日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

新春の四国を行く 2016 - 南都くろしお

2016-01-02 23:32:46 | 居酒屋
「瀬戸際」の居心地が上々で、一軒限りとするにもやぶさかでないところではありますが、そもそも今回徳島に泊まったのは、「南都くろしお」が開いていると分かったからでした。もう一杯、もう一品のところで切り上げ、浮いた余力を二軒目に投じます。
店先から中をのぞくと、先ほどからお客の入りは全く変わらず、カウンターの中ほどに一つだけ空席が残っている状況です。しかし、二軒目で軽く一杯やる向きには、混雑云々にそれほどこだわる必要もなく、そのまま暖簾をくぐりました。すると、左側にいた四人組が一斉に席を立つという僥倖が。残る二人の先客と合わせ、三人だけが残るというおあつらえ向きの状況となりました。
この店を最初に訪ねたのは、自身初めて徳島に泊まって呑んだ五年前です。教祖の推奨店がいずれも閉店し、何の手がかりもない状況で、呑み屋街をくまなく歩いた末にたどり着いたのでした。そのような経緯からくる愛着もあり、以後徳島で呑むときには必ず立ち寄ってきたわけなのですが、「瀬戸際」が選択肢に加わった状況で考えると、この店には一歩譲ると言わざるを得ない面がいくつかあります。その一つが、店名と裏腹に根室直送の魚介を主役に据えていることです。もちろんその魚介自体悪くはないものの、酒場に郷土色を求める旅人としては、地物を主役にした「瀬戸際」に軍配を上げたくなるところではあります。加えて県産の地酒をほとんど置かず、獺祭、飛露喜など県外のプレミア地酒を売るところにも懐疑的です。
しかし、人一人すれ違うのがやっとの薄暗い呑み屋小路の佇まいと、カウンターを斜めに切って狭い敷地を活かした店内の造りには味があります。そして流れてくるのは泥臭い演歌です。「瀬戸際」の懐メロも悪くはないものの、イントロだけで聞き分けられる割合が、こちらでは一層上がってくるような気がします。
演歌嫌いには間違っても勧められない店であり、それ以外の部分についても、教祖の推奨店と違って万人に自信を持って勧められる店とまではいえません。しかし、初めて訪ねたときに自力開拓した店には、その後知った名店に勝るとも劣らない愛着が湧くものです。そのような愛着もあり、この店にはこれからも折に触れて立ち寄りたいと思っています。

★南都くろしお
徳島市秋田町1-26 小沢ビル1F
090-4501-1113
1730PM-130PM(水曜・日曜 -2400PM)
不定休

三芳菊・出羽桜
突き出し(鮪山かけ)
たらこ
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新春の四国を行く 2016 - 瀬戸際

2016-01-02 22:20:48 | 居酒屋
読み通りの時間に着いたとはいえ、余裕綽々というわけでもありません。正月だけに早じまいする可能性も想定しつつ、取るものもとりあえず呑み屋街に出てきました。訪ねるのはもちろん「南都くろしお」、ではなく「瀬戸際」です。

思いがけない展開に至った発端は、店先からのぞいた「南都くろしお」が、満席とは行かないまでもかなり混んでいたことでした。そこでにわかに浮上してきたのが、去年世話になった「瀬戸際」です。実は、呑み屋街を少し歩いただけでも、ざっと半分程度の店が既に開いているのは分かりました。チェーンだけではなくその他の店を含めてです。そこで一縷の望みをかけて「瀬戸際」に向かったところ、驚くべきことに暖簾が出ていたため、そのまま入ったという顛末です。聞けば大晦日と元日以外は毎年店を開けているとのことであり、それなら初めから徳島に泊まるつもりで動けばよかったということになります。
これだけ多くの店が開いているということは、それだけ需要があるということに他ならず、呑み屋街は若年層を中心に下手な週末など問題にならないような賑わいでした。正月早々仲間内で新年会をするのが徳島の人々の風習なのでしょうか。徳島でこれなら、酒呑み天国の高知などそれ以上の賑わいなのでしょうか。ともかくこちらにとっては僥倖でした。

