日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北の汽車旅最終章 - はすや

2016-02-11 22:25:42 | 居酒屋
一軒限りで完結することがほとんどの弘前で、三軒のはしご酒は記憶にありません。トリを務めるのはもちろん「はすや」です。
まさかの休業で振られた前回など不測の場合を除けば、この店には弘前に宿泊するたび世話になってきました。それだけに今更書き留めるようなこともほとんどなくなりつつあるのが現状です。しかし今日のお通しは秀逸でした。温かい汁物を中心にした、一品料理として十分成り立つお通しについては、過去繰り返し絶賛してきたところではありますが、本日は白身魚、牡蠣、真鱈子、舞茸、豆腐を出汁で煮た豪勢なもので、これまでの中でも出色の逸品です。このお通しに二品ほど追加し、酒二合を干して完結と相成りました。

はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400PM
日曜定休

華一風・豊盃
お通し
カニ味噌和え
海老と山芋の磯辺揚
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北の汽車旅最終章 - 弦や

2016-02-11 20:45:50 | 居酒屋
弘前で「はすや」と並び世話になってきた「弦や」が移転したのは昨秋のことでした。しかし、北海道からの帰りに寄った10月は到着が遅くなって立ち寄れず、再挑戦を試みた先月はまさかの休業で振られました。今回三度目の正直で移転後の新店舗を訪ねます。
呑み屋街には至近ながらも雑多な場所から少し離れ、それでいならバス通りに面し、向かい側にはドーミーインがあるという好物件です。最勝院の裏手の路地にあった以前の店舗に比べれば、はるかに目立ちやすくなりました。しかし自分にとってはそれがむしろ懸念材料でした。よそ者はまず近寄らない薄暗い路地裏の佇まいこそこの店の真骨頂であり、その雰囲気が一変してしまうのを危惧したわけです。しかし結果としては、変わるには変わったものの、悪い方向ではなかったとでもいえばよいでしょうか。
料亭の居抜きだった以前の店舗に対し、新店舗の内装は真新しく、おそらくは一から造ったものでしょう。往来の多い場所に合わせて明るくなったというのが第一印象です。白っぽい壁面と、止まり木のある焦茶のカウンターの組み合わせは、知る中でいうなら京都の「きのした」に通ずるものがあります。立地のよさに加えて入りやすい雰囲気も奏功したか、三々五々お客も入って好調の様子です。タイ料理、ベトナム料理を主体にしつつ、居酒屋使いができる美点を残し、正常進化を遂げた感があります。健在ぶりを確かめられたのは幸いでした。

弦や
青森県弘前市本町76
0172-34-9951
平日1100AM-1330PM(LO)/1700PM-2230PM(LO)
土曜及び祝日 1700PM-2230PM(LO)
日曜定休

香るプレミアム
めっ・田酒
お通し(ほっけ)
真ぞい
黒石豆腐
トムヤムクン小
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北の汽車旅最終章 - しまや

2016-02-11 19:32:09 | 居酒屋
本日の時間配分は徹頭徹尾昨年の焼き直しです。日没前後の三時間ほどで城内を一周し、その足で「しまや」に入りました。

先客はカウンターの中ほどに二名のみと、比較的余裕のある状況です。手前か奥かという状況でまず案内されたのは、ストーブに近い奥の方でした。しかしその心遣いをあえて辞し、あえて寒い玄関側に移りたいと願い出ました。そちらに明らかな利があったからです。
まず明らかなのは、店主の定位置の正面にあたること、惣菜が目の前に並んでいること、その他の品書きの黒板も正面にあることの三点です。それに加えて今回気付いたことが二つあります。店主の定位置である玄関側では厨房側が狭くて客席側が広く、そこから奥へ向かってカウンターが斜めに延び、厨房側と客席側が半々になるというのがこの店の造りです。その結果、玄関側に着席すると必然的にカウンターの中心を向く形となります。これも玄関側の利点の一つといってよいでしょう。
もう一つの利点は喫煙者には関係がありません。というのは、換気の関係からか、煙が奥の方へ流れて行くのです。その結果、左で煙草を吸われてもほとんど気にならない反面、右側で吸われると煙がそのまま流れてくる形となり、とても酒どころではありません。実はこの違いが一番大きいような気がします。次からは空きさえあれば玄関側を所望するということでよさそうです。

店主は今日も絶好調、雑多な話題が飛び出します。しかし最後に苦笑するしかない話が。というのは、手伝いのお姉さんが札幌出身で、帰省に「はまなす」を利用していたというのです。この列車が新幹線と引き換えに廃止されれば、夜出て朝着くという選択肢は奪われ、一日がかりの移動となった上に高額な料金まで徴収されるのですから、普段からの利用者にとっては迷惑でしかありません。
自身の経験からしても、特に寝台車に関しては、乗車自体を目的にした連中だけでなく、一般の利用客が相当いるのは分かっています。実際のところ、利用の低迷、車両の老朽化といった大義名分が今回は語られておらず、新幹線に役目を譲って引退するかのような論調です。しかし、上記の通り、「はまなす」には東北と北海道を一晩かけて結ぶという、新幹線では代替できない役割があります。
北陸新幹線の開業時は、汽車旅がつまらなくなるという趣味的見地からの問題はあっても、一般の利用者には総じて好意的に受け止められました。ところが北海道新幹線は、わずかばかりの短縮効果と引き換えに、それを一切帳消しにするような弊害をもたらすのであり、自分が散々不平を述べているのもそのためです。しかるにそのような由々しき問題が蔑ろにされ、寝台車の引退、急行列車の終焉といった表面的な問題にすり替えられている現状は実に嘆かわしいものがあります。

