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年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

2012.7.14 IGF大阪大会 笑顔と記憶なき戴冠、新王者:藤田和之ストーリー

2012-08-30 00:15:22 | その他もろもろ
ロンドン・オリンピックよりも前のお話で恐縮ですが、行って参りました
シティライツ、アントニオ猪木事務所協力のイベント、IGF大阪大会。
主催は、関西音声サポートセンター(KOS)。果たして何人集まるのかな
と不安でしたが20名以上でびっくり、KOSの結束の強さでしょうね。
元町映画館で活動されていると聞き、是非そのうちお伺いしたいと
思いました。さて、今回なぜ参加したかと申しますと、何と7年半ぶり
音声ガイドのお誘いをうけたからです。とはいうものの、東京から
壇さん、鈴木さんが来られて実況・解説は完璧なので、時々好きなことを
しゃべるだけというとても楽な立場の”名ばかり”ガイドでした。あしからず。
そこで、殊勝にも活動レポートを書こうかとも思ったのですが、筆が進まず
単なる藤田ファンとしての、プロレス観戦記となりました。三千文字超の
長文ですが、興味のある方に読んでいただければと思います。

【開場前】
午後4時前、音声ガイドのセッティングのため開場前に、会場入り。
スタッフが、あわただしく動くなか、ひとり、リングで柔軟とストレッチングをする
男がいた。太い、黒い、静か。照明の消えたリングは暗く、誰だかわからない。
だが、タックルと引きの素早さ。壇さん曰く「人間よりもゴリラに近い」という
巨体でこれができるのは、野獣・藤田だ。今日は、藤田のための大会と
言ってもよいお膳立てができていた。チャンピオンのバンナは4日前の中国で
防衛戦というハードスケジュール。腕を負傷とも言われていたし、
オーロラビジョンの映像では、防衛戦勝利のあと腰を押さえていた。
一方、挑戦者の藤田は、中国遠征は免除。あとはどう勝つかだけだ!!
30分を超える入念な試合直前のトレーニングは、既に王者の特権のよう。
片足で立った姿勢からもう片方の足の甲を持ってのストレッチング。
コーナー付近のトップロープに片足を上げてのストレッチング。
特に右足は、時間が長い。会場を見渡すその目は、勝利のシミュレーションを
しているかのように見えた。

【藤田和之】
プロレスファンにとって、総合格闘技戦での藤田ほど頼もしい存在はなかった。
総合登場当時、総合用のトレーニングもそんなできなかったろうに、連戦連勝。
"霊長類ヒト科最強の男"と呼ばれたマーク・ケアーにも勝利した。
そして運命の一戦 2001年8月19日、藤田VSミルコは、今からみてもキック系と
レスリング系の勢力図にかかわる歴史的大一番であった。異常な緊張感のなか、
ゴング!! 藤田のフットワークが、キックボクサーのそれに負けてなく、数回タックルを
かわされるも、3回目キック受けながらも藤田が上になり、試合を支配しだした。
「攻めろ!!」「行け!!」「勝った!!」と思った途端。レフリーがストップ。立ち上がった藤田
の額から、ドクドクと血が流れ落ちていた。スローモーションでみると、タックルに
入ったときにミルコ膝を入れていた。プロレスファンからすると、流血があろうと、
あそこで試合を止めらなければ、しとめていたはずだったのだが。
39秒、ドクターストップでTKO負け。両手を広げてアピールする藤田であったが
判定は覆らず。私が東京にいた16年間で、これ程残念な試合はない。
その後、新日本プロレスで、3度のIWGP王座につくものの、大活躍とは言いがたく、
2009年大晦日、アリスター・オーフレイムにKO負けしてから、試合から遠ざかった。
ちなみにこの総合最後の試合のファイトマネーは、裁判沙汰で明らかになり、
1試合で何と4400万円。超大物である。
復活したのは昨年夏、急遽IGF王座戦で復帰。バンナに敗れたものの、
その後1年IGFで実績を積み、満を持しての本日挑戦。

【大阪大会 前座からセミファイナルまで】
中国遠征直後で手が回らなかったのか、観客も少なめ。でも熱戦が続いた。
高校卒業した定アキラは、柴田 正人にシングル初勝利。表情もずいぶん精悍に。
毛利元就の末裔、毛利昭彦は、久々に見たパンクラスの冨宅 飛駈をあっさりKO。
シュ-ボクシング女子は、可愛さに癒された。名前もMIOとRENA、芸能人みたいだ。
同(男子)は、老獪な王者・マーサが元気な若者・元貴 に、しぶく判定勝ち。
元K-1天田ヒロミは、197cm角谷正義を、大木が倒れるように見事なKOで倒して
大喝采。元大相撲の将軍岡本と初代DEEPメガトン級王座の川口雄介の
肉弾戦は岡本のバックドロップで朦朧としたなか川口がラリアットで返すも
両者立てず、ダブルノックアウト。その他、IGF所属のタカ・クノウ選手が突如として
リングにあがり「何で俺の試合がないんだ!!」とマイクパーフォーマンスをする場面も
ありました。私も同じ気持ちです。

