日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in東北 2016 - 可寿栄

2016-01-09 22:42:53 | 居酒屋
贅沢さえ言わなければ函館にも呑み屋はあると先ほど申しました。そのような注釈をつけたのは、一定数の呑み屋こそあるものの、その多くが炉端焼の大店で、なおかつどれも大同小異で決め手に欠けるという事情によります。決して悪くはないものの、だからといって本場釧路の名店ほど心底感動できそうには思えないのが実情で、例えるならば秋田の呑み屋のようなものとでもいえばよいでしょうか。そのような中、古い長屋の一角に明かりを灯す小さな店もあるにはあり、自身何度か世話になったこともあります。その店が閉店や再開発で姿を消したことにより、新たな店を探さなければならない事態に至ったわけです。
ただし、今回は一軒だけ事前情報を仕入れていました。時間からして一から探すわけにも行かず、その情報に頼ります。訪ねるのは「可寿栄」です。

事前情報といっても教祖の導きではなく、活動仲間の一人が発掘してきた店です。見るからに古い構えの、店主が一人で営業している小さな店のようでした。なまじ情報が多過ぎるとそれで予測ができてしまい、心底感動しにくくなるのは経験上分かっています。それ以上のことはあえて調べず乗り込んだというのがここまでの顛末です。
場所は松風町の寂れた繁華街の外れ、教祖の番組にも登場した「函館山」のすぐ近くです。しかし、通りに面した「函館山」に対して、こちらはその通りから奥へと入った袋小路の突き当たりにあり、間口は表通りに対して横を向いていて、提灯さえなければそこに店があることにさえ気付きそうにありません。店先には提灯二つと縄暖簾があるのみで、品書きもなければ中の様子も窺えない状況です。自分なら、この店構えに興味を惹かれることはあっても、自ら暖簾をくぐる決断まではできなかったでしょう。そこをあえて飛び込んだ仲間には敬服したいというのが率直な印象です。

しかして暖簾をくぐると、店主からはもう終わるとの返答が。しかし「終わった」というわけではありません。他に店のあてもなく、少しでいいと申し出ると温情措置が講じられ、どうにか入店と相成りました。
七名ほど着席できるL字のカウンターと、奥にある掘り炬燵の大きなテーブルが店の全てで、〆て十人少々入れば満席といったところでしょう。店主が一人で仕切るには過不足のない収容力です。ただし、古びた店構えとは裏腹に、店内はさほど古びているわけではなく、有り体にいうと中途半端に現代的です。カウンターは張りぼて、店内にはお客の目に触れる必然性のないダンボールなどが並んでやや雑然としており、冷蔵庫が家庭用なのも少々頼りなさげに感じられます。少なくとも、しみじみ鑑賞したくなるほどの店内ではありません。
しかし横長の黒板に三段組で記された品書きは看過できないものがあります。左に刺身、中央に煮魚焼魚、右に野菜と一品料理というのが大まかな構成で、それぞれ十種前後はあるでしょうか。これならまず刺身を盛り合わせてもらい、次に煮物か焼物を選んで、さらに野菜か汁物をいただければ完璧でしょう。
しかし、いかんせん入った時間が遅過ぎました。刺身を所望したところ、看板につき一品限りでとのことわりがあり、結局酒一合とお通し、刺身で終了となりました。もっとも、白身をと頼んだ上で供されたのは、関東ではまずお目にかからない鰍でした。よそ者と見て、珍しいものを切ってくれたということでしょう。山葵もその場でおろすなど、丁寧な仕事ぶりは刺身一品頼んだだけでも窺い知ることができました。

時間が遅過ぎてほとんど飲み食いできず、雰囲気の一端を知るにとどまったという点では、昨秋訪ねた長崎の「朱欒」と似たような結果となりました。惜しむらくは、これからも再訪の機会がありそうな長崎と違い、新幹線の開業後、函館に泊まる機会が再び巡ってくるかどうかが何とも未知数なことです。しかし、幸いにもその機会が訪れたとすれば、この店の暖簾を早めにくぐってみようかと思っています。

