中で見ればそこそこ散っているのかもしれません。信州にしてもそうでしたが、ただ開花が早いだけでなく、開花してから散るまでも早いのが今季の特徴といえそうです。
軽く半周しただけでも状況は何となく分かりました。まだ見頃といえるのはこの一角だけでしょう。晴れるならまだしも、明日は無情の雨が降るとの予報です。午後に止むとのことではありますが、少なくとも午前中は使い物になりません。鶴ヶ城には寄らずに若松を出て、早々に米沢へ向かうことも検討します。
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東北縦断花見の旅 2016 - 二年ぶり

2016-04-16 18:24:53 | 東北
残照が次第に弱まってきました。名残は尽きないものの、今年はこれが潮時でしょう。あとは磐越道を飛ばして会津へ向かいます。
それまで大型連休を丸々注ぎ込んでいた東北での花見を、早咲きだった去年は連休前半の五日間に無理矢理詰め込みました。その結果重要な部分をいくつか削らざるを得なくなり、会津も素通り同然で終わってしまいました。鶴ヶ城の夜桜は二年ぶりとなるわけです。
一昨年までは会津に二泊以上を割り当て、第一夜は夜桜の終了時刻まで滞在してから「麦とろ」に入り、第二夜は早めに切り上げ「籠太」に行くという使い分けをしました。しかし一泊限りの今回、そのような芸当は使えません。一夜だけなら夜桜を早めに切り上げる手はなく、またいずれの店も素通りするには惜しいため、看板で振られるのも承知の上でまず「籠太」を訪ね、入れれば11時の閉店まで軽く一杯やって、しかる後に「麦とろ」で呑み直すというのが現実的なところでしょうか。それを含め、実質二年ぶりとなる会津での花見を楽しみにしています。
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東北縦断花見の旅 2016 - 五斗蒔田桜

2016-04-16 18:07:14 | 東北
せわしなく走り回って、最後は落ち着くべき所に落ち着きました。トリを飾るのは五斗蒔田桜です。
矍鑠とした立ち姿もさることながら、この桜のよいところは、南北方向に延びる堤のような斜面の上に立ち、どちら側から眺めても桜が空に抜けることです。たとえばこの時間なら、東側の道沿いからは影絵になった桜が夕空に浮かび上がり、堤を越えて西側に下りれば、夕日を浴びて佇む桜を眺めることができます。
前回葉桜同然だった桜は、少しずつ散ってきたとはいえまだまだ見頃です。ただし残念ながら着くのが遅すぎ、西日は高い木の向こうに隠れていました。五時頃までに着けばどうにか間に合ったのでしょうか。とはいえ淡い日は差しており、東側から眺める影絵も情緒的です。
名木の数があまりに多すぎて、一日では到底回りきれないという事実が明白となるに至り、奇数年は新規開拓、偶数年は再訪を主体にするという構想について先ほど述べました。しかし、仮に新規開拓を中心にするとしても、ここだけは毎年必ず立ち寄りたいと思う場所の一つです。今年もここで最後を飾ることができたのは幸いでした。
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東北縦断花見の旅 2016 - 紅枝垂地蔵桜

2016-04-16 17:15:46 | 東北
西日が次第に傾き秒読み段階になってきました。あとは時間の許す限りお約束の名木を訪ねて締めくくります。数多ある名木の中でも滝桜に次ぐ人気を誇る紅枝垂地蔵桜にやってきました。
去年は葉桜同然となっていて、傍に咲くハナモモを見に来たようなものでした。しかし今年は桃も桜も満開です。唯一惜しまれるのは、根元の方が日陰に隠れてしまったことでしょうか。とはいえこの状況下に適した撮り方がないわけではありません。淡い西日を浴びた木の上半分を、少し離れた場所から長めのレンズを使って切り取りました。花の数がここまで訪ねてきた古木の比ではなく、絢爛豪華と形容するにふさわしい桜です。
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東北縦断花見の旅 2016 - 妙典桜・宝寿桜

