日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く - 帰着

2015-09-29 23:40:17 | 北海道
帰宅しました。帰りの車中、停車駅の前後以外の記憶がほとんどありません。10泊のうち個室で眠ったのがわずかに1泊、あとは車中、船中、キャンプ場、ライダーハウスを転々とし、早朝から深夜まで駆け回るうちに、疲労が蓄積されて行ったのでしょう。もちろん心地のよい疲労感ではあります。
断片的な記憶の中で、車窓の頭上には常に月が浮かんでいました。そして東京駅で列車を降りると、まず思ったのは月並みながら「暖かい」ということであり、次に思ったのは、キャンプをすれば最高だろうということでした。やや風はありながらも暑からず寒からず適温で、上空には月も出ています。気温はともかく、昨晩がこの月夜だったらと、一瞬仮想させられました。茂みで鳴く虫の声も様変わりし、はるばる戻ってきたことを実感している次第です。

本日の行動を振り返れば、収穫というほどの収穫もなく、極論すれば函館まで車を回送しただけともいえます。昨日のうちにフェリーに乗って自走で帰京し、函館に行きたければ列車とレンタカーを組み合わせるという手もあったわけです。しかし、晴と土砂降り両極端の天候で道内の活動を終えるというのも、有終の美という観点からは今一つの感があります。キャンプ場で雨に打たれ、寒さに震えながらしみじみ名残の酒を酌み、翌日は津軽海峡を目前にするところまで南下して、函館山に見送られつつ帰京の途についたという点で、決して蛇足ではなかったというのが実感です。
そして本日の行動には、次なる活動に向けての布石という意義があります。海峡を渡って東北地方を縦断する第二部です。北海道を出た後、さらに三度の週末を注ぎ込んだ昨年ほどの規模ではないものの、今年も津軽を振り出しにして順次南下して行く旅を考えています。
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晩秋の大地を行く - はやぶさ38号

2015-09-29 19:45:30 | 北海道
全11日間の長旅も、最後の長距離移動を残すのみです。最終の新幹線で帰路につきます。
七月に函館から帰京したときには、新青森を出ても空がわずかに明るかったのを記憶しています。それから三ヶ月近くが経ち、青函トンネルを抜けたところで現れたのは、とっぷり暮れた空に浮かんだ月が、陸奥湾を鈍く照らしている光景です。ところが、新青森に着いたときには、いつの間にやら冷たい風とともに土砂降りの雨が吹き付けていました。やはりこちらも不安定な天候だったのでしょうか。
東北新幹線に乗車し、東京駅で列車を降りたとき、肌に触れる空気の暖かさで帰着を実感するという場面がよくあります。去年に至っては、暖かいを通り越して暑いとしか言いようのない状況で、一挙に現実へ引き戻されるという経験をしました。明日から再び始まる日常のことは、まだ直視したくないというのが本音ではありますが、列車を降りた瞬間どのような実感が押し寄せるのか、少しだけ楽しみにしておきたいと思います。

★新青森1944/はやぶさ38(3038B)/2304東京
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晩秋の大地を行く - 腹ごしらえ

2015-09-29 17:26:45 | B級グルメ
腹ごしらえしてから列車に乗るつもりが、結果としては車内でいただくことになりました。遅い昼食兼夕食となるのはセイコーマートの月見やきとり重です。
常々申している通り、車内での飲み食いは好みません。函館に来た以上、本来はラッキーピエロに行きたかったのです。しかし、列車が出るまでの残り時間を考えると、最後は相当慌てることが予想されました。列車の時刻を気にしながら飲み食いしたくはありませんでした。
ならば代わりをどうするかと考えたとき、とっさに浮かんできたのがセイコーマートでした。道中で散々世話になったことへの感謝を込めて、最後の晩餐もここにしようと思い立った次第です。果たせるかな、セイコーマートで食料を調達した後、列車に乗り込んだのは発車10分少々前だったため、この判断は誤っていなかったようです。
昼と晩を兼ねるため、同じく散々世話になったサッポロクラシックと、ホットシェフの惣菜も買い込みました。自分にしては珍しい車中での晩酌となります。
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晩秋の大地を行く - スーパー白鳥38号

2015-09-29 17:06:48 | 北海道
長旅もこれにて一旦終了です。駅の駐車場に車を置き、帰りの列車を手配して乗り込みました。改札から一番遠い8番線まで重い荷物を担いで歩くと、毎度のことながら大汗が吹き出してきますorz
新幹線の開業日が正式に決まり、それを知らせる掲示が至る所に並んだ函館駅ですが、その一方でホームの売店とそば屋は一昨日限りで閉店したとの貼り紙が。新幹線と引き換えに、函館はこの先どれだけ多くのものを失うのでしょうか。直視したくない現実をまざまざと見せつけられます。
しかし、その話はひとまず置いておきましょう。あと少し走れば車窓の左手に湾が広がり、その先端で函館山がこちらを見送ってくれます。この車窓も来春で見納め、特に雪が降る前については今回の往復が最後です。車窓からは最後になるかもしれない海峡の夕景を、しみじみ眺めながら帰ります。

