球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

仕事の思想

2005-04-15 | 技術
先日先輩からご推薦がありました
田坂広志「仕事の思想」のレビューをここで行おうと思います。
(これまでも探していたけど売っていなくて。
 さすが新宿の紀伊国屋だな、といったところです。)

と言っても新宿から調布までの数10分、各駅停車で急いで読んだものなので
あまりいいものが書ける自信はありません。

せっかく著者が話を十個に分けて書いているので、感想も十個に分けて書きます。
(あらすじを書くと偉い人に怒られそうなので、あくまで感想です。
 従って、読んだことのない人には極めてつまらない文章になります。)

第一話 マズロー的ピラミッド
「欲求の五段階説」という話がありました。
人がどういうものを欲するのかというのを段階分けしたもので、平たく言って
本能→理性 の趣で考えていただくとそれなりにピントのずれない考え方ができるように思います。
概念に上位下位があるという議論に関しまして僕はそれほど明るくありませんが、
明日殺されるかもしれないという状況では、誰でもまず生き延びることを考えるということを言っています。
ビジネスの世界で。
このことは、明日殺されるかもしれない状況で誰かに尊敬されたいと願うのは、「発想が飛躍」しているということの指摘になります。
恐怖心を抱いた状態で自己実現を考えるのは、残念ながら順番が違うということですね。

第二話 俺に見返りをくれよ
ここでも、仕事に何を求めるかで上位と下位の概念があります。
ここでは4段階の「報酬」。
仕事の報酬は仕事であるということは、研究室において感じてきたことではあったかもしれませんが…
研究室では、給料という報酬がないのであまりここの考えを上手く生かせない自分がいます。

第三話 理想を助け、夢想を挫く
僕がもっとも耳の痛い(こういう場合、目が痛いとか言うんでしょうか?)思いをしたのがこの章。
夢を語る人にも種類がいて。僕は、ここにでてくる「理想家」と「夢想家」を混同したせいで、
ものすごい損をしたような気がする。夢想家のみならず理想家をも憎んでしまった僕。

第四話 僕の鏡はすりガラス
人の思いは、鏡の如く、という話。
心のくぐもりはガラスのくぐもり、見えない自分、見えない相手、そういう姿がよく見える。

第五話 右←→左
矢印を間違っていると、人に共感なんてできないよって話。
僕は、これを読んでいるあなたのファンであり続けるということ。
ものを書くときに、きっと大事な姿勢です。
ファンを増やそうと思うより、皆さんのファンであろうと思って何かを書いたほうが、
自ずと伝わるものがあるのかもしれません。
ただ、とんでもなくクサいので上手くやれるのかは謎。
別な本では、「他人を信用する」という書かれ方をされることも多いように感じる内容です。

第六話 皆で欺瞞を感じましょう、反面教師。
俺は海のような男になりたい。

第七話 魔法王国アルテナ、女王は王女の魔法のつたなさに…
ゲームみたいな題名になってしまいました。
他人の人生に責任を持つ、それが高貴なことなのか…
ただ、そういうひとが多かったのかどうか、ちょっと僕は知りません。

第八話 会わなくてよい友達
この章も僕にとって感慨深い章でした。
会わなくてもヤツはきっと歩き続けていると感じ続け、自分の中に流れ続けている友達。
不思議と僕はそういう友達に恵まれているように思います。
そういう友達であろうと願っています。
そういう同僚であろうと願っています。
そういう先輩であろうと願っています。
そういう後輩であろうと願っています。
そういう子であろうと願っています。
そういう親になろうと願います。

第九話 ウサギと俺はどっちが寂しがりやかね?
人脈とかいいますが、薄っぺらくない仲間がいることを誇りに思います。
これからもそういうものづくりに励んでいくのだと思います。

最終話 野心と志
就活で「夢が破れたらどうするか」を考える機会がありますが、
ずいぶん地球的な視点で物事を見ることができれば、それも大した問題ではないのかもしれません。


この人の優しさあふれる文章にまず感極まるものがあります。
仕事の思想といいますが、応用範囲の広さはまさしく人生レベル。
そういうことを常に考えて仕事に励むことができるかどうかはわかりませんが、
人はいつでも帰れる場所をもつ。

先輩がさいこーと言っていたように、
そのことを噛み締めて、生きてゆきたいものです。
コメント
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