前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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生活保護。助産師応援。中核市提案の問題点。特急存続の課題について。免許返納者への支援

2018年11月14日 | 福井県政

2018年9月12日にひらかれた県議会予算決算特別委員会での質疑です。

 

        「福祉行政について」            佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  日本共産党の佐藤正雄である。
 まず、福祉行政について質問をする。安倍総理は福井市で、生活保護世帯の高校進学率が上昇したと述べて、格差拡大の批判は当たらないなどと述べたというふうに、今報道されている。9月4日には、厚生労働大臣は来月10月からの保護費の削減を告示した。
 そこでお尋ねする。私は以前の一般質問でも取り上げたが、生活保護世帯から大学進学すると生活保護が打ち切られる。つまり、大学進学はぜいたくだという政府解釈がある問題を取り上げて、これでは親の世代の貧困格差が子供に連鎖をする、改善が必要と訴えた。この問題はその後全国的にも広がり、政府は大学進学が生活保護の打ち切りにつながらないような措置も今年度から講じるようになってきている。
 そこでお尋ねするが、昨年の4月とことしの4月で高校卒業者のうち、生活保護世帯の大学進学と生活保護世帯でない世帯の大学進学はそれぞれ何人で、何%なのか、お答えを願う。


◯健康福祉部長  大学進学率である。これは、短大、専修学校も含めた数字があって、まず県内の生活保護世帯の進学者数、進学率であるが、母子家庭、ひとり親家庭が多くなっているけれども、昨年4月が5名、31%、ことし4月が7名、41%というふうになっている。
 一方、生活保護世帯でないところについては、昨年4月が5,519名、73%、ことし4月が5,492名、75%というふうになっている。


◯佐藤委員  地元の短大ということになると、比較的進学者数がいろいろあるのだろうと思うが、いずれにしてもそういうことを勘案しても、かなり格差があるというふうに思う。今後、こういう格差の改善に向けてどのようにされるのか。


◯健康福祉部長  我々、特にひとり親家庭に対する応援はさまざま行っていて、この4月からも高校生の通学定期の応援とか、そういったところを行っていて、今後さまざまなことを検討していきたいと思う。


◯佐藤委員  続けて猛暑に関してであるが、ことしは気象庁が繰り返し、この猛暑は災害であるという警告を発した。生活保護世帯のエアコンはぜいたく品ということで、保護費での設置が認められてこなかったという経緯がある。さすがに政府も、災害水準の猛暑の中で新たな生活保護受給者にはエアコン設置を認めるということになってきたようである。
 そこでお尋ねする。福井県の世帯におけるエアコン設置率はおよそ何%か、また生活保護世帯におけるエアコン設置率は何%であるか。うち、政府が新しくつくった措置によるエアコンの設置世帯は何世帯かをお尋ねする。


◯健康福祉部長  福井県におけるエアコンの設置率であるが、平成26年の全国の調査、消費実態調査があって、2人以上の世帯の率が公表されている。こちらによると福井県内の設置率は97.8%というふうになっている。
 一方、生活保護世帯であるが、これまでエアコンについては生活保護費の中で賄っていただくというふうにされていたため、県内の保護世帯の設置率については、統計的に調べた数値はない。
 また、本年7月1日から生活保護制度が見直されていて、今紹介あったように、一定の場合にエアコンの購入が保護費の対象とされるというふうになっていて、その制度を利用して県内では10世帯がエアコンの設置が行われているというふうになっている。


◯佐藤委員  今、10世帯ということであるが、政府の措置後に生活保護受給をされるようになった世帯は何世帯で、そのうち10世帯かという、分母は何世帯であるか。


◯健康福祉部長  4月以降の数字であるけれども、おおよそ130世帯のうち10世帯というふうになっている。


◯佐藤委員  これ、政府がそういう措置をとったにもかかわらず、これだけ低いのはどういう理由であるか。


◯健康福祉部長  住宅環境さまざまあると思う。これまでにエアコンを設置されているパターンもあれば、あらかじめエアコンが設置されているような借家というか、借間というか、そういった状況もあるし、さまざまな環境のことから、そういった数字になっていると考える。