またしても愚痴になってしまいました。新幹線云々はさておき、特等席ともいえる位置を確保してのひとときは上々でした。徳利を三本空けて席を立ちます。

しまや
弘前市元大工町31-1
0172-33-5066
1500PM-2200PM(LO)
日曜定休

酒三合
もやし炒め
身欠き鰊
貝焼き味噌
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北の汽車旅最終章 - 雪燈籠

2016-02-11 17:18:38 | 東北
バスに揺られて弘前公園にやってきました。さらに樹勢を回復した二の丸の大枝垂と、曳家によって全く違う位置に移った天守を確認した後、本丸のお立ち台から岩木山を眺めています。茜色の空が色褪せるにつれて、手前にあるかまくらの明かりが浮かび上がってくるという、主役の雪燈籠以上に絵になる場所です。
現在の気温は氷点下2度、しかし風が全くないためさほどの寒さは感じられません。このまま暗くなるのを待ち、雪燈籠とかまくらを一通り見物します。例年の実績からしても、九時の終了まで使い切ることはないでしょう。ほどほどのところで切り上げ、早めに一杯やるつもりです。
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北の汽車旅最終章 - 大鰐線

2016-02-11 15:41:22 | 東北
大鰐線の電車で弘前へ向かいます。宿に荷物を置いて弘前公園へ向かうと、岩木山の向こうに夕日が沈む頃と重なり、時を同じくして雪燈籠の明かりがつくという寸法です。
それにしても、穏やかな好天は到着以来一貫しています。大鰐の町の中でも路面は一切積雪しておらず、長袖一枚に雨合羽を羽織れば十分でした。寒さに凍えた先月とは大違いの、早春の気配さえ感じさせる陽気です。二月に何度か訪ねた中で、今回が一番暖かいのは間違いありません。これで雪燈籠が成り立つのでしょうか。

★大鰐1530/25レ/1558中央弘前
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北の汽車旅最終章 - 若松会館

2016-02-11 15:03:15 | 温泉
大鰐で列車を降り、共同浴場で一風呂浴びるという流れは定跡中の定跡です。毎度おなじみ「若松会館」に立ち寄ります。
共同浴場が何ヶ所もある以上、たまには趣向を変えようという考えはもちろんあったのです。特に今回は、時間に多少の余裕があるだけになおさらでした。しかし、駅に近い方から数えて二番目と三番目の浴場がいずれも昼休みに重なってしまい、通しで入れるところとなると、駅からの距離が倍近くになると見込まれました。重荷を担いでそこまで歩く必然性までは感じられず、元の鞘に収まった次第です。
歩くのを億劫がっているわけではありません。手早く済ませるだけが目的ならば、駅前にも温泉はあるわけです。しかしあちらは情緒も何もなく、なおかつ循環塩素消毒の取るに足らないお湯と分かっています。湯の町の共同湯の情緒を味わうためなら、多少の徒歩はやぶさかでなく、その目的を最小限の労力で実現してくれるのがここなのです。

★若松会館
南津軽郡大鰐町大鰐58
600AM-2100PM
毎月18日定休
入浴料 200円
泉質 ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
泉温 68度
pH 7.2
湧出量 940l/min
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北の汽車旅最終章 - つがる6号

2016-02-11 14:04:19 | 東北
列車を乗り継ぎ大鰐温泉へ向かいます。雪晴れの津軽平野の向こうに岩木山が。ありそうでなかなかない貴重な光景です。

★青森1337/つがる6(2046M)/422大鰐温泉
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北の汽車旅最終章 - 大黒寿司

2016-02-11 12:38:58 | 居酒屋
本日の行動は基本的に一年前の焼き直しであり、青森に到着後寿司屋で一献傾けるところについても同様です。ただし列車の時刻の都合上、前回訪ねた「一八寿司」に代えて「大黒寿司」を選びました。
先月も二回にわたって訪ねた以上、趣向を変える上では「一八寿司」の方が好適ではあったのです。しかし、寿司より酒という自分の嗜好に照らせば、「大黒寿司」がおあつらえ向きともいえます。新幹線の開業後、北海道のみならず青森を訪ねる機会も少なくなると予想される中、三度にわたり駆け込めたのは幸いです。
暖簾をくぐるやいなや「毎度様」と迎えられ、通されたのは例によってカウンターの奥です。ただし一番奥ではありません。前回その前も、一番奥の席には予約席の札が立っていました。それでいながら予約客が最後まで現れなかったのは、一番端を意図的に空けているからなのでしょう。奥の方が暖かい、しかし片隅ではやや窮屈だろうと、あえて一席空けたところを上座にしているわけです。その特等席で冷酒と燗酒をそれぞれ一合飲み干し、正味一時間の昼酒と相成りました。