可寿栄
函館市松風町10-15
0138-22-1403
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汽車旅in東北 2016 - アクアガーデンホテル

2016-01-09 21:23:39 | 北海道
函館に到着し、今夜の宿に入って一息つきました。南端とはいえさすがに北海道、市街は車道まで積雪しています。元々雪の多い場所ではないだけに、これなら平年並みといったところではないでしょうか。これまでどこへ行っても雪が少なく拍子抜けしていただけに、今季初めて冬らしい光景に出会ったような気がします。

本日世話になるのはアクアガーデンホテルです。前回は市内屈指の格式を誇る函館国際ホテルに泊まり、何から何まで別格の内容に心底感服させられましたが、今回は残念ながらそのときほどの格安プランがなく、ゲストハウスを除けば最安値のこちらを選びました。ただし料金だけで選んだわけではなく、選んだところがたまたま最安値だったに過ぎません。それでは何が決め手になったかというと、ここが自身にとって初めて泊まった函館の宿だということです。
初めて北海道を旅したときのことは、このblogでも以前に少し言及しました。道内を二週にわたり行き来して、最後の夜を過ごしたのが函館です。そのとき泊まったのがこの宿で、あいにくの雨が降る夜だったと記憶しています。ただし宿自体に特段の印象はなく、しいていうなら可もなく不可もないビジネスホテルといったところで、その後何度か函館に泊まる中でも、ここが選択肢として再び浮上してくることはありませんでした。それが今更ながらの再訪に至ったのは、函館に泊まる機会がこれで最後になるかもしれないという理由によります。
北海道新幹線の開業により、函館が列車で行くには到底値しない場所に成り下がることについては、このblogでも繰り返し嘆いてきた通りです。函館に行く機会があるとするなら、昨秋のように道央から車で延々南下してくるときだけでしょう。しかし、そのような場合には郊外のキャンプ場に泊まる可能性が高く、函館に泊まる機会が再び巡ってくるかどうかは何ともいえません。最後になるかもしれない機会なら、最初に泊まった宿に回帰し、当時の思い出に浸るのもよかろうと思い至った次第です。

かくして二十年以上の時を経て再訪したこちらの宿ですが、税込でも三千円強、税抜で二千円台という破格の料金にしては必要にして十分です。初めて訪ねた当時もやや古びて見えた宿だけに、今となってはなおさらというのが実態で、可もなく不可もなしという当時の印象もおおむね誤ってはいませんでした。しかし、合理性、経済性をとことん究めた現代のビジネスホテルにはない大らかな時代の名残が色濃く出ており、近年の自身の嗜好にはむしろ合致しています。これで三千円なら申し分ありません。
新幹線に片道四千円以上の料金を徴収されるようになっては、格安の宿がひしめく函館も有名無実化するのは必至です。そうなる前に、自身にとって原点ともいえる宿で最後を飾れることを幸いに思います。




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汽車旅in東北 2016 - スーパー白鳥25号

2016-01-09 20:37:35 | 東北
「ふく郎」に心ゆくまで滞在した後、予定より一本早い函館行の列車に乗り込みました。ラーメンで締めくくるには時間が足りず、ならばもう一軒行くかと思っても、青森には明日必然的に戻ってくるため、そのときに回してもよいという事情があります。今日のところは一軒限りで切り上げ、その分函館に注力した方がよかろうと判断しました。
去年は海峡を股にかけたはしご酒だと意気込んでおきながら、目当ての呑み屋が再開発で跡形もなくなっており、気落ちしてラッキーピエロに流れるという経験をしました。しかし、贅沢さえ言わなければ呑み屋の選択肢は何軒かあります。そこで一献傾けるもよし、酒を断ってラッキーピエロで寛ぐもよしといったところです。

★青森1905/スーパー白鳥25(4025M)2056函館
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汽車旅in東北 2016 - ふく郎