◯佐藤委員  福井県の反貧困連絡会が健康福祉部の担当課に要請したこともあるが、その中でも紹介されていたけれども、母子家庭で生活保護世帯でエアコンがないと。たしか高校生の女の子がいらっしゃるけれども、エアコンがないところでとても夜過ごせないということで、家を出て友達の家を泊まり歩くと、こういうようなこともあったというように紹介されていた。若い子も、お年寄りも大変である、やはりこういうのを支援していくということは大事だと思うのである。
 そこでもう1つの問題は、エアコンがあっても生活保護費が年々下がってきているので、電気代の負担が大変だという問題もあるのだが、電気代に対する補助制度というか助成制度、これも市町と相談して設けるということはいかがだろうか。


◯健康福祉部長  生活保護制度については、全国一律の制度であって、県独自の助成というのは今のところ考えていない。ただ、全国知事会において、生活保護全般にわたって不断の見直しについて強く要望しているところである。


◯佐藤委員  実態に合った制度に改善してくれるように、引き続き国に対しても要請していただきたいというように思う。
 それから、この人口減少という問題が県議会でも繰り返し議論になってるわけであるが、人口減少を緩和するためには女性が安心して働いて、結婚でき、出産でき、子育てできる、そういう環境を整えていくことが大事だということで議論が進んでいるし、福井県もそのように取り組んでこられたと思う。
 そこで、福井県の足元の状況についてお尋ねするが、女性の県の職員、教員、県立病院の看護師について、それぞれ平成26、27、28年度の3年間に妊娠された人数、累計である、それとその方が出産された件数をお尋ねする。


◯総務部長  県立病院の看護師を除く知事部局の職員のうち、3年間に産休等を取得した職員は延べ155名であって、うち153名が育休を取得しているところである。そして、県立病院の看護師については、延べ93名が産休等を取得し、うち88名が育休を取得しているところである。


◯教育長  教員についてであるが、3年間に産休を取得した人数は延べ392名であって、うち389名が育休を取得している。


◯佐藤委員  以前、議会でも労働条件によって切迫流産という職種が多いのではないかということを指摘したことがあるが、県立病院の看護師さんについての指摘であったわけだけれども、県立病院の看護師さんで言うと93名が産休とられて88名が育休になっているということである。知事部局は155名が産休とられて153名が育休をとられてるということで、若干まだ切迫流産など労働条件の厳しさから来るそういう問題があるのではないかと思うが、その辺の認識はどうか。


◯総務部長  指摘のとおり、県立病院の看護師については、これまでも職員の体調に配慮して、例えば夜勤を免除する等々の措置を講じているわけであるけれども、引き続きさまざまな支援制度が活用できるように、職場の環境づくりをさらに積極的に講じていかなければならないと考えている。


◯佐藤委員  次に、県内の公立病院で助産師の確保が難しくなり、これまでの分娩体制を確保することがちょっと厳しいというところがあるというふうにお聞きした。県立病院からの助産師の派遣の要請もあるようである。県としてもいろいろアドバイスをしながらも、地域で安心できる分娩体制確保のためにできること、県立病院から一定時期を区切って公立病院に派遣するとか、そういうことを考えられたらいかがだろうか。


◯健康福祉部長  委員から今紹介あったのは、坂井市の三国病院の例かと思う。昨年度末に助産師が2人退職が予定されていて、昨年の時点でこちらのほうに相談があった。県のほうに相談があって、そのままでは分娩の対応が難しいというふうなことが心配されていたわけである。そうしたことを受けて、我々として三国病院の体制が維持されるよう、県を退職した助産師を紹介したり、あるいは看護師の養成所を通じて潜在助産師を紹介したり、あるいは県内の産科の病院に対して助産師の派遣を依頼したりというような、さまざまな方法をとって、非常勤の助産師、この4月までに4名の確保につなげている。
 今後であるけれども、三国病院みずからも助産師確保に努める必要があると思う。県のほうでも支援制度を設けていて、看護師を助産師の養成施設に派遣する県の独自の助成制度がある。これを活用するように促している。また、その後の状況によって、潜在助産師を紹介するなど、必要な支援を行っていくというふうに考えている。


