とりあえず法律・・・・かな?

役に立たない法律のお話をしましょう

2007年を迎えて

2007-01-02 17:07:50 | Weblog
 何かと話題の多かった2006年を送って,2007年を迎えた。

 主要法令の改正も,昨年の会社法の施行で一段落し,司法制度改革も,同じく法テラス(日本司法支援センター)のスタートで,こちらも一段落した,というところであろう。

 そうすると,法律の世界で今年話題を考えると,どうなるだろうか。

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 まず,ひとつは,新司法試験の本格実施と,新制度による司法修習の第1期生の誕生であろう。
 昨年の2年コース対象の新司法試験は,東大が70%,中大が50%と,有名校でも大したことない一方で,一橋が健闘するとか,地方の私大も少数精鋭で合格者を出すなど,変化を感じさせるものがあった。
 今年は,3年コースの修了者が受験に参入し,本来あるべき姿の新司法試験となる。また,主に3年コースをおいている伝統校でない法科大学院が参加してくる。全体の合格率も相当に程度に低下するとのことで,新規参入の法科大学院が,どれくらいの実績を出すかが大いに注目されるところである。

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 このような目に見える結果はともかくとして,法科大学院の大きな問題は,法科大学院の教育システムが,期待される法曹の養成に適切かどうか,ということであろう。
 法科大学院は,制度が先行し,その教育システムが,大枠が決められただけで,具体的なメソッドが確立されるどころか,そのテストさえ行われないまま,スタートしている。これまで司法研修所で行われていた教育の,どの部分をどういう形で法科大学院が担うかということについても,それほどきちんと決まっているわけではないというような話しもある。

 司法研修所でも,法科大学院の教員を集めて,情報交換を図って,基本的なところは漏れがないようにしているようであるが,法科大学院自体は,国の機関ではなく,一定の基準を満たせば自由に設立でき,カリキュラムも自由に組めるもので,その教育水準の維持(この「教育水準」には,司法試験の合格実績というだけでなく,合格後に,実務家として,もう一段高いレベルに昇りうるベースを築くことができるかどうか,という面が大きい。)は,正に自己責任ということになる。

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 あるベテラン弁護士がいうに,最近の若いやつは,判例を調べて,判例が消極だったら,そこでもう止めてしまう。弁護士の仕事はそうじゃないだろうが,何とか反対の判例をクリアする方法を考えるのが,弁護士の仕事じゃないのか。

 またいわく,証拠がないとすぐあきらめてしまう。依頼者は金を払ったと言うのですが領収証を取ってないんじゃどうしようもないではないですか,と言うのだけれど,で,あんたが依頼者の話を聞いていて,本当に払ったと思うのか,それとも依頼者がうそをついていると思うのか?,いや,確かに払ったと感じられるのですが,じゃあ,それをどうやって立証するかを工夫するのが,弁護士の仕事だろうが,

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 さて,新法の関係では,金融商品取引法というのが,結構話題になっている。

 この法律は,私なんかには余りというか,全く関係ないのだが,上場企業を顧問にもつ弁護士などは,この法律への対応に結構追われているらしい。
 上場企業に関する部分は2点あって,ひとつは四半期開示の法制化であり,ひとつは内部統制報告制度の導入ということにある。
 この中で大変なのが,内部統制報告書の作成というもので,条文は,24条の4の4から4の6まで,たったの3か条しかないけれども,ここで出てくる『「内閣府令」で定める財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について,内閣府令で定めるところにより評価した報告書』というものが,結構大変なものになるようである。

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 アメリカでは,日本法のモデルとなったSOX法が,厳しすぎるということで,早速修正の動きが出ているようであるが,日本ではどうなるのであろうか。最近は,短期的な利益の追及を求められる上場を嫌って,MBOなどで非上場にする動きも出ているところであり,金融商品取引法がこのような動きの後押しをするということも考えられる。

 また,監査人が,自らの責任との関係で,監査を厳格化することは当然考えられることであり,会社と監査人の意見の違いが埋まらず,監査人が内部統制等の有効性に疑問を呈したことによって,金融市場での企業評価が低下し,最悪の場合倒産に追い込まれた場合に,その当否が訴訟で争われるケースが生じることも考えられるだろう。そうならないためにも,これから約1年半の準備期間(2009年3月決算から対象になるとのことなので,2008年4月には準備が整っている必要があるとのこと)に,どこまで準備ができるかが焦点となるということのようだ。

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 司法制度改革も,あとは裁判員制度の実施を残すくらいになってきた。これが難題といえば難題で,どこまで市民の協力が得られるか,何とも予測が立たないところがある。いままで模擬裁判もやってきたが,そこでの裁判員は,決して抽選で選ばれた人たちではなかった。まだまだ,これから理解を得ていかなければならないところである。





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