2016-01-09 17:07:53 | 居酒屋
「ふく郎」の店先を通り過ぎ、酒屋に立ち寄ってから戻ってくると、ヱビスの看板に明かりが灯っていました。本日の時間配分はまことに理想的です。長袖二枚と雨合羽でもさほどの寒さを感じなかったはずが、暖簾をくぐるやいなや安堵感が押し寄せてくるのは、なんだかんだで外が寒いということなのでしょうか。前回接客してくれた、店主の娘さんと思しきお姉さんに迎えられて着席します。
秋田の回転寿司と同様、開店直後につき先客の姿はなし。どこの席でもお好み次第という状況の中、半ば無意識のまま着席したのはカウンターのやや左寄りです。ともすれば中途半端に思える位置ではありますが、結果としてはこれが正解でした。常連なら別段、中央に立つ店主の正面というのはおこがましく、だからといって右端の玄関寄りでは、真横にねぶたのお面が鎮座し、すぐそばではTVが流れて少々落ち着きません。その点中央のやや左寄りなら、店主、お面、TVのいずれからもほどよい間合い間合いがとれて好都合です。昨年末から呑み屋では好位置に当たるという幸運が続いています。

一杯目から酒も辞さない自分にしては珍しく、ここではまずヱビスを注文。これも偏に当店のビールが秀逸だからに他なりません。ヱビスといえば細身のグラスに注ぐ店が多い中、この店では専用のジョッキになみなみ注がれ、なおかつ泡はきめ細かく、最後の一滴までおいしく呑める逸品です。これを受けるお通しには、大振りな鮭の切り身を酒蒸しにしたものが出てきました。以前出てきた豚汁にしてもそうですが、それ自体一品料理として成立する温かいお通しには毎度ながら感心させられます。酒をグラスに注いで溢れさせ、受け皿にも溢れんばかりに注ぐなど、何かにつけて気前がよいのがこの店の特徴といえそうです。
教祖をして「西のさきと、東のふく郎」と言わしめた当店ですが、語弊を恐れずいうなら「西の瀬戸際、東のふく郎」といってもよさそうな気がします。地物の魚介を中心に二十種ほど揃えられた経木の品書きが、先日訪ねた徳島の名店にどことなく通ずるものがあるからです。産地とともに書かれた品々に目移りしそうになっても、まずは刺身のちょっと盛を頼んでおけば間違いはありません。その名とは裏腹に十分すぎる分量なのが当店のちょっと盛で、本日はソイ、油目、活タコ、帆立、イカ、ホウボウの豪華六点。一見すると紛らわしい白身の三品だけ指を差して教え、あとは言わずもがなといわんばかりの客あしらいには、清水の「新生丸」に通ずる老練さがあります。
この刺身の次を何にするかと考えたとき、目に留まったのは深浦産の糸モズクでした。というのも、矯正治療の間はこのモズクが装置にからまって、どうにもうまくいただけなかったからです。散々煩わされた矯正装置から解放された今、渡りに船とはこのことでしょう。こうして注文したもずくは輪切りにした酢橘とともに供されて、瑞々しさと歯切れのよさが半端ではありません。一年半に及んだ艱難辛苦から解放された喜びを、しみじみ実感せずにはいられませんでした。帆立、イカ、タコ、舞茸までも盛り込んだ具沢山の貝焼きも食べ応えがあり、延々一時間半滞在の後席を立ちます。

ふく郎
青森市安方1-10-12
017-777-3988
1700PM-2300PM
日祝日定休

ヱビス・愛娘・田酒
お通し
お刺身ちょっと盛
糸モズク
津軽貝焼みそ
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汽車旅in東北 2016 - 地酒庵さとう

2016-01-09 17:00:07 | 酒屋
アスパムで時間稼ぎをしてから毎度おなじみ「地酒庵さとう」にやってきました。ひやおろしと違い、新酒にはさほどこだわりのない性分ではありますが、近年冬の定番となっているのが弘前の地酒「豊盃」のしぼりたてです。火入れの新酒に豊盃米の生酒など、都会の酒販店、料飲店にはそう滅多に出回らない希少品にも惹かれつつ、ここは手堅くしぼりたてを選択。田酒の粕も買い求め、これで重量品が二点荷物に加わりましたorz