2016-04-16 16:41:04 | 東北
是哉寺の地蔵桜といいながら、実は現地に寺はなく、傍に小さな地蔵堂があるだけです。由来となった是哉寺は少し離れた集落にあり、その境内には妙典桜、少し離れた住宅の一角には宝寿桜と呼ばれる枝垂桜があります。
わずか数百m隔てただけではありますが、この辺りを境に開花が一段階早まるのを経験上知っています。去年も是哉寺の地蔵桜までは辛うじて花が残っていたのに対し、妙典桜以降は葉桜同然で、ほぼ花見の体をなしませんでした。しかし今年はここまで来てもまだ満開です。最後まで見頃の桜を楽しめるかもしれません。
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東北縦断花見の旅 2016 - 是哉寺の地蔵桜

2016-04-16 16:13:28 | 東北
続いて立ち寄るのは是哉寺の地蔵桜です。これまでの流れ上予想されたことではありますが、結局今年も日陰になってしまいましたorz
花見の旅を繰り返す中で、立ち寄る場所と順序が年々固定化されていった結果、小沢の桜のように毎回好条件で鑑賞できる場所もあれば、この桜のように何度行っても日陰という場合も出ています。紋切り型の限界が露呈しているわけです。信州の花見のように、一日増やせば抜本的な改善が見込まれるとはいえ、会津にも置賜にも寄るべき所が多々あることを考えると、さらに一日注ぎ込むのは現実の問題として厳しいものがあります。奇数年は新規開拓主体、偶数年は再訪主体といった使い分けを検討すべき段階に入ったのかもしれません。
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東北縦断花見の旅 2016 - 小沢の桜

2016-04-16 15:49:05 | 東北
定番中の定番、小沢の桜を訪ねます。先ほど永泉寺の枝垂桜を訪ねたとき、全貌を写しても面白くない、お堂を点景にして部分的に切り取る方がよいと申しました。それに対して全貌を入れるのがここでの定跡です。だたし木だけを写すのではなく、周囲の点景を入れて初めて絵になるという点では、永泉寺の枝垂桜と本質的には同じともいえます。
来る度に申している通り、ここの眺めは見事なまでに紋切り型です。少し離れた低い場所から、小高い斜面にせり出すような桜を画面の右側に置き、左側に三角形をした山の稜線を、中間に火の見櫓を置くのがここでの絵柄となります。自分だけがそうしているのではなく、あらゆる見物客が同じようにしていることからして、これが最も絵になる眺めなのでしょう。
ちなみに、一時曇りかけた空が再び晴れてきました。正確には、日差しが若干強まった程度とはいえ、西日を浴びた姿が最も絵になる桜だけに、おあつらえ向きの条件になってくれたのは幸いです。
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東北縦断花見の旅 2016 - 堂山王子神社の枝垂桜

2016-04-16 15:19:47 | 東北
再び地図の助けを借り、堂山王子神社の枝垂桜を訪ねます。小学校の跡地から小沢の桜へ向かう途中、国道からそれて1kmほど走った場所にあり、これまで案内板を見落としていて気付かなかったのでした。本殿が国の重要文化財ということは、かなり由緒正しき神社なのでしょう。
小高い山へと登る参道の入口に杉の大木が二本並んでまっすぐ立ち、その間からエドヒガンの枝垂桜が道に覆い被さるようにして伸びています。惜しむらくは、東向きの斜面に張り付いており、なおかつ背後に杉木立があるため、この時間では日陰になってしまうことです。似たような立地をしている是哉寺の地蔵桜も、おそらく同じ状況になっているでしょう。今年も日の当たる時間には間に合いそうにありません。
もっとも、幸か不幸か午後から薄雲が出始め、今のところ曇に近くなってしまったため、現状に関する限り日向も日陰も大差がなくなりました。一帯は過去快晴下で訪ねたこともあり、ここから先は以前よりも格落ちとなる可能性が高くなります。一ヶ所かける時間をほどほどにして、初見の木を訪ねることに注力した方がよいかもしれません。
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東北縦断花見の旅 2016 - 校庭の桜

