研究者らが敦賀、美浜両市町の経済活動全体に対する原発依存割合を調査したところ、東京電力福島第一原発事故前の二〇一〇年時点で16%程度だったと算出。「依存度の高い企業は一部。原発がないと地域が成り立たないということはない」と指摘した。福井出身の大島堅一教授は「原発はずっとあるわけではなく、斜陽の原子力に活路を見いだすリスク認識を」と述べています。
原発しか地域に活路がない、とのおかしな「魔法」から原発地域住民を解き放つ研究ではないでしょうか。
「今度こそ安全な原発です」「原発がないと経済はダメになります」などなど原発推進のための「大本営発表」がいまだに繰り返されています。実際は負けているのに、「勝った」「勝った」と宣伝しているかつての「大本営」のようなものです。
地方行政も、議会も、マスコミも、ふたたび住民に原発事故のリスクを高めることをしてはならないのではないでしょうか。しかも、地域経済は原発再稼働抜きでも道はありますし、道をつくらなければなりませんね。
■県民福井・・・原発依存 敦賀、美浜16% 原子力市民委が報告書
福島事故前の10年時点 経済活動を分析
全国のさまざまな分野の研究者らでつくる原子力市民委員会が四月、若狭地域の経済状況などを分析し、報告書「原発立地地域から原発ゼロ地域への転換」にまとめた。原発が立地する敦賀、美浜両市町の経済活動全体に対する原発依存割合は、東京電力福島第一原発事故前の二〇一〇年時点で16%程度だったと算出。「依存度の高い企業は一部。原発がないと地域が成り立たないということはない」と指摘している。 (中崎裕)
市民委は、原発依存からの脱却を模索する組織として一三年に発足し、九州大の吉岡斉教授(原子力政策)が座長を務める。今回の報告書は、龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)=鯖江市出身=を中心とした部会が、地域経済や自治体財政の観点から、国内外の事例を基に原発依存から脱却する必要性を説いている。
敦賀市と美浜町の経済分析は、野村総合研究所が経済産業省の委託で一四年に実施した調査や敦賀商工会議所のアンケートなど公表されているデータを基に実施。電力会社の事業支出のうち地元企業への発注は大半が保守・検査業務で、全体の16%にすぎず「原子力は地元産業との関連が希薄」という。
宿泊などの波及効果を含めても、経済効果はこの地域全体の経済活動の16%にとどまるとして「局所的な対応をすれば原発廃止による影響は緩和できる」と指摘している。
さらに、高浜、おおい両町も含めた四市町の財政を、原発のない同規模の自治体と比較した。
原発のある自治体は、財政規模が大きく、特に電源三法交付金の八~九割が充てられるハコモノなどの建設費と運営費が突出しており、うち恒常的に必要となる運営費がほぼ半分を占めるなど大きな負担になっていた。
報告書は「歳入が膨張した状態が続いている。投資を増やすほど将来の施設運営費が増える負の連鎖に陥り持続不可能な財政運営」と指摘。電源三法交付金や固定資産税がなくなっても地方交付税で必要分は賄われるとして、ドイツを例に再生エネルギーの拠点などに転換する必要があると訴えている。
部会長の大島教授は「原発はずっとあるわけではなく、斜陽の原子力に活路を見いだすリスクを認識した方が良い。立地以外は地域資源を生かしたまちおこしをしており、ゼロになることを見越して地域づくりをしないと立ち行かなくなる」と話す。
原発しか地域に活路がない、とのおかしな「魔法」から原発地域住民を解き放つ研究ではないでしょうか。
「今度こそ安全な原発です」「原発がないと経済はダメになります」などなど原発推進のための「大本営発表」がいまだに繰り返されています。実際は負けているのに、「勝った」「勝った」と宣伝しているかつての「大本営」のようなものです。
地方行政も、議会も、マスコミも、ふたたび住民に原発事故のリスクを高めることをしてはならないのではないでしょうか。しかも、地域経済は原発再稼働抜きでも道はありますし、道をつくらなければなりませんね。
■県民福井・・・原発依存 敦賀、美浜16% 原子力市民委が報告書
福島事故前の10年時点 経済活動を分析
全国のさまざまな分野の研究者らでつくる原子力市民委員会が四月、若狭地域の経済状況などを分析し、報告書「原発立地地域から原発ゼロ地域への転換」にまとめた。原発が立地する敦賀、美浜両市町の経済活動全体に対する原発依存割合は、東京電力福島第一原発事故前の二〇一〇年時点で16%程度だったと算出。「依存度の高い企業は一部。原発がないと地域が成り立たないということはない」と指摘している。 (中崎裕)
市民委は、原発依存からの脱却を模索する組織として一三年に発足し、九州大の吉岡斉教授(原子力政策)が座長を務める。今回の報告書は、龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)=鯖江市出身=を中心とした部会が、地域経済や自治体財政の観点から、国内外の事例を基に原発依存から脱却する必要性を説いている。
敦賀市と美浜町の経済分析は、野村総合研究所が経済産業省の委託で一四年に実施した調査や敦賀商工会議所のアンケートなど公表されているデータを基に実施。電力会社の事業支出のうち地元企業への発注は大半が保守・検査業務で、全体の16%にすぎず「原子力は地元産業との関連が希薄」という。
宿泊などの波及効果を含めても、経済効果はこの地域全体の経済活動の16%にとどまるとして「局所的な対応をすれば原発廃止による影響は緩和できる」と指摘している。
さらに、高浜、おおい両町も含めた四市町の財政を、原発のない同規模の自治体と比較した。
原発のある自治体は、財政規模が大きく、特に電源三法交付金の八~九割が充てられるハコモノなどの建設費と運営費が突出しており、うち恒常的に必要となる運営費がほぼ半分を占めるなど大きな負担になっていた。
報告書は「歳入が膨張した状態が続いている。投資を増やすほど将来の施設運営費が増える負の連鎖に陥り持続不可能な財政運営」と指摘。電源三法交付金や固定資産税がなくなっても地方交付税で必要分は賄われるとして、ドイツを例に再生エネルギーの拠点などに転換する必要があると訴えている。
部会長の大島教授は「原発はずっとあるわけではなく、斜陽の原子力に活路を見いだすリスクを認識した方が良い。立地以外は地域資源を生かしたまちおこしをしており、ゼロになることを見越して地域づくりをしないと立ち行かなくなる」と話す。