爺の健康検査報告書は
見なくてもわかる
先生の言葉も決まり文句
総コレステロール
中性脂肪
γ-GTP
特にこの三つがいつも高値
どれもこれも
参考正常値を軽く超す
先生からは
いつも脂肪肝を指摘され
γ-GTPなどは
「お酒は相当飲みますか?」
いつもそう聞かれる
「はい」と答えるが
実は7年前心房細動になり
お酒はちょっとした断酒に近い
だが
飲んでないとは言えない
2年前の目の異常「複視」
その時服用したステロイド
そのためか
γ-GTPはさらに異常に高くなり
肝臓の悪さはあきらめの心境
検査報告書の数字
異常値は赤字で書かれてる
赤字が多い爺のそれをみて
はるかに赤字が少ない妻が
余裕をこいて
「ちょっと気をつけてよね」
そうのたまう
それが我が家の
毎年恒例になった妻との談笑
その平和も
全て爺の赤字が多い
それが大前提
そして今年
妻の検査報告書には
赤字が一切なかった
大喜びの妻
また爺の赤字を見て
大笑いするのは間違いない
これで我が家の平和は保たれた
そう爺も喜んだのである
そして昨日の爺の検査報告書
何と驚くことに
爺のにも赤字がない
生まれて初めてのこと
妻の機嫌の悪さがわかった
爺の正常値なんか考えられない
と言うことは
自分の結果もちょっとあやしい
違う病院でもう一度受けようか
妻がそうつぶやいた
検査血液の取り違え
昨今のご時勢であれば
十分考えられること
さてさてどうなりますか
我が市も例外ではなく財政難
それをちょっとでも救おうと
無料健康診断をあえて有料で
とても奇特な爺なのです

それはちょうど一ヶ月前
その結果を聞くべく
本屋へ行ったのが一週間後
待合室に居並ぶ患者さん
その数の多さに驚き、引き返した
ただ結果を聞くだけで
風邪でもうつされたらたまらない
気にはなっていたが
その後なかなか行けなかった
そして昨日
妻から突然その結果を渡された
今では欠かせない
自分の睡眠導入剤をもらうため
立ち寄ったらしい
なぜか妻の顔はちょっと不機嫌
まずいぞ

自分で保管する
そう大見得を切ったはいいが
その市の無料受診葉書を紛失
その告白は命に関わりそうなので
しかたなく病院へ行くと言って
本屋で時間つぶした
その後期限が過ぎた11月に
本屋へ行くといって
有料で受けた健康診断
彼女の持つ検査報告書には
検査日がくっきり印刷されてる
それがばれたのか

...ではなかった
大物の妻には
そんな事は今や頭の片隅にもない
とっくに忘れてる
て言うか興味なし
ならどうして?なのでしょうか