この店の特徴といえば、長いカウンター一本のみの細長い店内、地物の魚を中心にした短冊の品書き、話し好きな店主夫妻といったところですが、それ以外にもう一つあります。是非はともかく、訪ねてきたお客の名刺が、ラーメン二郎の店内のごとくに壁面を埋め尽くしていることです。実は自分も前回店主夫妻と意気投合し、名刺を置いて帰りました。一年ぶりに戻ってくると、その名刺は当時貼られたのと同じ場所に残っていました。過去に一回訪ねただけの客だけに、店主夫妻も即座に思い出すまでには至らなかったようではありますが、名刺のことで話が通じ、あとは女将が間断なく喋るという前回と同様の展開です。たかが二度目にもかかわらず、なじみの店に戻ってきたかのような居心地がするのは、気の置けない店主夫妻の人柄と、さりげなく流れてくる懐メロのおかげでしょう。
女将がどうなのかは未知数ながら、店主はかなりの居酒屋好きと見え、会話の中にも四国各地の有名店の名がいくつか挙がりました。酒好き、旅好きはともかく、居酒屋好きは必ずしも多いものではなく、そのような話に花を咲かせるのもまた楽しいものがあります。もちろんご両名の人柄のみならず、地元で呑まれている正真正銘の地酒を揃え、地物の刺身にすだちを絞るといったところも秀逸という他なく、名店ぶりを改めて実感した今回の再訪でした。

瀬戸際
徳島市栄町1-66
088-626-3837
1700PM-2300PM
日曜定休

芳水
沖すずき刺身
地物めじろ刺身
海鮮小鍋
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新春の四国を行く 2016 - 徳島到着

2016-01-02 21:26:36 | 四国
第二神明、神戸淡路鳴門道も読み通りの時間で走り徳島市街に入りました。毎度世話になっている11号線沿いの宇佐美で道中二度目の給油を済ませます。出発からの走行距離は約760kmです。四国への遠征も何度か繰り返すことによって経路が確立されつつあり、走行距離にして1800kmから1900km程度になることが分かってきました。現時点で全行程の四割ほどを走ったことになります。
ちなみに、今日の単価は最安値の記録を更新するレギュラー109円でした。
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新春の四国を行く 2016 - 久々の高速

2016-01-02 19:54:05 | 近畿
水走から阪神高速に乗り、ほぼ読み通りの時間で神戸まで走り通しました。これから第二神明を短区間経由して神戸淡路鳴門道に乗り継ぎます。
ちなみに、これが富士川で東名を下りて以来久々の高速です。歳を追えば追うほど、無味乾燥な高速道での移動をもったいなく感じるようになり、その傾向にETC割引の大幅縮減が拍車をかけて、最近では乗り得の区間、短縮効果の大きい区間、高速道しか使いようがない区間以外は、極力高速道路を避けるようになりました。今回でいうなら阪神高速な乗り得の区間、第二神明は短縮効果が大きい区間、神戸淡路鳴門道は他に選択肢がない区間に相当します。
ただ、いくら高速道路を避けるとはいっても、静岡の東部から大阪府内に入るまで、全区間一般道で走り通したのは初めてでした。我ながらよくやったものだと思います。この先徳島までは、高速道路をひた走る安直な行路です。破綻しない程度の時間に着きそうです。
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新春の四国を行く 2016 - 今夜の宿

2016-01-02 18:28:06 | 近畿
天候次第でキャンプも画策していた今回の道中でしたが、結果としては宿泊に落ち着きました。先ほど徳島の宿を押さえたところです。
そもそもの発端は、今朝が予想外の氷点下まで冷え込み、日中も10度を少し超える程度までしか上がらなかったことにより、キャンプをするにはいささか厳しい条件となったことです。しかるに昨日の出遅れにより、元々の構想に比べて実質一日近い遅れが生じ、今日中に到達するはずだった松山まで行くのは厳しくなりました。そうすると次善の策は徳島泊ですが、「たにた」が控えている松山に対し、正月二日から開いている店が果たしてあるかが懸念材料でした。
そこで思い出したのが、以前世話になった「南都くろしお」です。去年ここを再訪しようとしたところ、2日と3日が営業で、4日から7日までが遅い正月休みという変則営業により、あいにく振られるという経験をしました。もし今年も同様の変則営業ならと思い電話をかけると、果たして営業との返答があったため、その時点で腹は決まった次第です。
決して大きい店ではないだけに、他に開いた店もほとんどないであろう状況で、満席で振られるという事態にならないかが懸念材料です。しかし、到着時刻が読めない以上予約をするわけにも行きません。高を括って乗り込みます。
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新春の四国を行く 2016 - 素通り

2016-01-02 18:13:25 | 近畿
名阪国道を天理まで走り、そこから少し北上して奈良に着きました。しかし今回は素通りします。
去年の正月、やはり四国への往路に奈良を経由したときには、立ち寄ったという形跡を残そうと画策した挙句、ほとんど何の収穫もないまま二時間近くを消費するという経験をしました。その空しい経験で懲りたとでも申しましょうか。今回の道中で奈良を経由する意義とは、有料道路を避け阪奈道路で府県境を越えることの一点に尽きます。その程度で奈良を訪ねたなどとは到底いえない以上、わざわざ足跡を残すには及びません。
このように割り切って考えられるのは、昨年末に訪ねた「蔵」でのひとときが最高だったからでもあります。やはり、あの店で一献傾けなければ奈良を訪ねたことにはなりません。そして、自分自身あれと同等以上のものを当分望んではいません。今回は潔く素通りし、腰を据えて呑める機会を別途設けるつもりです。そのときにまたお会いしましょう…
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新春の四国を行く 2016 - 新堂駅