2016-04-16 14:49:25 | 東北
国道をさらに進むと左手に現れるのが、空地に並んだ桜並木です。かつてここには、古い木造校舎が残る小学校がありました。残念ながら時代の波に呑まれて廃校となり、校舎もろとも跡形もなく消え失せたのは三年前のことです。残った桜だけがぽつんと佇む光景は、去年通ったときには工事現場に変わっており、跡地に何かできるのかと思いきや、今回再訪すると元の更地に戻っていました。あの工事が何だったのかが謎ではありますが、ともかく桜が何一つ変わらず残っていたのは幸いです。
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東北縦断花見の旅 2016 - 永泉寺の枝垂桜

2016-04-16 14:01:30 | 東北
こちらも毎度おなじみ永泉寺の枝垂桜を訪ねます。中心を太い幹が一本貫き、そこから滝のように花がしなだれかかってくるところは、この木の先祖といわれる三春の滝桜に通ずるものがあります。
この桜の特徴として、全貌を収めると現場写真のようになってしまい、特段面白味がないという点が挙げられます。背の高いお堂を点景にして一部だけを切り取るのがここでの定跡です。
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東北縦断花見の旅 2016 - 吉野辺の種蒔桜

2016-04-16 13:52:33 | 東北
続いて訪ねるのは吉野辺の種蒔桜です。矍鑠とした立ち姿にかけては、五斗蒔田桜に並ぶ双璧と思う名木でもあります。いずれも推定樹齢は約四百年、この年代が人生でいうところの働き盛りに相当するのでしょうか。
かなり散った状態だった去年に対し、今年は頃よく満開に重なりました。しかしこの桜の惜しいところは、T字路の角に面していて、それぞれの道沿いに電線が張られているため、それが邪魔になってなかなかいい絵が撮れないことです。やはり景観のよさにかけては、鞍のような小高い斜面の頂点に立つ五斗蒔田桜に軍配が上がります。もう一つの特徴は花がやや黄色を帯びていることで、それは周囲にある他の木と比べても一目瞭然です。
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東北縦断花見の旅 2016 - 東雲桜

2016-04-16 13:33:05 | 東北
小野からの国道に合流し、ここから先は走り慣れた道に戻ります。まず再訪するのは東雲桜です。
一帯に散らばる一本桜ではなく、高台にある小さな寺の境内に並ぶ桜を総称した呼び名です。樹齢数百年級の名木をいくつも訪ねる中では、ソメイヨシノの並木がともすれば平凡に見えるのは事実ながら、立派なお堂とそのそばに立つ老木との取り合わせが絵になっています。
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東北縦断花見の旅 2016 - 弁天桜

2016-04-16 13:03:53 | 東北
そのようなわけで、地図を頼りに弁天桜へやってきました。一帯の名木というと、ある程度人家のある場所に立つのが相場のところ、ここの立地はやや異色です。菅谷駅から吉野辺の種蒔桜へ向かう道に入り、峠に近付き人家が途切れた場所に忽然と駐車場があって、そこに弁天桜の看板が立ちます。しかし駐車場は鬱蒼とした杉木立に囲まれ、どこに桜があるのか一目では見当がつきません。よくよく見ると片隅にもう一つ小さな看板があり、そこから杉木立へ分け入って砂利道を少し歩くと、突き当たったところにエドヒガンの大木が佇んでいました。推定樹齢は四百年、つまり先ほど訪ねた剛叟寺の枝垂桜、吉野辺の種蒔桜などと同世代です。直線的に枝分かれするところがいかにもエドヒガンらしく、矍鑠とした立ち姿は吉野辺の種蒔桜を彷彿とさせます。
もう一つの特徴は、三方を杉木立に囲まれているため背景が暗く、逆光気味に日差しを浴びた花びらが反射して浮かび上がるように見えることです。青空に浮かび上がる五斗蒔田桜と対照的をなす、陰影のある佇まいが印象的でした。
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