◯佐藤委員  いろんなやり方があると思うが、その地域で安心して出産できるという体制がなくなっていくことが一番困るわけで、それを今言われたようなOBというか、潜在助産師を紹介されることもあるだろうし、場合によっては県立病院からの応援もお願いしたいというように思う。

        「『地方創生』と中核市議案について」


◯佐藤委員  次に、大きな2つ目であるが、中核市の議案が出されているので、福井市の中核市議案についてお尋ねをしていく。
 福井市は財政再建計画で、施設の廃止や補助金カットで市民サービスが低下する、その一方で県からの2,500余の事務事業移譲ということになる。知事は財政再建計画と中核市のトータルで福井市民への行政サービスが向上すると考えておられるのか、もし今回の財政再建計画と中核市とで市民へのサービスが向上されるとお考えなら、その知事が考える根拠をお尋ねする。


◯知  事  福井市の財政再建計画と中核市のトータルでどういう効果があるかということであるが、福井市の中核市移行により、保健、福祉、環境分野等における窓口が一元化をし、いろんな手続、身近に物事が進むという期待があると思う。
 一方で、市の財政再建計画というのが出てきたところであって、行財政改革の観点から、これまでの事務事業の見直しをしっかり全般にわたってやっていただく必要がある。したがって、福井市においては今後、まずは行財政改革を中核市として進められて、市民サービスの向上をプラスになるように図っていくという決意でやっていただく、こういうことだと思う。


◯佐藤委員  今の話だと、決意でやっていただきたいということで、今、西川知事としても市民サービスが向上するというそういう根拠はないわけであるね。


◯知  事  これは実際やることであるから、抽象的に言ってもしょうがないことである。


◯佐藤委員  抽象的ではなくて、財政再建計画は具体的であるし、中核市の移行、事務事業も具体的であるから、抽象的な話をしているのではない。
 では知事は福井市を応援するとおっしゃるが、中核市移行となれば県が応援する具体的な事業内容、その財政支援の規模、額である、これはどのぐらい知事は福井市を応援するのか具体的に教えてほしい。


◯総務部長  福井県においては、これまで中核市移行に関して市職員の派遣研修を受け入れてきた。そして、中核市移行後は県から福井市への事務移譲を円滑に進めるため、一定期間保健師、薬剤師などの専門職員を市へ派遣することを予定しているところである。このほか、福井市への支援として、福井健康福祉センターの一部を貸し付ける、あるいは感染症の検査、動物愛護業務等の業務については、市から県に業務受託を受ける、こういったことを予定しているところである。県としては、福井市の行財政体制の改善が確実に進むように、さまざまな方法により引き続き支援をしていきたいと考えている。


◯佐藤委員  具体的な応援のメニューというか、それは決められた話である。何も福井県独自の話じゃなくて、中核市移行になればどこだって保健所の業務が委譲されて、多少人事的な応援、交流があるというのは、特別福井市だけの話ではないと思う。
 そこで、今健康福祉センターのことも言われたが、これも改修費は以前お聞きしたときは、当然これは福井市が使うのだから福井市に負担していただくと、たしか幾らであったか、3,000万円であったか、ちょっと忘れたけど、これはこういう事態になったわけであるから、県が出したらどうか。