地酒庵さとう
青森市安方1-4-4
017-722-3087
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汽車旅in東北 2016 - 青森到着

2016-01-09 15:53:34 | 東北
北上するにつれて雪深くなってはくるものの、どこへ行っても例年にない少雪という傾向は一貫して変わりません。この時期にはつきものの雪害も一切なく、終点青森に定時の到着となりました。
目当ての「ふく郎」が開くのは五時、その日のうちに函館に着く列車が出るのは八時です。後続に「はまなす」があるにはあるものの、それでは着くのが一時過ぎになり、移動手段として現実的ではありません。実質三時間に満たない持ち時間で、二軒目を欲張ると時間に追われる可能性も十分にあるでしょう。まずは「ふく郎」で心ゆくまで呑み、あとは時間と相談しつつ二軒目に移るかどうかを考えます。
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汽車旅in東北 2016 - つがる5号

2016-01-09 14:47:22 | 東北
酒を三合飲み干し上機嫌で駅に戻ると、発車の10分前という絶妙な頃合いでした。自由席の狙い通りの位置を確保し青森へ向かいます。現地に着いて記念撮影を済ませると、頃よく居酒屋が開く五時になるという寸法です。
今回も二時間あまりのささやかな滞在ではありましたが、今年はもう一度戻って来る機会があるかもしれません。詳細は後日…

★秋田1310/つがる5(2045M)/1551青森
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汽車旅in東北 2016 - 市場いちばん寿司

2016-01-09 11:21:15 | 居酒屋
駅から歩いて市民市場にやってきました。海産物を中心に、秋田らしい土産物が揃う場所ではありますが、汽車旅の序盤で荷物を増やすのはいただけません。直営の回転寿司で昼酒をあおるのが目的です。去年も世話になった「市場いちばん寿司」を再訪します。
開店直後ということもあり先客はまばら、どこの席でも選び放題という状況の中、迷わず選んだのは玄関をくぐってすぐのところにあるカウンターの角を丸めた場所でした。カウンターの全貌を対角線上に見渡せる特等席です。そのカウンターには前回と同じ三人組の板前が立ち眺めは上々。入口に近くて寒いからか、他のお客がほとんど来ないのもこちらにとっては願ったり叶ったりといった感があります。
酒も寿司も良心価格なのはよいものの、肴に乏しいのがこの店の惜しいところではあります。しかし、ガリを肴に酒を干して、そろそろ小瓶が空こうとする頃合いを見計らったかのように、あら炊きの皿が回ってくるのは前回と同様の流れです。迷わず選んでお銚子をもう一本注文し、最後は「いちおしランチ」で締めくくります。

市場いちばん寿司
秋田市中通4-7-35
018-884-1844
1100AM-2100PM
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汽車旅in東北 2016 - 恋人の聖地

2016-01-09 11:07:59 | 東北
記念のレシートを押さえた後は記念撮影です。ズバリここという場所の乏しい秋田駅前ですが、しいていうならこれから向かう市民市場、あとは「恋人の聖地」と称するモニュメントです。今年はこちらを選びました。
百貨店の前庭のような広場にある、鉄板を重ねて造った無機質なモニュメントで、これのどこが聖地なのかが謎ではありますが、秋田だと一目で分かる場所には違いありません。あえて一人で撮るところに意義があると個人的には思っています。
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汽車旅in東北 2016 - 木の実堂

2016-01-09 10:49:12 | 東北
まず駅ビルで土産の稲庭うどんといぶりがっこを買います。大同小異の土産物屋が並ぶ中、自分が世話になる店は毎回決まっています。何が決め手かといえば商品ではなく、今時珍しい普通紙のレシートにあります。すぐに色褪せ耐久性もない感熱紙のレシートと違い、普通紙にインクリボンで印字されたレシートは、秋田を訪ねた記念品の一つになるというわけです。
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汽車旅in東北 2016 - 秋田到着

