前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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自民党がめざす憲法改憲、緊急事態条項の問題点についてお話し

2016年02月06日 | Weblog
昨日は戦争する国づくり反対連絡会の会議で、自民党がめざす憲法改憲、緊急事態条項の問題点について、最近の急速な安倍政権の改憲姿勢への変化とともに報告しました。
 これは事実上、内閣に「非常時大権」のようなものを与え、国会や地方自治の機能を停止させかねない大変な内容です。三権分立が機能しなくなりかねません。
 自然災害への対応などを理由にしていますが、それは現行法でも十分対応できますし、必要なら法律をつくればいいのです。ねらいは戦争する国の体制づくり、戦争する準備として、「大権」を内閣にもたせて、国民にも服従を強いることも想定されます。

 民主主義、地方自治がなくなってからでは遅いのです。安倍暴走政権に歯止めをかけるために、いまがんばりましょう。

 2月18日午後7時から福井県教育センターで開催する日本共産党のつどいにご参加ください。
 2月20日は午後6時から安保法制・戦争違法廃止求める総がかり集会がフェニックスプラザで開催されます。

 戦争法廃止求める2000万人署名運動、ぜひお知り合いに5人、10人とひろげてください。
 7月の参院選で、憲法を守り抜きましょう! 戦争法廃止へふみだしましょう!











自民党改憲草案

第98条(緊急事態の宣言)
1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
   ・・・・・・・

第99条(緊急事態の宣言の効果)
1 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。


② 神奈川新聞
濱田元最高裁判事は、自民党改憲草案の99条1項に「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」と規定されていることについて

「立法府である国会の承認が全くなくても、法律を作れてしまう。緊急事態の効力の期間も定められておらず、永久に政権運営ができてしまう」

自民党の改憲草案の99条3項が「緊急事態が発せられた場合、何人も公の機関の指示に従わなければならない」と規定していることについて、

「罰則付きの国民の協力義務となると、憲法上の基本的人権も全く無視される。組織が重要で、個人は組織に従わなければならない、その組織運営は『俺がやる』という発想は独裁政権そのものだ」



③ 赤旗  1月6日 主張
 日本共産党の志位和夫委員長は4日の党旗びらきでのあいさつで、「緊急事態条項」の「危険性はきわめて重大」であり、「それは改憲の本丸である憲法9条改定に向けた突破口であるというだけではありません」と指摘しました。
 自民党は2012年に発表した改憲草案(「日本国憲法改正草案」)で、自衛隊を「国防軍」などとする案と並んで、「緊急事態」の章を新たに起こし、外部からの武力攻撃や内乱などの社会秩序の混乱、地震など大規模自然災害の際に首相が「緊急事態」を宣言する改憲案を持ち出しています。首相が緊急事態を宣言すれば、内閣が「法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とか、首相が「地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」ということを規定しており、文字通り「戒厳令」の復活です。
 国民にたいしても「何人も(中略)国その他公の機関の指示に従わなければならない」と広範な私権制限を打ち出しており、議会制民主主義も国民の権利も破壊する危険な改憲案として、絶対に許されないものです。
 自民党案が批判と警戒を呼んでいるため、最近は私権制限などとは切り離し、災害などの場合に国会議員の任期を延長する「特例」を設けることを優先する案も出ています。国会議員の任期は憲法で決まっているので、法律で任期を延長すれば憲法違反になるというのが口実です。しかし、国会議員の任期延長を認める緊急事態条項を設ければ、次は私権の制限もと、明文改憲が次々エスカレートする危険は濃厚です。緊急事態条項を持ち出した明文改憲の危険は、いささかも軽視できません