◯総務部長  県と市の約束において、そのように取り決めをしているので、そういう方向で進めさせていただきたいと思う。


◯佐藤委員  先ほど、総務部長も平成27年からこの協議を始めてるとおっしゃった。だけど、この福井市の財政問題がぼんと出てきたのは──県は前からわかってたかもしれない、これは危ないなということを。だけど、県民とか我々県議会が認識したのはこの3月、4月である。以前は確かにそれは福井市が使うのだから福井市に何千万円か出させて、県の健康福祉センターを改修してもらえばいいじゃないかと、これで我々も納得したかもしれない。だけど、こういう事態になって、福井市に県の業務を二千幾つも渡そうと、福井市は財政大変であると、ちゃんと計画どおりやってくれよと、改修費は予定どおり福井市が持ってくれよと、ちょっと冷たいのじゃないか。じゃあ改修費ぐらい県が出そうと言えないのか。


◯総務部長  今回の中核市は、もともと福井市がそうしたいということで我々協議に応じてきたわけである。そして、今回そのような約束事も市のほうでさせていただいた。他の市町との関係もあるので、そういった財政規律というものはやはり尊重していかなければならないと考えている。


◯佐藤委員  余りお金は応援しないと、やることはやってくれよということでは、これはなかなかいかがかなと思う。
 確認したいのだが、8月18日、中央公園の完成の式典があって、私とか県会議員、市会議員も参加したが、その場で東村市長や市会議員さんを前にして、知事は挨拶の中で、中核市移行に触れた挨拶を行われた。エールというか、頑張ってほしいと。あの時点で、半ば中核市移行を認めるかのような挨拶を行ったのはどうしてか。


◯知  事  認めてはいない。ただ、励まさなければいけないということは事実である。


◯佐藤委員  あの時点では認めていなかったけれども、中核市に移行されるという話もあるから、頑張ってほしいということで励まされたと、こういうわけである。
 ではお尋ねするが、実際にこの県議会の開会日の前日に市長に会われて、一般質問で言ったように、開会日に中核市の議案を出されたということである。県議会開会日以前に知事、あるいは副知事でもあれだけれども、東村市長なり市の幹部と、こういう計画でやりたいのだということは当然打ち合わせをしてこられたと思うのである。知事が決断されたのはいつなのか。そこがよくわからない。


◯知  事  議会に提案したときである。


◯佐藤委員  だから、それでは手続が、先ほどの議論もあったけれども、非常に拙速だと言わざるを得ないのである。知事がそのとき議会の直前まで決断できなかったことを、いきなり議会に出されて、この議会で結論を出してしまおうというのは、余りにも議論の進め方としても拙速だというように言える。


◯知  事  いつも議会にお諮りするときには、議会に出したときに決断したという意味なのである。


◯佐藤委員  知事はきのうの質疑で、福井市には新幹線、再開発、第三セクターなど重要プロジェクトを進めてほしいと強調された。しかし、それらの福井市の負担額が明確でない。知事がこれもやってほしい、あれもやってほしいとおっしゃった、それらの事業について福井市の負担が幾らになるか、まだ明確でないだろう。そして、今回の財政再建計画にはそれがきちんと盛られていないという問題がある。
 であるから、この6年間の財政再建計画を進めることと、知事が幾つも福井市に、あれもやれ、これもやれと要求することは根本的に矛盾してくるのではないか。知事、はっきり答えてほしい。


◯知  事  やれという要求なんかしていない。当然、やるべきことだろうと言っているわけである。そういうふうなものであると言っているわけである。


◯佐藤委員  ではちょっと言葉が失礼だったかもしれないが、矛盾してくるのではないか。知事の要求どおり福井市がやれば、福井市の財政負担が膨張するわけであるから。


◯知  事  矛盾しないと思う。


◯佐藤委員  そこをもっとわかりやすく説明してほしい。なぜ矛盾しないのか、今の財政再建計画、6年間である。知事が要求していることも全部この6年間の間に起こることである。なぜ矛盾しないのか。


