日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

一蓮托生

2016-01-26 23:28:03 | 旅日記
このblogで芸能ネタを二日続けることになるとは思いませんでした。ともかく昨日の続きです。
静観を決め込んでいた自分さらに巻き込むような一大事が起きたと申しました。その一大事とは、昨年末に発表された古参の卒業です。もちろん大所帯である以上、卒業自体珍しいことではありません。それを一大事と評するのは、惜しまれ方が尋常ではないからです。
雑誌の表紙を飾るような主力ではなく、お笑い担当の三枚目だけに、世間一般での注目度は低い、極論すれば皆無に近いと思われます。それにもかかわらず、誰もが異口同音に惜別の言葉を寄せているのは、「仏」の異名をとる愛すべき人物だったからに他なりません。決して花形ではないものの、誰からも慕われ、誰よりも惜しまれつつ去るという点では、五年前の渡辺直人放出を彷彿させる出来事です。

そのような惜別ムードが、年末に一つの頂点を迎えました。大晦日の風物詩、紅白歌合戦のことです。悲願の初出場を果たした公式ライバルが歌唱曲に選んだのは、新曲でも何でもない、世間一般では無名に近い曲でした。しかし、この曲は特別な意味を持っていました。というのも、去り行く当人が在籍中に唯一歌った表題曲がこれなのです。元々ヲタからの人気は絶大で、今春には駅の発車メロディに採用されるらしく、それも選曲の理由ではあったのでしょう。しかしそれが卒業発表と重なって、曲目が決まったときには祭りのような騒ぎでした。結局こちらもまんまとつられ、平成に入って以来初めて紅白なるものを視聴しましたが、贔屓のチームが甲子園に出て、そこで校歌が流れたかのような気分でした。派手な振り付けのない、ピアノの伴奏にはおあつらえ向きの曲で、演奏時間も短めだったのが、なおさら校歌然として感じられた理由かもしれません。
3月には出身地で卒業公演が開かれるそうで、閑古鳥が鳴く最初期から全公演に出演してきたという陰の功労者にふさわしい花道となります。主力ならともかく、いわば一兵卒の去り際に、これほどの盛り上がりを見せたことが本家でもあったのでしょうか。有終の美という点で、後にも先にもこれ以上の幕引きはないような気がします。少なくとも北海道新幹線の開業より盛り上がるのは間違いなく、「はまなす」「カシオペア」「スーパー白鳥」の引退と比べても遜色ないかもしれません。今や早春の風物詩となった「葬式鉄」による狂騒曲を彷彿させる状況です。

しかも話はそれだけでは終わりませんでした。追い打ちをかけるかのように、今度は結成以来事実上初となる主力の卒業が発表されたからです。
世間での知名度こそセンター格に一歩譲るものの、「聖母」と慕われる人格者です。仏と聖母を続けざまに失う事態に至ったヲタ達の混乱ぶりはただならぬものがあり、発表から数日間は公式サイトが麻痺状態でした。こちらはまだ発表から間もなく、どのような最後となるかは未知数ながら、六月頃までとの見通しは出ており、もし事実なら半年前後は狂想曲が続くことになります。
日の出の勢いで駆け上がった昨年から一転、気付けば惜別一色です。青天の霹靂のようではありながら、本家の五年後を追いかけている以上、こうなることもある程度予想されたことではありました。花盛りと散り際は隣り合わせという事実を、改めて思い知らされる出来事です。

しかし、散り際もまたよいものです。静観を決め込んではいても、昨年来の劇的な展開を目の当たりにすると、一蓮托生という面が出てきます。事の良し悪しにかかわらず運命を共にするという、辞書通りの意味での一蓮托生です。桜前線を北海道の果てまで追いかける往生際の悪い性分としては、最後の一輪が散るのを見届けるにもやぶさかではないところ、とりあえず弘前まで北上できればといったところでしょうか。まずはあと半年の一蓮托生となりそうです。
コメント