選ばないでね

彼には悪いが
事件の最終結末は
妻の推理通りになってほしい
そんな気持ちもあるのです
我が家の平和のために
だが経過は以前犯人単独犯行
どうも覆りそうもない

と言うことは
爺の推理どおり
これは爺には幸せではない

爺が推論を展開する中でも
周りの人々の目は冷たかった

そんな事を言うのは
あなたも同じ部類ネ
妻の目はそう語っていた

このままでは妻の機嫌が悪い
愛猫モコに八つ当たり
モコはとち狂って
爺の部屋でゲロをはく

我が家の不幸の悪循環

妻の推理通りになって
妻から
あんたの推論なんて
どうせその程度なのよ
そう罵倒される方が
よっぽどまし

これらをもって
爺は裁判員制度に反対
いわんや
裁判員には全く不向き
それでも選択されれば
その非は選んだ人に有り
そう宣言いたします

きよしこの夜

妻にスリッパを投げられ
当たり所よろしく？
見事、眉間から出血
周囲にその事実を力説したが
誰も信用してくれなかった
かなり昔のことではあるが
似たようなことは今も続いてる

それもこれも人相
人前で笑顔が絶えない妻
人前でさらに仏頂面の爺
全てそれで決まる

推理小説が愛読書の爺
早くから彼の無罪を主張した
彼には負けるが(爺の判断)
顔で苦労してる同志の哀れみ
それでそう推理したわけではない

重大な点は遺体がないこと
もし彼の犯行ならそれは不自然
むしろ遺体はそのままで
他人がやったような偽装工作
それが自然

日曜日に訪ねてきた友に
ちょっと自慢げに
当初から
そう主張してたことを話した
そして妻に
「ねぇ～そうだろう？」
そう相づちを求めた

妻にとっては
悔しい結果になってるのか
「知らん」
返ってきた妻の速攻の返事
爺の立場はなくフリーズ

「まだわからんよ」
そう続ける妻の意見に
友もなぜか同調気味

そうまで言わせるのはなぜか？
ごく身近な方達が亡くなってるのに
彼からその悲しさが伝わらないこと
それは爺も感じてる

更に弁護すれば
悲しみの表現も
人それぞれなのかもしれない