◯知  事  それは矛盾しないように、市が熱意を持ってやりたいと言ってるわけであるから、それを我々は応援をしようということなのである。


◯佐藤委員  結局、私が出したこの資料の、ちょっと見にくいかもしれないが、奈良女子大学の中山徹先生の「自治体消滅のサイクル」という資料である。過大な人口減少予測が立って、人口が減るので大変だと、それを取り戻そうとして開発計画を立てる、財源が大変だ、市民向けの予算を削減する、開発計画をやる、うまくいかない、市民向けの予算を削減すれば市民の生活は悪くなって、地域はますます疲弊すると、こういうサイクルに下手すれば福井市は落ち込むのである。知事、どう責任をとるのか、そうなってから。


◯知  事  そういう、暗い、消極的なお話をされるから元気が出なくなるので、みんなで励まして福井市が中核市で頑張りたいというんだから、それをしっかり確認して応援すればいいと思う。


◯佐藤委員  そんな抽象論で行政が進んだら、知事も苦労ないだろう。知事が大変苦労されてるのも、そんなエイエイオーだけで済まないから知事も苦労されているわけだろう。みんなそれで苦労しているのである。
 それで、連携中枢都市圏について、総務部長は「まずは財政再建」と述べられた。来年4月1日の中核市移行と同時の連携中枢都市圏形成にはこだわらない姿勢を示されたけれども、福井市と関係する10の市町と、これは合意を得られた答弁なのか。


◯総務部長  この連携中枢都市圏構想そのものは、私がせんだって本会議で答弁したとおり、まずは行財政体質の改善が、足元を固めることが第一だということで、その先の問題だというふうに申し上げた。関係市町の合意については、現時点で得られているものではない。そういう状況だと認識している。


◯佐藤委員  福井市はそういう認識だということか。


◯総務部長  福井市としては、今後関係市町に働きかけていきたいというお考えを持っておられるようであるが、我々としてはそんな状況ではないのじゃないかというふうに考えている。


◯佐藤委員  御存じのように、各市町で既にスケジュールが出されている。これによると、9月27日、今月の27日に市長、町長による第2回の連携推進協議会を開催するということになっている。ことしの12月に福井市が連携中枢都市宣言をする、福井市がやるという宣言をすると。中心都市として圏域全体を牽引する意思を表明されるということになっている。来年3月に、連携協約締結に係る市議会、町議会での議決を行うということになっているわけだが、総務部長としてはこのとおり進めるのは問題があると思われているのだが、財政再建計画との関係もあるのだけど、それはどの程度ずれ込むというような見込みなのか。


◯総務部長  これ、連携協議というのはあくまで各市町の自主性に委ねられているものであるので、私のほうからコメントする事柄ではないと思うけれども、いずれにしろ今後福井市の考え方はさることながら、関係市町の考え方もあると思う。県としては、まずは中枢都市たる福井市が足元を固めること、そういったことでやることが先決ではないかと、繰り返し申し上げているところである。


◯佐藤委員  4月18日に開催されたビジョン懇談会、この中で南越前町の担当者は何と発言しているかというと、この福井市と南越前町の連携協定、これについて確かに市民のサービスというのは向上するかもしれないけれども、こういう連携でやり出すと、ますます南越前町の人口が減って、福井市、要するに中心部の人口がふえていかないかと、こういう懸念をされているわけである。これは、市町村合併のときなんかでも同じような懸念があったし、今、この福井市に合併吸収された美山地域とか清水地域の施設が次々と廃止されていくというような状況を見れば、本当にそういう懸念が市町村合併で言えば現実のものにだんだんなってきているという面があると思うのである。この連携の協約というのは、そういうリスクというのはどのように見ておられるのか。


◯総務部長  恐縮だが、質問の趣旨をもう一度お願いする。


◯佐藤委員  市町村合併の場合は、最初は役場機能とか残ったけど、だんだんそれが縮小廃止されていく、あるいはそれぞれの周辺部、例えば旧清水町、あるいは旧美山町の施設が今回の財政再建計画でもどんどん廃止統合されていく、そういうことになってきている。今回の連携協約でも、そういう危険性はないのかということを言っているのである。