★函館1707/スーパー白鳥38(4038M)/1919新青森
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晩秋の大地を行く - 藤城線

2015-09-29 15:37:35 | 北海道
森から大沼まで高速道を飛ばし、そこから5号線を上って七飯にやってきました。正規料金を払ってまで高速道に乗ったのは、下りの「スーパー北斗」が藤城線の高架橋を通過する時刻に間に合いそうだったからです。ところが、度重なる寄り道がたたって、到着が通過の直前になってしまい、車外に飛び出してから1分経つかどうかのうちに列車が通過。これではまともな作画ができるはずもなく、何とも中途半端な構図で「一応押さえた」という程度の画になってしまいましたorz
新幹線の開業後、特急列車は新幹線に接続する本線経由に変わり、この高架橋を通過することはなくなります。それだけに、できればもう一度記録しておきたいという考えがありました。しかし、これでは残念ながら七月に撮ったものに及びません。今週末復帰したとき、もし晴れてくれれば再挑戦の機会があります。その機会に賭けるしかなさそうです。
これにより、道内での活動は事実上の終了です。あとは駅で駐車場と帰りの列車を手配し、腹ごしらえを済ませてから帰路につきます。
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晩秋の大地を行く - ヤクモ飲料

2015-09-29 14:33:53 | 北海道
5号線を函館方面へ走るとき、決まって立ち寄りたくなるのがヤクモ飲料の湧水です。初日の谷川岳PAに始まり、増毛、上川、さらにはここと、名水に恵まれた今回の旅でした。
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晩秋の大地を行く - 山崎駅

2015-09-29 13:51:33 | 北海道
前言を撤回して5号線をひたすら走り、八雲の二つ手前の山崎駅に着いたところです。
七月に「北斗星」を追って渡道したとき、復路に当駅の目の前を通過しながら、時間に追われて素通りせざるを得ないという経験をしました。今回ようやく立ち寄れたこちらの駅、待合室と保線小屋を兼ねた、通常の駅舎より二回りほど小さい切妻の建物が鎮座しており、小さな庇のついた大きな窓の向こうには、噴火湾と青空が広がっています。駅前に四本立つ背の低い松との取り合わせも絵になっていて、三和土になった待合室のベンチには駅ノートが。ささやかながらもしばし滞在したくなるよい駅です。
ちなみに、間を一気に飛ばしてきたのは、早めに距離を稼いで安心しておきたかったのが一つ。晴れたと思えば次の瞬間土砂降りになるという、当てにならない天候を嫌ったのが一つです。南下すれば多少なりとも天候が回復してくるかという期待がありました。その期待はある程度的中し、長万部を過ぎてからは日の差す時間が明らかに長くなり、路面もほとんど乾いています。時折雨が叩きつけるのは相変わらずとはいえ、少なくとも後志よりはるかにましな状況です。函館でも晴れてくれればよいのですが。
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晩秋の大地を行く - 昆布駅

2015-09-29 12:12:19 | 北海道
温泉から線路をまたいで昆布駅に立ち寄ります。平成初頭に改築された駅舎は、民家の二階分はあろうかという半切妻の屋根をファサードにして、妻面をハーフティンバーで仕上げるという造りです。
時間が押すと分かっていながら沿道の駅に寄ってしまうのは、明るいうちに車で訪ねるのが初めてだからです。加えて時折晴れ間があり、その瞬間に重なればそれなりの画が撮れるという事情もあります。長万部から先は七月に訪ねており、今回寄るとすれば一つ手前の二股まで、数にすればあと6駅です。二時を過ぎると帰りの列車の時刻が切迫してくるため、その6駅を全て回るか、2時になるかのいずれか早い方で切り上げ、あとは函館に直行する流れを考えています。
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晩秋の大地を行く - 幽泉閣

2015-09-29 11:50:06 | 温泉
空模様と同様、函館までの移動に暗雲が立ち込めてきました。朝風呂を手早く浴びて粛々と移動するつもりが、風呂に入ったところで早くも午前中が終わろうとしています。時間との戦いが始まりつつある中立ち寄るのは、昆布駅の裏手の「幽泉閣」です。
「交流促進センター」なる名称が示す通り、道中の行く先々で世話になってきた、宿泊施設を併設した半公営の温泉で、雰囲気はよく似通っています。しかし、曲線を描いた巨大な浴槽に注がれるのは、無色透明無味無臭の源泉です。道中で入った風呂というと、情緒を味わう銭湯、手早く入れるところに価値がある最寄りの温泉施設と、お湯については二の次のところがほとんどでした。数少ない掛け流しの風呂でも、浴槽はいずれも小さめでした。それだけに、滔々と掛け流される源泉がなおさらありがたく感じられます。旅の最後を飾るにふさわしい一湯です。