2016-01-02 16:29:49 | 東海
一つ隣の新堂駅を訪ねます。駅前広場と駅の裏手の国道側を結ぶ形で跨線橋が架けられ、間にある島式ホームに待合室があるにもかかわらず、用済みになったはずの木造駅舎が奇跡的に残っています。教科書通りの切妻屋根と、同じく切妻の車寄せを持ち、灌木と松の木を配した庭園風の植え込みがあるのは柘植駅と同様です。加えてここには蘇鉄もあり、その傍には狸の置物が鎮座していました。
西へ流れてきたこともあり、西日はまだかなり高い位置にあります。しかし、もともと弱い冬の日差しが薄雲に遮られ、日没直後と大差のない明るさとなってしまいました。本日の昼の部はこれにて打ち止めです。名阪国道のICが至近にあるためすぐさま乗り、西へ向かって大移動を開始します。
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新春の四国を行く 2016 - 柘植駅

2016-01-02 15:54:06 | 東海
続いて訪ねるのは草津線を分ける柘植駅です。てらいのない切妻の木造駅舎は加太と同様ながらも、まっすぐ張り出した相似形の車寄せに加えて、駅舎の前面をつっかい棒のように支える斜めになった三本の木材が特徴的で、松の木と灌木で庭園風に仕立てられた植え込みがよい点景となっています。
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新春の四国を行く 2016 - 加太駅

2016-01-02 15:31:49 | 東海
冬の短い日差しが次第に傾く中、日没までの残り時間は時間の許す限り関西本線の駅を訪ねます。最初に立ち寄るのは加太駅です。
戦前に建築された木造駅舎は、腰板こそトタンに張り替えられてはいるものの、切妻屋根からまっすぐ延びた車寄せと、その下に掲げられた駅名の扁額が立ち姿を引き締めています。ホームの前後で大きく曲線を描き、視界には収まり切らない構内が、余裕のない敷地にできた峠越えの駅ならではです。
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新春の四国を行く 2016 - 関宿

2016-01-02 13:29:07 | 東海
午後は近鉄電車を撮るつもりでいたところ、あいにく空が曇ってしまいました。ところが、撮影を諦め名阪国道の沿線まで北上すると、空が再び晴れてきました。出発以来、天候とこちらの行動が噛み合いませんorz
まあ、こればかりは運なので致し方がありません。気を取り直して東海道の関宿を訪ねます。重要伝統的建造物群保存地区に指定され、往年の街並みがほぼそのまま残るこちらの宿場、御多分に漏れず電線を地中に埋め、それによって映画のセット然とした雰囲気になってしまっているのが玉に瑕です。しかし、観光客に対していたずらに迎合するわけでもなく、格子窓の町家に混じって酒屋、電気屋、薬局、美容室から足袋屋などという変わり種まで様々な商店が点在する街並みには生活感があり、観光客が思いの外少ないのも好ましいものがあります。
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新春の四国を行く 2016 - 津観音

2016-01-02 12:08:06 | 東海
さしたる見所もないはずの津市街に、結局午前いっぱい滞在してしまいました。トリを飾るのは毎度同じみ津観音です。
広い境内に立派なお堂と山門を備えた高田本山が、素人でも一目で分かる由緒正しき寺だったのに対し、こちらはお堂もお五重塔もささやかで、事前に知らない限り浅草、大須と並ぶ三観音の一つとは気付きません。しかし、いつ行っても少ないながら参拝客がいるのはさすがであり、参道から発展してきたであろう周辺のうらぶれた商店街、呑み屋街の雰囲気も捨てがたいものがあります。
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新春の四国を行く 2016 - スガキヤ

2016-01-02 10:57:46 | B級グルメ
昼時で混み出す前に遅い朝食兼昼食をいただきます。牛丼以外の選択肢が極度なまでに限られていた昨日に対し、今日はスガキヤという恰好の選択肢があるため即決と相成りました。
注文は例によって特製ラーメン、今回は朝と昼を兼ねるため100円増の大盛にしました。しかし、600円、700円のラーメンでも大盛は大抵100円増であることを考えると、元々430円のラーメンが100円増しという価格設定に一抹の疑問を感じてしまう自分がいます。吉野家など大盛ならば170円増、割合にして五割近くも上がることを考えれば、たかが100円で目くじらを立てるような話ではないのですが。まったく小さい人間です(苦笑)