■毎日  2月2日  災害も攻撃も「既存法で対応可能」

「憲法に緊急事態条項を入れる必要性は全くありません」と断言するのは、災害の法律に詳しい弁護士の小口幸人(おぐちゆきひと)さんだ。小口さんは2010年春、岩手県宮古市へ赴任。震災後、市職員らに法律の助言をするなかで、災害対策基本法などの法律が効果的に運用されていないと痛感した。その例が、津波で破壊された家屋の所有者が、行方不明者の捜索を拒んだ時の対応だった。悩む市職員への助言は「災害対策基本法では、市長の判断で建物の一時使用や収用、除去までできると定めてあります。必要なら、当然立ち入りもできます。立ち入り検査に関する条文もあります」。
 また同法は政府が強い権限で災害対応に臨めるよう、首相による「災害緊急事態の布告」を定めている。国会閉会中でも緊急の必要がある場合、政令を出し物価を抑えたり、債務支払い延期を決めたりすることが可能。表を見てほしい。一例だが、緊急事態に対応する法律に致命的な不備があるとはいえないだろう。
岩手、宮城、福島、新潟、兵庫といった大震災を経験した自治体を含む計17の弁護士会は、緊急事態条項の新設に反対する声明を出している。被災地は緊急事態条項を求めてはいない。

 緊急事態条項がないのは憲法の欠陥だ、という意見も改憲派からはよく聞かれる。だが、憲法に詳しい弁護士の伊藤真さんは「先人の知恵の産物であり欠陥ではありません」と切り出し、憲法の制定過程を交えて解説する。
 連合国軍総司令部(GHQ)と日本側が緊急事態条項を巡って議論した際、GHQは「憲法に明文を置かなくても、内閣が超憲法的に対応すればよい」という趣旨の主張をしたが、日本側は「緊急事態条項のあった明治憲法以上の弊害が起きうる」と反論。激論の末、緊急時に衆院議員が不在でも参議院で緊急集会の開催が可能と憲法54条2項に明記された。参院の改選は定数の半分なので、国会議員がゼロになる事態は起きない。「緊急時は参院が立法府として対応できる」と伊藤さん。改憲派は「議員の任期を特例で延長できるよう定めておくべきだ」とも主張するが、その必要はない。
 「明治憲法での弊害」というのは、議会にかけずに発する緊急勅令などが発令された後に起きた不幸な事件を指す。関東大震災(1923年)では政府が戒厳を布告。軍や警察などによる無政府主義者などへの弾圧につながった。日本には緊急事態条項がもたらした苦い経験がある。
 これが念頭にあったのだろうか。現憲法の制定に尽力した金森徳次郎憲法担当相は46年7月、帝国議会衆院憲法改正案委員会で次のように語った。「緊急勅令及び財政上の緊急処分は行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります」
 伊藤さんは力説する。「当時の政治家は緊急事態条項が乱用される危険性を認識し、明治憲法下での人権侵害を反省していました。たとえ一時でも、為政者をフリーハンドにしてはいけません」。先人の反省は極めて重い。

 ◆緊急事態に対応する法律の例
災害対策基本法 
<首相の権限>
・災害緊急事態を布告できる
・内閣は物価の抑制や債務支払い延期などを政令で制定できる
・政令を制定したときは、直ちに国会の臨時会を召集するか、参院の緊急集会を求める
<市町村長の権限>
・居住者へ避難のための立ち退きを指示することが可能
・他人の土地の一時使用が可能
災害救助法
<都道府県知事の権限>
・医療、土木建築工事、輸送関係者を救助の業務に従事させることが可能
・病院やホテルなどの施設を救助のために管理できる
・現場にいる者を救助業務に協力させることが可能
大規模地震対策特別措置法
<首相の権限>
・地方公共団体の長や指定公共機関(日本赤十字、NHKなど)へ必要な指示が可能
原子力災害対策特別措置法
<首相の権限>
・原子力緊急事態宣言の発令をする
・都道府県知事、市町村長に対し、避難のための立ち退きなどの指示・勧告をする
自衛隊法
・首相は緊急事態に際し、自衛隊の出動を命じることが可能
警察法
・首相は緊急事態に際し、一時的に警察を統制し、警察庁長官を直接に指揮監督する