◯総務部長  連携協約そのものは市町村合併を推進するものではないというふうに、私は本会議で答弁申し上げた。もう少し緩やかな協定になるかと思う。その中で、関係市町がどの部分を連携事業としてやるのかといったことは、個々に連携中枢都市たる福井市と関係市町がまさに1対1の関係で協議していくような事柄になるので、必ずしも今委員指摘のような、市町村合併とは性質が異なるということは申し上げたいと思う。ただ、いずれにしても周辺のことを論ずるよりも、まずはみずからのことを固めることが先決ではないかというふうに考えている。


◯佐藤委員  いろいろ議論をしたけれども、なかなかこれ福井市民自身にとってもまだ見えていない。どんな財政再建計画でどう市民生活に影響してくるのか。連携中枢都市圏となると、これもまたさっぱり見えてこないという状況であるので、今のまま進めるのは非常に問題があるということは指摘しておきたいというように思う。


        「交通行政について」


◯佐藤委員  次に3点目に、交通行政についてお尋ねをする。
 まず、新幹線敦賀開業での特急存続についてであるが、国土交通省の整備新幹線小委員会では、乗りかえが発生することが問題となり、フリーゲージトレインが乗りかえ利便性の核として議論され、B/C、費用対効果がようやく1倍を超えたという経緯がある。今、2,260億円もの建設費の増大──金沢-敦賀間である──で総額は1兆4,000億円ということになると、フリーゲージトレインの未完成という2つの要因によって、公共事業の継続要件を下回りかねない事態となり得るのではないかと思う。
 また、このような事態は財政当局も看過できないと思う。北陸新幹線のB/Cが1倍を切る可能性がある中では、新たな事業の形として敦賀開業後の特急存続を福井県から国に提案をして、住民の利便性を確保すべきではないか。


◯知  事  特に特急存続については、新幹線が一方で走るし、もし仮の話であるが、特急あるいはそれに類似したものが走るということになると、経費が複数になるので、その経費がどの程度抑えられるか、利便性がどう高まるか、そして相手があるから、JRとかさまざまな。そういうことをどう押さえていくかということを考えながら、この問題を解いていくということになる。


◯佐藤委員  これは全く知事のおっしゃるとおりだと思う。お手元の資料の2は、ほかのエリアも入ってるけれども、北陸新幹線の費用対効果を当時の国土交通省が委員会に出した資料のコピーである。であるから確認するが、さっきも言ったように、2,260億円金沢-敦賀間で工事費がふえるということになると、いわゆる費用便益費である、B/C、これが1倍を下回るということになるのではないか。


◯総合政策部長  これは平成24年の認可のときのものであるから、その後金沢開業で相当数、3倍ぐらいにふえているという実績もあるし、国交大臣はしっかり財源確保して、平成34年度末の開業を間違いなくやると言っていただいているのだから、それは特に問題視する必要はないと思う。


◯佐藤委員  問題視する必要はないというのじゃなくて、そういう性質のことが国民的に、何もこれ、私だけが言ってるのじゃなくて、ちょっと失礼な言い方になるかもしれないけど、読売新聞にも書いてあったし、日経新聞にも書いてあるわけであるから、国民的にそういう公共事業に対する目線が厳しくなってきているということは指摘をしたい。その上で私が言ってるのは、今言ったような状況のもとで、さっきも言ったように事業費はどんとふえると。福井県民とかJR利用者の利便性が悪くなると。幾ら利便性を頑張っても悪くなると。
 そこで今、西川知事がおっしゃったようにいろんな利害関係者がいて、お金もかかることだから、そこの調整が必要なのだとおっしゃったけれども、そこをどう突破するかというのは知事としての作戦である。やはり福井県民の利便性を考えれば、特急存続とかそういう選択肢というのが一番いいというのは、これは県議会の意見書もあるし、鯖江市を中心としていろんな議論もあるし、ある意味では県民的なコンセンサスがあると思うのである。だけど、これをどう実現するかというのは、これはなかなか難しいので、ここはやっぱり、今ちょうど秋であるけれども、栗のいがをむくみたいにこの難しいところをどうむいて、栗を取り出すかという話になってくるわけで、ここはちょっと知事の作戦も必要だと思うのである。これはどう突破できると思うか。


