mt77のblog

信州松本からの投稿(2004年11月11日~)

松本の雛祭りいろいろ

2015-03-12 | 松本の話題・情報
月遅れの雛祭り

日本の年中行事は太陰太陽暦(旧暦)を使用していた時代に定められたものが多いのですが、この年中行事を太陽暦である新暦で行うと、季節が約1か月程早くなってしまいます。
このため、年中行事が本来の季節からずれてしまい、その時期に行う意味が薄れてしまうものがあります。
松本の新暦の3月3日はまだ冬で、桃の節句なのに桃の花が咲いていないと言う事になってしまいます。
このずれを避けるため、暦の上での日付を1か月遅らせて、旧暦の時代の季節から大きくずれないようにする方法を取るようになりました。
これが「月遅れ」と言われる所以です。
そのため我が家では雛祭りは4月3日に行われます。

松本押絵雛
松本押絵雛



松本はその昔、雛人形の一大産地でした。

江戸時代に書かれた旅行ガイドブック『善光寺道名所図会』には、松本の名産品として押絵雛が紹介されています。(武士の家の内職が起源とも言われています。)
松本の押絵雛は、天保年間(1830~1844)に始まったとされ、錦絵を基にして小さな押絵雛が作られていたようです。
明治頃からは需要に応えるために分業化(顔描き・顔張・胴張・下絵描き・心拵え・台造りなど)が進み、押絵雛も大型化してきたようですし、松本の特産品として県外にまで販売されていたようです。松本の押絵雛は鉄道が開通した明治後期から、次第に座雛に取って代わられるようになり、大正期には技術を保有する人が途絶えてしまい姿を消しました。
しかし、博物館や民家に残る押絵雛を参考に松本押し絵雛研究会(ベラミ人形店)がその技術を復活させて、復元製作しています。
天保11年の松本押絵雛
天保11年の松本押絵雛


片節句はいけない

片節句のみのお祝いは良くないという地域が松本平にはあり、男の子でも桃の節句のお祝いをしたり、女の子でも端午の節句のお祝いをしたりします。
雛人形を飾る際にも、五月人形(金太郎人形や兜)を一緒に飾ったり、男の子しかいない家にも雛人形を飾ったりして、両方の節句をお祝いするようです。
我が家では「片節句」という言葉を聞いた事がありません。
並柳にある「民芸旅館深志荘」の雛飾り
並柳にある「民芸旅館深志荘」の雛飾り
雛飾りと一緒に兜が飾られています。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする