水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

JR北海道 789系電車1000番台

2012-06-25 18:01:07 | 電車図鑑・JR新系列特急用車両
旭川~札幌間の特急「ライラック」及び札幌~新千歳空港間の快速「エアポート」、札幌~東室蘭間の
特急「すずらん」で運用されていた781系電車の老朽化に伴う置き換えのために登場したものである。
平成19年に5両編成×7本=35両が製造された。
製造を担当したのは川崎重工と東急車輛(現・総合車両製作所)である。
編成の組み方は旭川・新千歳空港側より以下の通りとなる。

クハ789-1000+モハ789-1000+サハ789-1000+モハ789-2000+クハ789-2000

クハ789-1000
:旭川・新千歳空港側の先頭車でトイレ・洗面所付の普通車。
モハ789-1000
:モーターを搭載する中間電動車で普通車。飲み物の自販機がある。
サハ789-1000
:パンタ・主変圧器・補助電源装置を持つ中間付随車で普通車。以前はカード式公衆電話を設置してい
た。
モハ789-2000
:モーターを搭載する中間電動車で「uシート(指定席)」車。車掌室・身障者対応トイレ・大型荷物
置き場・車いす対応座席を有する。
クハ789-1000
:札幌側の先頭車でトイレ・洗面所付の普通車。車いす対応座席を有する。

編成番号は1000番台車のものに「HL」を冠し、第1編成なら「HL-1001」編成と呼称する。

車体は先頭部が普通鋼鉄製、それ以外がオールステンレス製となっている。
基本的に津軽海峡線の特急「スーパー白鳥」で運用されている同系の基本番台車をベースに
しているが、運用の違いから随所に違いがみられる。
正面は分割・併合の必要性がないことから非貫通型とされ、乗務員室も専用の側面扉が用意されて
旅客スペースと完全に仕切られた。
このため、特急「スーパー北斗」で運用されている「HEAT281」キハ281系気動車以来の最前部の
展望デッキが無くなった。
但し、前方監視用の小窓は非常用として残されている。
塗色は側面にバイオレットの濃淡と萌黄色(JR北海道のコーポレートカラー)の帯を配している。
先頭部分は側面に合わせたシルバーメタリックとし、正面中央部分を縦に黒く塗っている。
列車愛称表示は正面に行先表示は側面にあり正面愛称表示はフルカラーLED、側面のものは
3色LEDを採用している。

車内は同じ普通車ながら自由席車と「uシート」と呼ばれる指定席車の2クラスとなっている。
まず「uシート」は左右2列配置(車いす対応席のみ1列配置)の回転式リクライニングシートである。
座席の間隔は1050mmで枕の部分が独立して可動し、任意の位置で固定できるようになっている。
側面窓も自由席車が2列で1枚の横長のものなのに対し、グリーン車並みに1列1枚の窓が
割り振られている。
テーブルは背面設置でノートパソコンなら簡単に乗せられる程度の大型のものである。
また各座席にモバイルコンセントが用意されている。
自由席車は同じく左右2列配置(車いす対応席は1列配置)の回転リクライニングシートである。
座席の間隔は980mmでテーブルは指定席車と同じく大型のものが座席背面に設置されている。
ただし、モバイルコンセントの設置はない。
座席のモケットの色はどちらもブラウン系で落ち着いた雰囲気にまとめられている。
旅客案内装置は客室出入口上部のLEDスクロール式のものを装備している。
トイレと洗面所は1・4・5号車にあり、男子小用と共用の洋式個室が備わる。
各共用個室にはベビーホルダーも備わっている。
このうち4号車のものは大型の身障者対応型でJR北海道の特急車では
初めてオストメイト対応トイレとなっている。このトイレにはベビーベッドも備える。
洗面所はカーテンなどの簡易なものではなく扉で仕切れるようになっている。
この他、4号車に大型荷物置き場、2号車に飲み物の自動販売機を設置している。
3号車にはカード式公衆電話が設置されていたが、平成21年に使用を停止し、後に撤去された。

主制御装置は札幌近郊で運用されている731系電車のものと同等のIGBT式VVVFインバータ制御を
採用している。
本形式ではサハ789-1000から両隣のモハ789に電力を供給する方法がとられ、5両編成中2両を
電動車としている。
この状態でも走行性能を維持するため、台車やモーターの強化を図っている。
台車は軸箱支持をモノリンク式としたヨーダンパー付ボルスタレス台車でモーターの駆動方式は
TDカルダン方式である。
ブレーキは抑速・回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。

本区分は全車が札幌運転所所属で運用されている列車は特急「ライラック」や
特急「スーパーホワイトアロー」の後任となった特急「スーパーカムイ」、快速「エアポート」と
札幌運転所までの入出庫列車となる「ホームライナー」である。
車両運用の都合で特急「すずらん」に使用されることもある。
全部で35両が製造されたうち、HL-1005編成は平成22年の1月末に深川~妹背牛間の踏切で
大型トラックに衝突され先頭部は大破し、他の車両も車体の基礎となる台枠にダメージを
負ったため、平成23年3月に廃車となり、解体されている。
この事故を機に、これまで先頭部分まで立ち入ることができた他の特急車も仕切りを
設けるなどの改造を受け、最前部での北の大地のダイナミックな展望を楽しむことが
できなくなってしまった。
なお、平成23年度現在、追加の製造は行われていない。


○「uシート」車車内。専用の枕カバーがかけられているのがわかる。


○自由席車車内。色味が違うだけで基本的にオリジナルの789系やキハ261系などに採用されている
 ものと同等。


○ホームライナー運用に就く789系1000番台。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。