平成21年を迎えて,法律の世界で,今年,いろいろと問題になりそうなことを考えてみた。今年の注目点は,なんといっても,まずは裁判員制度の施行だし,法曹養成制度,特に法科大学院の行方も気になるところである。他方,最高裁は,昨年も元気だったし,今年もきっと元気だろう。 . . . 本文を読む
一級建築士試験について,資格学校の提供する受験ノウハウが,実務と乖離いているとのコラムがある。そこでの指摘は,そのまま司法試験に対する指摘にも当てはまるように感じられる。司法試験については,法科大学院と新司法試験による改革が図られたが,今また,合格率問題もあって,難しい局面を迎えている。
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日経ビジネスの2008年5月12日号が,「こんな行政いらない ムードで決まる政策が経済を殺す」という特集を組んでいる。国土交通省の住宅保険の義務化,福田首相の唱える消費者庁構想といったものを取り上げて,ムードで決まる行政が,官の肥大化と経済混乱を招いていると指摘している。
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平成も20年になった。今年の法律の世界の話題として,刑事裁判では,裁判員制度の実施が間近になること,企業では,金融商品取引法による内部統制の部分が施行されること,市民生活では,特定商取引法と割賦販売法が改正され,消費者保護が強化されること,そして法科大学院や法曹養成の問題を取り上げて考えてみた。 . . . 本文を読む
鳩山法務大臣は,就任時から,死刑の執行について発言して,法務大臣が関与しない執行とか,ベルトコンベアとか,乱数表とか,どちらかといえば,法務大臣の責任逃れと受け取られかねない発言をしているが,その発言の全体をみると,どうもそのような趣旨ではなく,法務大臣によって執行にブレが生じることを何とかしたいということのようである。しかし,死刑の執行には政治的意味合いが含まれることもあり,法務大臣の責任を軽減する方向で制度をいじることは適当ではないと思われる。
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12月7日に,今年3回目になる死刑執行が行われた。今回の3人は,いずれも,その罪状からみる限り,死刑を免れない犯罪といえる。死刑の歴史を振り返ってみると,昭和40年代後半に,新規死刑確定者の数が年間1桁になり,それとともに死刑の執行も少ない時代が約30年続いた。このころには,死刑廃止論も力を得ていた。しかし,そのころから,常識を越えた犯罪が目立つようになり,私自身も,死刑の存置はやむを得ないと思えるようになっている。
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もう時期遅れの話題になるが,鳩山法務大臣が,いろいろと物議を醸す発言をしている。そのひとつが,弁護士が増えると日本も訴訟国家になって日本文明が破滅するというもの。しかし,この発言は,強者の論理であり,政治家にとって都合のよいものである一方,弁護士の仕事の実際を知ってなされたものとは思えない。確かに,数字だけを見れば,そんなに弁護士が増えて大丈夫かという気にもなるが,同じ程度の法曹人口のある国が訴訟社会になっているという話は聞かない。法曹人口の増加は,司法制度改革審議会の結論でもあり,法務大臣の発言が,実情を知らないままそれを否定するのはいかがなものであろうか。
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9月13日に今年の新司法試験の発表があったので,その結果について考えてみた。東大・京大が必ずしも有利とはいえない一方で,旧司法試験では目立たなかった大学の法科大学院が相当に頑張っているようだ。また,2年目の結果を受けて,早くも批判が出始めている。法曹界に優秀な人材を集めるという視点からすると,問題の解決は容易ではない。 . . . 本文を読む
去る7月15日の読売新聞によると,法務省は民法の法定利率を引き下げる方針を固め,早ければ2009年の通常国会で法改正したいとの考えである,とのことである。この記事が事実かどうかは確かめようもないが,近時,話題となっていることでもあり,その影響について少し考えてみた。
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例の井上薫氏が,今度は「司法は腐り人権滅ぶ」という本を出した。今回は,尊属殺違憲判決,小泉首相靖国神社参拝違憲判決,玉串料違憲判決の3本を取り上げて,またまた司法の越権について論じているが,このうち,尊属殺違憲判決と玉串料違憲判決についての議論には,間違いというべき部分がある。尊属殺違憲判決では適用違憲の判断をせよとか,住民訴訟では被告が死亡すれば訴訟を終了させるべきだという部分は,私には間違いではないかと思える。 . . . 本文を読む