妻には絶対勝てない
そう思ったのは十数年前
そのきっかけは屁
何か数発ボンと音がした
「何か音がした?」
妻に聞きに行った
彼女は数部屋離れた
自分の部屋にいた
「あ~ら聞こえた」
にんまり笑う妻
驚く爺
だがそれはほんの序章
テレビを見てると
ボ~ン
妻がクックックッと笑ってる
何と表現したら言いか
それは根性の座った音
とても爺にはまねが出来ない
屁までもがひ弱な爺
以来妻の前では
差し控えてる
二人とも
回復には向かってるが
以前鼻がとまらない
ティシュの消費量は
アレの分が少なくなったので
鼻をかみまくる分
辻褄が合ってる
そして驚いた
ズルズルと鼻をかむ爺
そばで妻がかむ
迫力がぜんぜん違う
どうしたらあんな音が出るのか
屁で負け
はなかみで大敗した爺
それで妻にはかなわないと
思った爺
だかよくよく考えると
それだけではなかった
せき
くしゃみ
いびき
笑い声
泣き声
どれもこれも負けてる
とくに彼女のくしゃみ
爺の不整脈は
彼女のそれが原因では?
そう怪しんでる
だが少なくとも最初の10年は
そんな事はなかった
どこへ行っちゃったの?
はにかみさん
3人の子供を育てた上げた妻
そんなものは無用
それとともに失った言葉
「出て行け」
かわりに
「出て行きます」
今の若い人に言いたい
今のままだと思ったら
大間違い
でも気付いてもダメなの