ちなみに、スガキヤのよいところとして、お冷のグラスが文字通りのガラス製で、そこに角氷を好きなだけ入れられるようになっていることが挙げられます。フードコートの飲食店といえば、砕いた氷が一緒に出てくる冷水器から、樹脂のコップで水を汲むのが相場ではないでしょうか。たかが300円のラーメンを売る店でこのお冷が出てくるとは見上げたものです。
もう一つのよいところは、店番号と店名を押印したアンケート葉書が備え付けられており、それがよい記念品になることです。本日訪ねたのは第6905号ヤマナカ津新町店でした。

★スガキヤヤマナカ津新町店
三重県津市博多町136番の1 アルテ津新町店1F
059-229-5015
1000AM-1930PM
第6905号
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新春の四国を行く 2016 - 津中央郵便局

2016-01-02 10:28:43 | 東海
続いては郵便局に寄って年賀状を投函します。奈良と高松から投函した昨年に対し、今年は津からの挨拶となりました。
文面を印刷して出発し、旅先で一筆添え、風景印を入れてから投函するのが自分流の年賀状です。一枚だけならともかく、繁忙期に何枚もの葉書を持ち込み風景印を入れてもらおうとは、何とも迷惑な話ではあります。しかし局側も慣れているのか、このような場合には風景印を貸し出して自ら押してもらうという対応が多いような気がします。
自ら押印して気付くのは、消印一つ押すにもコツが要るという事実です。自ら押した陰影は微妙に曲がったりかすれたりして、素人が押したということが一目で分かってしまいます。本職のようにまっすぐ、なおかつ均一に押せるようになるためには、どれだけ熟練しなければならないのでしょうか。少なくとも、年に一度押すだけでその域に到達するのは難しそうです。
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新春の四国を行く 2016 - 高田本山

2016-01-02 08:25:31 | 東海
結果として、元日を休みにして未明に出るのとほぼ変わらなくなった今回の道中ですが、よかったことも少ないながらあります。一つは高速料金を節約できたことであり、もう一つは津までの移動が快適だったことです。断続的に渋滞する23号線を行くのが例年の展開だったところ、今回は時間帯が早かったこともあり終始順調な流れでした。現在の気温は氷点下1度、今季初めて体感する氷点下です。
全国屈指の地味な県庁所在地である津において、数少ない名所の一つといえるのが高田本山です。境内には行き交う人の姿もなく、正月二日で早くもこれかと一瞬拍子抜けするものの、地元の人々が時折現れては本堂の中に入って行き、閉ざされた障子の向こうから講話が聞こえてきます。障子戸をくぐると数名ほどの参拝客が頭を垂れつつ耳を傾けているところでした。椅子が沢山あるにもかかわらず皆正座しているのは、彼等が熱心な信徒だからなのでしょうか。それとも都会人が日頃から無信心過ぎるということなのでしょうか。真宗門徒としての心構えを説く講話も、こちらには「馬の耳に念仏」に近いのが実情ながら、ありがたく拝聴して辞去します。
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新春の四国を行く 2016 - 二日目

2016-01-02 06:04:37 | 東海
おはようございます。体力の続く限り走るなどと申しておきながら、結局長島のドライブインの駐車場でそのまま眠ってしまいました。腹ごしらえして一風呂浴びて、出たところに広大な駐車場もあるという状況で、必然的にそうなったというのが真相です。
着いた時点で3.5度だった気温は、現在1.5度に下がっています。これだけ冷えれば車中泊には難儀するかと思いきや、寝袋一枚で快眠できたのは意外でした。mont-bell製品の本領発揮といったところでしょう。

最低でも近畿圏まで駒を進めるつもりでいたはずが、三重県内にとどまったことで、今後の行動にも再考の余地が出てきます。今からまっすぐ走っても、神戸発8時のフェリーは時間的に厳しいでしょう。過去にも難儀した阪神高速の渋滞に巻き込まれる可能性もあります。その結果、甚だ無節操ではありますが、引き続き23号線を下り、津を通って伊賀から名阪国道に乗るという経路で、一日かけて近畿に入るのが妥当な落とし所になるかと思います。暗くなってから徳島に渡り、入れる呑み屋があれば宿泊してもよし、そうでなければ二日連続車中泊といった流れを考えています。
日の入りが次第に延びてきた一方で、日の出は今が一年中で一番遅い時期です。六時を回って東の空がようやく明るくなってきました。津に着く頃には日が差してくるかもしれません。
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