アントニオ猪木さんは、三国志で人気の軍師、諸葛亮公明の姿で登場。
引退セレモニーのときの「道」を拝聴させていただきました。
「戦う大量破壊兵器」アレキサンダー・コズロフは、藤波直伝のドラゴン殺法で
迫る鈴木秀樹を軽く蹴落す。強ぇ~!
セミ・ファイナル。ピーター・アーツ、エリック・ハマーVS澤田 敦士、鈴川 真一の
タッグマッチ。外人の方がどこからみても強かったのに、なぜか誤爆から、
最後は澤田敦士の腕ひしぎでアーツから記念すべき、ギブアップ勝ち。
澤田敦士は、この大会から個別の机で、キャラクターグッズが、
販売されてました。でも、並んでいる人はほとんどおらず。つらいなあ。
でも、これからこれから、というわけで、見所満載の試合の連続でした。

【本日のメインエベント IGF チャンピオンシップ防衛戦 60分1本勝負】
炎のファイター INOKI BOM-BA-YE オーケストラバージョンに乗って藤田が登場。
試合前は肌の色が黒く見えていたが、スポットライトに照らされた上半身は、
みなれた褐色。ゴーング!! 
藤田低い姿勢あから足にタックルに入ろうとするが、いきなり、バンナがラッシュ。
左右パンチの連打から、左右のキックと攻め込んでゆく。連戦の疲れから
短期決戦に来たか?グローブをつけていない藤田は空手チョップ気味の掌底で
返すがとどかず。再び、バンナのパンチとキックのラッシュ。すると、
開始1分、バンナの左ハイキックが藤田の右側頭部炸裂!!いきなりダウン!! 
バンナは、それまでパンチからキックに入っていたのですが、ここだけ、
左ハイキックのあと藤田のガードが下がったのを見逃さず、左のハイキックを
連打したのでありました。藤田、半身の姿勢で早くも苦悶の表情。どうにか
立ち上がったものの、ロープに手を伸ばすしぐさは、足にきたか?
得意技のダウンした相手に対する膝蹴りを逆にあびた上、総合では許されない
ことの多い四つんばい状態で、側頭部へのキックを食らう。一発!、二発!
と、まあボコボコ!!かなりえげつない攻めです。さらに上に乗っかられ、再び膝を
落とされる。ここまでいいところなし。
3分過ぎ、藤田ダウンした状態から、ロープ際でバンナの腰下辺りにに組み付いて
持ち上げ、リング中央に背中から叩きつける。バンナ苦しげに体を反転させるが、
藤田腕で押さえながらお返しに膝を連発で落としてゆく。ただ、このあたり、
いつもの藤田と比べるとやや迫力不足。足のバックスウィングが小さく、あわてて
小刻みに膝をあてている感じ。5発、6発。バンナをたたせると腰にからみついて
バックドロップ炸裂!! やっとここで五分にもちこんだかなあ、やっと落ち着いて
ちょっとじっくりと見られるぞ、と思っていたら、な、な、なんと、
うつ伏せに倒れているバンナの頭側から、腰を持って逆さに持ち上げ、頭を膝に
挟んでそのまま重力に従って膝からマットにドスン。(ドリルアホールパイルドライバー)
うつ伏せに倒れているバンナの腕を取って仰向けに反転させ覆い被さってカウント。
ワン、ツゥー、スリー。4分0秒。体固め。体固めで藤田和之選手の勝ち-っ。

こうして文字におこしてみると、結構いろいろあったなあと思える攻防ですが、
前半3分過ぎまでバンナの猛攻で、藤田の攻めはラスト30秒程の1回だけ。
やや唐突な感じでパイルドライバーが飛び出しました。いろいろやってほしかったし、
多分そう思ってたのだろうけれど、頭部へのハイキック1発を受けて、
わけがわからなくなって、慌ててフィニッシュに持っていったという感じ。
まさに一寸先は、ハプニングのIGF王座移動でした。

【試合後】
リングに倒れているバンナ。一方、藤田も、ガッツポーズをするわけでもなく、
顔に手をやりロープをつかんだりしながら、あたりを見渡している。ここに沢田が乱入し
王座挑戦宣言。藤田は受諾。猪木さんに「どうですか」と振るも、「俺に聞くなよ」と
返される妙なやりとり。後日の報道によると、試合後、藤田選手は、記憶が飛んで
全く覚えていないそうです。このセレモニーも、試合のことも。
まあ、ちゃんと勝っちゃうんだからすごいですが、勝利の瞬間、喜びが爆発するような
ガッツポーズが見れなかったように、藤田本人にとっても、試合内容には不満が
残ったことでしょう。

でもね、まあチャピオンになったんですから、これから、名勝負を積み重ねっていって
ください。藤田が総合に身を転じたときに、「プロレスはまた後からでも」と言ってたのを
思い出します。今がそのとき、今こそプロレスで花開いてほしいのです。
今日は長期政権の第一歩。王座移動劇を生でみられたのですから、大満足の
一日でした。


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