★ニセコ昆布温泉 幽泉閣
磯谷郡蘭越町昆布町114-5
0136-58-2131
月曜 1200AM-2100PM(最終受付)
その他 600AM-800AM/1000AM-2100PM(最終受付)
入浴料500円
泉質 ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
泉温 53.4度
pH 8.2
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晩秋の大地を行く - 急がば回れ

2015-09-29 10:52:44 | 北海道
先を急ぎたくなるのはやまやまながら、急がば回れの格言に従い、ここで帰りの支度を進めておきます。散らかっていた車内を片付け、持ち帰るものとそれ以外を区別するだけのこととはいえ、経験上これが意外に手間取るのです。今のうちにある程度済ませておいた方が、今後の移動が心理的には楽になります。
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晩秋の大地を行く - ニセコ駅

2015-09-29 10:11:21 | 北海道
続いてはニセコ駅を訪ねます。片流れの建物をハーフティンバーの山小屋風に仕立て、中央にステンドグラスをあしらった時計台を置き、沢山の花で飾った美しい駅舎です。今でこそさほど珍しくはないものの、国鉄時代は湖西線のマキノと並び、片仮名表記の珍駅名として知られた存在でもあります。
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晩秋の大地を行く - 比羅夫駅

2015-09-29 09:41:00 | 北海道
先を急ぐべき状況ではありますが、倶知安の一つ隣の比羅夫駅を訪ねます。二つ先の昆布駅に温泉があり、そこが10時に開くため、時間稼ぎも兼ねてのことです。
国道から道道に入ってしばらく進み、さらにその道道からも外れて坂を下った先の小さな集落に駅はあります。昭和30年代に建築された駅舎は、石積みの腰壁とハーフティンバーの大きな三角屋根を使った山小屋風。駅舎の前に平積みされた薪がよい点景となっており、ホームから望むニセコアンヌプリの眺めも秀逸です。
ちなみに、駅前の無人の直売所に落葉キノコが。落葉松の下に生える、北海道の秋の風物詩です。また一つよい土産ができました。
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晩秋の大地を行く - 出発

2015-09-29 08:43:44 | 北海道
荷物をまとめ、道内最後の夜を過ごした旭ヶ丘公園を後にします。雨は相変わらず断続的に叩きつけてはくるものの、短い間とはいえ空が晴れ、正面に鎮座する羊蹄山を拝めたのは幸いです。
倶知安駅の裏手の小高い丘に公園が造られ、その一角にあるのがこのキャンプ場で、一見何の変哲もない市街地の公園だった沼田の田島公園に対し、こちらはよりキャンプ場然としています。園内の通路の突き当たりが花壇のあるロータリーになっていて、その脇に炊事場が、炊事場の前には焚火もできるベンチがあり、奥へ向かって少し盛り上がった芝地がテントサイトです。広すぎず狭すぎず、ほどよい広さに必要十分なものが配置されており、これなら手練れのキャンパーに好まれるのも宜なるかなといった感があります。先客も慣れた様子のソロキャンパーでした。
天候に一喜一憂するのもキャンプであり、かような観点からは雨の中のキャンプも悪くはありませんでした。とはいえ、何かと不自由した部分があったのも事実ではあります。キャンプ日和を選んで再訪し、心置きなく晩酌するのもよさそうです。
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晩秋の大地を行く - 十一日目

2015-09-29 06:11:57 | 北海道
おはようございます。昨夜は終始雨の中のキャンプとなってしまいました。止み間はあるものの、降るときにはかなりの強さで叩きつける雨です。瞬間的な強さでは増毛の方が上だったのに対して、降った時間の長さについては昨夜の方が明らかに上でした。その状況でのテント泊はかなり厳しいものがあります。炊事場に逃げ込めなければ、車中泊にせざるを得なかったのではないでしょうか。まさしく地獄に仏でした。
もっとも、散々なキャンプだったわけではありません。途中までは羊蹄山の影が月明かりに浮かび、時折雲間から十六夜の月も出てくるなど、印象的な光景が出現したからです。炊事場の軒下で雨音を聞きながらのキャンプにも、それはそれで趣がありました。雷雨に不意打ちされた増毛でのキャンプともども、振り返ればよい思い出になってくれそうです。
本日は函館まで走り、車を置いて一時帰京します。約200kmの移動となるため、悠長に寄り道などしていると、最後に慌てる可能性は十分にあります。昨日風呂に入れなかったため、まずニセコで朝風呂を浴びますが、その後はある程度距離を稼ぎ、函館を射程圏に入れておくのが無難ではないでしょうか。朝食を済ませ、干したテントを片付けてから出発します。
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