Dr-Hの船外機のお話

船外機のメンテナンス

BF20D3の続きとMFS2Bは塩で・・・

2013-12-09 17:13:44 | ブログ

皆様、ご機嫌はいかがでしょうか。

今週後半は、遠方のお客様のボートの船舶検査があります。

たぶん、私の2013年最終のJCI検査になるでしょう。

オーナー様に事前に夜間航海灯の点灯確認をお願いしたり、(OKとのこと)

その他、依頼を受けている部分の用意をしたり、我々はプロなので、

完璧に、かつ短時間で検査を通さなければなりません。

特に私は「うっかりモノ」なので、事前の準備でカバーしております。

さて、定期点検のBF20D3の続きです。

タイミングベルトの位置の確認です。

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問題無しです。

「そんなもの狂わないよ」と確認しない方おられますが、

目で見て確認しないと、点検にはなりません。

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おっと、こんなところにエアクリーナーのメッシュが・・・

これでは、昆虫とかゴミを吸い込んだときの防止になりません。

正規の位置に念入りに戻します。

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エンジンオイルの交換です。

直立のままだと、ギヤケースとかベチョベチョになります。

係留艇でもチルトアップして抜けるように、設計されています。

(海にこぼすといけないので、実際はあまりしません。私は海上では

ポンプで吸い出します)

キャブレターの清掃とOHです。

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緊急時以外は、パッキンを替えましょう!

数百円です、パッキン。

ガソリンが漏れたり、2次エアを吸ったら最悪です。

たまにはリコイルの爪とか、稼動部にグリスアップを・・・

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ここは、ある意味消耗部品です。

長持ちさせてください。

タペット調整を行います。

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バルブは4ストロークの「命」です。

バルブを取ったら・・・エンジンが掛かりません。

♪赤とんぼの、羽根を取ったら・・・残虐です。

コンプレッションを計ります。

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完璧です。

さて、組み上げて、エンジンの試運転を行います。

一発始動です。

オートチョークのチェックもしておきます。

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ちゃんとヒーターが作動しています。

問題無しです。

(オートチョークの正式な点検方法は、キャブをはずして行いますが、

上記はヒーターの作動の確認をしています)

暖気後、最後にベースアイドルを調整します。

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定期点検終了です。

冬休みに一杯、正月の鯛を釣ってください。

さて、MFS2Bがやってきました。

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吹け上がりが悪いのと、水の上がりが弱そうとのことですが・・・

あれれっ、こぶが・・・

(画像をクリックすると拡大します)

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この「コブ」は、塩の塊です。

友人から譲り受けたそうですが・・・

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キャブのチャンバーの下部にも、塩が・・・

ガソリンに、海水が混じっています。

塩はキャブクリーナー液で溶けないので、実は

キャブレターの通路の中で詰まると、厄介です。

ピアノ線でホジホジ・・・何とかなりそうです。

現在、インペラーの点検でポンプケースをはずそうと・・・あれっ

ポンプケースのボルトが緩みません。

強烈な塩カミです。

このまま知らん振りして逃げたくなりますが、

慎重に、慎重に・・・・緩めております。

すごく、時間をかけて、何とか緩みました。

オーナー様、このエンジン、インペラー交換は、

今回が初めてかもしれません。

今抜いておかないと、たぶん数年後は折るかもしれないので、

がんばって抜きました。

では、(刀語風に読んでください)

今宵は、これまでということで・・・


BF2D4とベラード225と「お・も・て・な・し」

2013-12-07 14:57:40 | ブログ

皆様、ご機嫌はいかがでしょうか?

10日ほど前、日産マリーン様より「サンキャト245の業者向け試乗会」のご案内を

いただきました。

まだ実物に乗ったことが無かったので、参加希望としたのですが、

エンジンはマーキュリーの「ベラード225」をセットしているとのことで、

余計興味深々だったのですが、後日ご連絡をいただき、

マーキュリーの日本総代理店の㈱キサカさんで、なんと、

サービストレーニングもあるとのことで、行って来ました。

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関西を中心にそうそうたるお店の皆様が来られています。

マリンサービスO兄貴も、琵琶湖のスピードレーサーの部長も、

みんな真剣にサービストレーニングを受けておられました・・・・・

話は変わって本日、入院になりましたのBF2D4君の修理です。

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なぜここが・・・・・・

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「折れた」そうです・・・・・

キャブレターが・・・詰まっておりました。

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原因はガソリンを抜かなかったこと・・・・です。

さらに・・・何かたくさん入っております・・・

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お掃除させていただきました。

特に貴重で「よだれ」ものの「D4」なので、大事に使って欲しいです。

皆様、燃料には、十分に気を配ってください。

古い、ゴミの入った燃料を使うというのは、

自分で壊しているのと同じです。

さて、話をキサカさんのサービストレーニングに戻しますが、

前の会社に居たときも、MERCURY SeaPro10などの受講したことがあります。

そのとき講師をしていただいた先生は、今回、サンキャット245+ベラード225の

ドライバーをされていました。

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さて、実際に日産マリーン様のマリーナにて、試乗をさせていただきます。

