日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

公式ライバル

2016-01-25 23:58:01 | 旅日記
このblogを綴るにあたっての一家言、もとい単なるこだわりを語ったのは一年近くのことでしたが、そのようなこだわりを持つ人間にとって、日頃から辟易させられるのが芸能人blogです。
テンプレート通りの告知が延々続いた後、ようやく本文が始まったかと思えば、それは不必要な改行とおざなりな画像で水増しした、文章と呼ぶのも憚られる空疎な内容というのが、芸能人blogのありがちな姿ではないでしょうか。かつては一部の新しもの好きだけが手がけていたblogが、販促手段の一つとして認知されるに至り、そのような目的に特化したアメブロなる媒体が出現し、およそ作文能力などない芸能人が誰彼なくblogを始めた結果、正視に耐えないお粗末なblogが乱立するに至ったのでした。

そのようなご時世にあって唯一注目しているものがあります。かの国民的アイドルグループ、ではなくその「公式ライバル」によるblogです。
このblogのよいところとして、公式サイトの一部に組み込まれているため、公式の告知とblogとが分けられ、長々とした告知のテンプレートに煩わされないという点が挙げられます。一つのblogに全員分の記事が投稿順に掲載されるという形式で、全ての投稿に目を通しても、いわゆる「推し」の投稿だけ遡って読んでもよく、見やすさにかけてはアメブロとは雲泥の差です。
内容的にも力作揃いで、公のことから日常のことまで様々な話題が綴られ、告知をするにもテンプレートを貼り付けるといったおざなりなことはせず、どのような番組・雑誌で何をしたか、どこが見所かといった点を自分の言葉で語る姿勢は好ましいものがあります。大人数のblogを一ヶ所にまとめるという形式のためか、表題の付け方、最初と最後の挨拶、文中の定型句、画像の貼り方、顔文字絵文字といったものに各人の個性が表れ、それにより自ずと親しみが湧いてくるようになっているのは心憎い仕掛けです。
道楽そのものであるこのblogと違い、あちらにとっては数ある活動の中の一つです。それだけに、力の入れ方には濃淡があり、工夫を凝らした力作を毎日投稿するblog女王から、月に一度か二度の筆不精まで様々ではあります。しかしそれを含めて個性と感じられるのは、全員の顔と名前を覚えられる40人弱という人数で、しかも入れ替わりがほとんどないという事情にもよるのでしょう。これも肥大化、流動化しすぎた本家にはない特徴です。公式ライバルとして本家と散々比較されてきたにもかかわらず、このblogについて誰も話題にしてこなかったのが不思議ではあります。

ふとしたことからblogが目に留まって一年弱、この間の過熱ぶりは凄まじいものがありました。何しろ最近では、書店に並ぶ雑誌の表紙を公式ライバルが席巻しており、その数たるや本家とその支店を合わせた数をも凌駕します。公演は「北斗星」の寝台券のごとき争奪戦となり、何回申し込んでも当たらないというヲタ達の嘆きが聞こえてきます。少なくとも現時点での人気に関しては、本家を超えたといってもよいでしょう。
もちろん、本家の五、六年後を追っているという事情を割り引いて考える必要はあります。五、六年前といえば本家の全盛期、結成時からの主力が中核で活動していた頃であり、その主力の相次ぐ離脱により斜陽化した結果として今があるわけです。いわば晩年にさしかかった北の湖を、新進気鋭の千代の富士が破ったようなものであり、それを捉えてどちらが強いかを論じるのが意味のあることとは思えません。全盛期の強さで比較するなら、「憎らしい」とまで形容された北の湖の方がむしろ上ではないでしょうか。同様の理屈が当てはまるとすれば、老若男女問わずに一世を風靡した本家の業績が、昨今の勢力の逆転により色褪せるものではないと思います。
ただ、そうはいっても、以前申した通り、こちらは自発的に音楽を聴くことなど全くない人間であり、今やTVも見ないという習慣が確立して久しいわけです。そのような人間までがまんまと術中にはまってしまったのは、やはり正常なこととはいえないような気がします。このような事態に至って思い出すのが、昨秋訪ねた「一富」です。地元客を相手に細々と営まれてきた中洲の人形小路の古い呑み屋が、グルメ番組で取り上げられた途端に予約の取れない人気店に一変し、雰囲気まで一挙に俗化してしまったことについては、そのときにも嘆いた通りです。以前から知る店が繁盛店になった以上、本来歓迎すべきことではあるのでしょう。しかし、長年かけて常連客が付いた新橋の「身知らず」と違い、明らかにTVの影響と思しき一見客で店が埋まっている状況には違和感を覚えました。
そのような経験をしてきただけに、自身blogの一読者という以上に深入りしたくないという考えがあります。そもそも、握手券を餌にして、本来必要のないCDを何十枚、何百枚単位で買わせるという商売が、およそ真っ当なものとは思えません。世代の違うお嬢様方に対して思い入れが湧きにくいという年齢的な問題もあります。しかし、それよりも何よりも、古くからのヲタ達が心置きなく声援を送れる対象であってほしいというのが本音です。

しかし、静観を決め込んだつもりが、こちらをさらに巻き込むような一大事が起きています。続きは後日…
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