大黒寿司
青森市新町1-2-6
017-722-6480
1100AM-2200PM
祝日除く火曜定休

亀吉・田酒
棒たら
すしランチ
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北の汽車旅最終章 - スーパー白鳥20号

2016-02-11 11:52:51 | 東北
蟹田駅に別れを告げ、青森まで来た道を引き返します。デッキに立ち客も出ていた下り列車に対し、ほぼ同じ時刻に函館を出た上り列車は、窓際にも所々空席のある適度な乗車率です。

★蟹田1149/スーパー白鳥20(4020M)/1214青森
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北の汽車旅最終章 - 蟹田駅

2016-02-11 11:08:01 | 東北
蟹田で列車を降り、帰りの列車まで小一時間の滞在となります。駅前に何もないのは分かっており、滞在するとはいっても待合室で時間をやり過ごすだけです。
北陸新幹線の開業により、富山、金沢両駅以外の利便性は大幅に低下しましたが、最たるものの一つが魚津駅でした。頻発していた特急は一本残らず廃止され、JRは撤退して売店もなくなりました。新幹線に乗ろうにも、削減された窓口には長蛇の列ができており、あまつさえ短編成の普通列車に詰め込まれ、富山までの移動を強いられる始末。実質的な所要時間は短縮されず、それでいながら料金は上がって利便性は数段落ちるという惨憺たる現状です。
これほど極端ではないにしても、北海道新幹線の開業により不便になる駅はいくつかあり、蟹田駅もその一つです。東日本、北海道双方の乗務員が行き交う拠点もあと一月少々で終焉を迎え、新幹線の開業後は一日数往復の普通列車が発着するだけの寂れた駅に成り下がります。窓口に常駐している係員は新幹線の開業後も残るのでしょうか。それを確かめようにも、安普請のロングシート車で往復するしかなくなっては、取りつく島もありません。この駅ともこれにて今生の別れとなりそうです。
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北の汽車旅最終章 - スーパー白鳥1号

2016-02-11 09:56:28 | 東北
盛岡からは空いてくるかと思いきや、新青森までほぼ満席の大盛況でした。「スーパー白鳥」も混むと見て、脇目も振らずに在来線ホームへ直行し、自由席の乗車口に並びました。予報通りに暖かく、吹きさらしのホームで20分近くも待たされるという苦行を避けられたのがせめてもの救いです。そして、この空疎な待ち時間もこれが正真正銘の最後となります。

函館へ直行するかに見せかけて、途中で降りるのは先々週と同様です。「北海道全線フリーきっぷ」のフリー区間が始まる蟹田から引き返して新青森も通り過ぎ、弘前の雪燈籠まつりを見物するのが本日の予定です。
会社間の境界である中小国から一駅だけフリー区間が延長されているのに着目し、北海道の汽車旅と弘前の雪燈籠まつりを掛け持ちするという奇策を発想したのが一昨年でした。その成功に味をしめ、去年も同様の行程をとりました。しかし、この便利な切符も新幹線と引き換えに廃止されます。列車で北海道に渡ろうとすれば、高額な新幹線に正規料金を払うしかなくなるわけです。しかも、函館に寄ってから札幌に向かうといった融通も効かなくなります。これでは北海道に列車で行く気がしなくなるのは当然というものでしょう。新幹線の開業によりかえって不便になるのは前代未聞です。

★青森1017/スーパー白鳥1(4001M)/1054蟹田
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北の汽車旅最終章 - はやぶさ1号

2016-02-11 06:23:56 | 関東
往路の移動手段に複数の選択肢がある東海道・山陽新幹線と違い、仙台以北になると事実上この列車しかありません。中一週での登場となるはやぶさ1号で旅立ちます。
飛び石の連休ということもあるのか、車内は始発駅から三人掛けの中央まで埋まった大盛況です。先月の三連休の初日よりも明らかに混んでおり、これならグリーン車の利用も検討すべきところでした。しかし、疲れ切った長旅の復路の、それも混むと予想されるときに限ってグリーン車を奢るというのが最近の方針です。ただでさえ予算を食う北海道への汽車旅で、往路からグリーン車を奢っていては金が持ちません。盛岡を過ぎれば落ち着いてくるのは経験上分かっています。それまで二時間少々の辛抱です。
去年は「酷寒」などと題しながら大して寒くもなく、全くの看板倒れに終わったという実績があります。最新の予報を確認する限り、今回も気温の高い時期に重なると見込まれるため、酷寒の文字は外しました。代わりに用いたのは「最終章」の三文字です。新幹線の開業後も、北海道で列車に乗る機会はあるかもしれません。しかし、少なくとも乗車の機会が激減するのは間違いないでしょう。新幹線開業後は正規運賃で直行直帰するだけの体系になることからしても、道内各地を周遊するのは今回限りになりそうです。

★東京632/はやぶさ1(3001B)/950新青森
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