サンキャット245とベラード225の両方とも初体験です。

「さあ、どうぞ」とステアリングをゆずられて、

スロットルレバーを前に一杯倒します。

排気量2,598ccでクラス最小のベラード225は、最大の特徴の

インタークーラー付スーパーチャージャーで加給されるため、

他メーカーに全く負けることのない爆発的な加速をします。

その加圧はずっと行われ、さらに加速が必要な場面では

吸気のリターンバルブが閉じられ、フルブーストされるので

アクセルのオンオフに全く滑らかにエンジン回転が付いてきます。

クラス唯一の直列6気筒は、間違いなくクラスでもっとも静かなエンジンです。

2スト→4ストロークの移行のときの最大の課題であった

225馬力船外機の「発進からの速やかな加速」を得るため

各メーカーの答えは・・・

YAMAHA V6及び4,169ccのクラス最大の排気量

SUZUKI  V6で3,614cc、ギヤ比がクラスで最も加速向き

HONDA  V6、3,471cc&加速装置「BLAST(空燃比連動点火時期制御)」搭載

MERCURY L6、2,598cc&インタークーラー付スーパーチャージャー

と、それぞれ、はっきりと作り方、考え方が分かれていて、

大変面白いことになっております。

排気量が少ないほど、凝った方法で補って加速を同等かそれ以上に持っていっていますね。

さて、今回の試乗会やトレーニングでは、それこそ滝クリで話題の

「お・も・て・な・し」をしていただきました。

すごくためになる実技や座学、勉強になりました。

参加賞をいただいたり、極めつけは・・・

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「講習会修了証」です。

そうそう、これです。

修理屋さんの心をわかってらっしゃる!

一番欲しいのは、「これ!」なんです、私達!

有難うございます。

さあ、ひさしぶりに飢えていた脳みそに、我がレベルを超える

知識の供給をいただいたので、ニコニコしながら帰ることが

できました。

「油圧だけではなく、油温センサーも付いているのか・・・・」

「ギヤ比が1.85だから、15Pのペラなら6000rpmで・・・」

「フューエルレールからのリターンホースは・・・」

「燃圧のpsiを聞いといたらよかった、ちくしょ~」

気が付いたら、工場を取り越して、自宅近くで高速を降りていて・・・

ああ、本当によかったです。サービストレーニング!!

もっともっと勉強、しま~す。

  


寒い外の作業と、BF20D3の定期点検

2013-12-04 16:47:06 | ブログ

皆様、師走の候、ご機嫌はいかがでしょうか?

私は先日、「UKIMARU」君を衝動買いしてしまいました。

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前から欲しかったのですが・・・・・

今回、キャンペーンのご案内で、あまりにも安かったので、

「私のも注文してください!」

これで、試運転や釣りのとき、楽々チンです。

ああ、早く釣りに行きたい♪

で、昨日の出張修理の帰りは・・・

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夕方なのに、真っ暗です。さすが12月。

業務でご使用のF60Cをお使いのお客様のボートの修理です。

「チルトを下げると、警告音が鳴ってエンジンが掛からない」

ギヤケースが空中にあるとき、エンジンが掛けられるのですが、

そんなことするとインペラーがチ~ン♪です。

日陰で風の良く通る場所だったので、寒かった~

原因は

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メインハーネスの断線!ガン摘出!です。

(あくまで応急処置です。後日新品と交換します。業務で休めないので

緊急の修理です)

オーナーは載せ換え、載せ換えでエンジン3代目ですが、ずっとハーネスを

そのまま使っていたので、寿命でしょうか・・・

その他、「ハンドレールを触るとビリビリする」というので

漏電していたデッキライトや航海灯の配線を修理したり、

他のボートの操舵機のガタを調整したりして夕方まで。

これからの時期は、外の作業はむちゃくちゃ寒いですね。

でも、嫌いではありません、外の作業!

さて、先日定期点検でやってきたBF20D3LHSJ君です。

オーナー様は中古でどちらかで「整備済み」というのを買ったが、

すぐにエンジンオイルを抜くと「真っ黒」だったので、信用できないと、

今回の定期点検で持ち込みされました。

(注意:購入後、いくらかは実際にご使用されておられます。)

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まずインペラーの点検です。

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ポンプのボルトに、塩カミありました。

1本、恐る恐る・・・点検のタイミングよかった?

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インペラーは、卍でした。(交換時期)

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ギヤケースの圧力テストをしましたが、問題ありません。

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スイベルケースにグリスアップします。

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内部に侵入していた海水が、グリスに押されて上部から

大量にしたたり出てきます。

作業を進めていくうちに、気になるところが出てきたので、

ウォータージャケットの分解をして内部を確認します。

「おおっ」

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少し、塩の塊が多そうです。

掃除します。

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アノードを確認・・・問題はありません。

せっかくなので新品にしておきます。

これで電気腐食の心配がありませんし・・・

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冷却水の通る穴が、見えますでしょうか。

この穴が塩害などで詰まると、えらいことになります。

このような小さな穴が、エンジンの温度を一定に保って

くれています。

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フタを「エンバイロクリーンプラス」できれいに掃除し、

パッキンを新しくして、元に戻します。

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オイルフィルターですが、大きいのが付いていました。

問題はありませんが、オイルを入れる量が少し変わるでしょうか?

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BF2Dのオーナー様、「必見!」です。

このように船外機のエアクリーナーは、ブローバイガスで

汚れます。

当然、定期点検時にはきれいにふき取ります。

よく「BF2Dのキャブレターから、エンジンオイルが漏れている」と

お店に持ってこられて、問題ないですと説明するのですが、

BF20Dも、長く使えばこれくらい汚れています。

ブローバイガスを減らすコツは、

①オイルを入れすぎない(規定値を守る)

②早めにオイル交換をする。

等です。

数点、簡単な部品の追加注文をしましたBF20D3君、

いましばらくお待ちください。

もうすぐ完成です。