2016-01-09 10:28:11 | 東北
昨年の正月以来、一年ぶりの秋田に着きました。県境を越えてようやく雪国らしい光景になってはきたものの、やはり例年よりも雪は少なめで、寒さも特にどうということはありません。ただし、そのような年でも青森だけは背丈以上の高さまで積雪しているのが常です。あちらがどうなっているかが気になります。
「あけぼの」が姿を消してからというもの、秋田には始発の新幹線で着き、青森行の列車に乗り継ぐまでの二時間強滞在するだけというのが常態化しています。今回もその手順に従い、市場の回転寿司で昼酒をいただき、余力があればラーメンもいただいて締めくくるつもりです。
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汽車旅in東北 2016 - 雪化粧

2016-01-09 08:20:47 | 東北
列車は時速320kmで疾走中。只今くりこま高原を通過したところです。古川を通過する頃から田畑と屋根にわずかながら積雪が出始め、北上するにつれて雪化粧に変わってきました。しかし、仙台まで平地に雪は全くありませんでした。日光連山の様子からある程度予想できたことではありましたが、東北でも雪は少なくなっています。
一ノ関の先で長いトンネルをくぐると、目に見えて積雪が多くなるのは経験上分かっています。しかし、ここまでの状況からしても、路面まで積雪することはないでしょう。どこまで行けば銀世界が広がっているのでしょうか。
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汽車旅in東北 2016 - 軽装備

2016-01-09 07:14:58 | 関東
列車は小山を通過し関東平野を北上中です。田畑に霜が降りてはいるものの、彼方に連なる日光の山々はわずかに雪化粧をしている程度です。元日に眺めた富士山も五十歩百歩の状況でした。今季の暖冬ぶりがありありと窺われる光景です。
これなら現地の寒さも大したことはなかろうと高を括り、今回は四国を旅したときと全く同じ装備にしました。肌着の上に長袖を最大で二枚、あとは少し厚手の雨合羽という構成です。酷寒期なら、雨合羽に代えてダウンのインナー付きの上着を持参するところでした。
嘘か真か、函館では日中でも氷点下などという予報が出ています。しかし都内は相も変わらず暖かく、今朝も駅まで重荷を担いで歩くうちに汗ばんできました。上着は羽織らず、長袖シャツ一枚だけでもこの始末です。厚着で汗をかくよりも、薄着で寒さに震える方がましという考えもあり、今回はあえて軽装を選択した次第です。この先しばらく北海道、北陸、信越と寒冷地での活動が多くなるため、軽装備でどこまで乗り切れるのか試してみます。
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汽車旅in東北 2016 - こまち1号

2016-01-09 06:56:59 | 関東
始発の秋田新幹線で旅立ちます。西へ下るというと、始発の混雑を避け後続列車を選ぶのが定着してきた昨今ではありますが、本数が段違いの東北方面ではこうならざるを得ません。
去年はやはり始発の「こまち」に乗車し、普通車と大差のないお粗末なグリーン車に対して大いに疑問を感じたものでした。そのような経験もあり、本日は割り切って普通車としました。秋田までの特急料金は8310円、これに四千円弱追加すればグリーン車に乗れるわけで、倍近くになる東海道・山陽新幹線との比較ではかなりの乗り得です。四時間近い乗車時間を考えても、出費に見合った効果はありそうにも思えます。しかし、結果としては普通車で十分というのが実感です。
グリーン車との比較で明確に違うのは、前席との間隔が狭まることと、床がカーペット敷でないことの二点にほぼ集約され、それ以外の違いは全くといっていいほど感じられません。普通車でも背ずりは十分高くて枕もつき、E3系の頃に比べてグリーン車との差は確実に縮小しています。隣さえ空席ならば、通路側まで埋まったグリーン車よりむしろ快適ではないでしょうか。やはり「こまち」にグリーン車は必要なく、浮いた予算を酒代なり宿代に回した方が賢明というのが結論です。

★東京632/こまち1(3001B→3001M)/1024秋田
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