◯知  事  いずれにしても、その話とB/Cとは直接は関係ないと思うので、これはこれとして議会の皆さんと、いろんな決議もあるけれども、十分議論をして、最適の答えを出すと同時に、その結果を得んといかんわけであるから、そういう議論をしっかり進めたいと思う。


◯佐藤委員  こういう鉄道の議論をするときに、鉄道局の方もたまにおっしゃっているけれども、道路に比べると500分の1ぐらいの予算しかないとか──国の話である、だからそもそも鉄道に対する国の予算が少な過ぎるというようなこともおっしゃっているわけで、そういう総枠をもっとふやしてもらわないと、なかなかせせこましいこの議論だけしていては、今のスキームの中だけの議論ではおさまらないなというように私も思う。
 県民にとっては、ただ問題は今のままだと最悪の後出しじゃんけんということになりかねない。つまり、新幹線の建設費は大幅にふえて県民負担もふえる。フリーゲージトレインが断念なのに、特急も存続しなければ通勤というか、旅行の料金が値上がりして不便になる。在来線も3セクで、下手をすると通勤や通学の定期代とかそういうものも値上がりするということで、これ、福井県民にとってみると余りいいことないのである。
 であるから、ここをやっぱりそうじゃないのだということを、特急は存続したと、利便性は確保したいとか、3セクになったけれども通勤や通学の定期代は値上げしなかったというのを示さないと、これは普通の県民にとっては理解されないと思う。その辺は知事、どうだろうか。


◯総合政策部長  新幹線開業と同時に並行在来線もあり、いろいろ課題はあるけれども、一つ一つ県民にわかりやすく説明しながら、経済効果はあるわけだから、県民が納得する形にできるだけ持っていくというのは、姿勢として必要だと思っている。


◯佐藤委員  県民に具体的な効果が出るようにしてもらわなきゃいけないということを言っているのである。一般的な経済効果ではなくて、県民に具体的な効果が出るようにしてもらわなきゃいけないということは指摘しておきたいと思う。
 最後であるが、資料のナンバー3で出したが、免許返納後の公共交通機関の利用の減免について、一覧表を県からもらって資料でつけた。これを見ていただければわかるように、県としても市町事業の底上げを支援していただきたいと思うのである。県の支援事業がないと、ベースがないから市町の事業は本当にばらばらなのである。特に財政危機の福井市民はかわいそうなぐらい、貧弱な事業しかないのである。県と福井市、中核市を目指そうという福井市の市民が移動する権利、交通圏の貧弱さを改善するためには、県の責任も重大だと思う。全国トップクラスの車社会をつくってきた福井県行政の責任を果たしていただいて、公共交通機関など高齢者の免許返納後の移動手段の確保について、県が一定のベースを構築するべきではないか。


◯安全環境部長  今、委員がお示しいただいた資料というのは、コミュニティバスなどの市町の利用の支援のことかと思うが、県では、公共交通を利用しやすい環境づくりを進めるということで、昨年度で言うと、バス事業者が行う低床車両の導入に約5,000万円、それから、今ほど話のあった市町が行うコミュニティバスの運行経費そのもの、根っこになる基本の部分であるが、ここに2億8,000万円の支援をしている。
 他県の北陸3県の例を紹介すると、こういう市町へのコミュニティバスの運行経費については、石川県は補助をしていない。富山県では約7,500万円の支援をしているところである。そういう意味では、本県は市町に対して、十分手厚く、こういう体制を整えていると理解している。


◯佐藤委員  終わるが、私が言っているのは、この各市町の直接個人に対する事業が、非常にばらばらなので、ここはやはり見てもらわないと、免許返納後の生活というのが成り立たないということであるので、ぜひ、前向きに検討を願って、質問を終わる。

                              ~以  上~


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