Dr-Hの船外機のお話

船外機のメンテナンス

算数のトラウマと船外機のギヤ比

2011-04-26 20:26:33 | ブログ

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか?

さあ、もうすぐでゴールデンウィークが始まります。

今週、ご注文などのお電話では皆様、「連休に間に合いますか?」

とお尋ねになります。

どこのメーカーも船外機本体、部品、マリン用品ともに本日が事実上安全日ギリギリ?

だったので、明日からの注文では、間に合うもの、ダメなもの出てきそうです。

弊社で在庫しているものなら船外機もパーツも、前日まで出荷可能ですが・・・

さて本日は、船外機のギヤ比についてです。Photo

この写真は、今年の横浜ボートショーで撮影したものです。

写真を見ていただき、3つのギヤが付いていると思います。

基本的に、どこの船外機も同様の構造です。

上にぶら下がっているギヤが、一般的に「ピニオンギヤ」と呼ばれることが多く、

クランクからの動力を伝えるギヤです。

下に向き合って2つある、大きいギヤが「ベベルギヤ」と呼ばれており、

それぞれが、前進と後進を担当しています。

ピニオンギヤとべべルギアは、ずっと回っています。

ピニオンギヤの動力を前進又は後進ギヤに伝えるのは、両方のギヤの間にある

クラッチで、船外機はほとんど「ドッグクラッチ」というシステムです。

ドッグクラッチはプロペラシャフトと一心同体です。

ドッククラッチは前後にスライドします。スライド方向にあったべべルギアと

ドッグクラッチがかみ合うと、プロペラシャフトが回ります。Dscf1718

で、もう一度写真を見ていただくと、ピニオンギヤとベベルギヤの大きさが

違うのが判るでしょうか?

ギヤの歯の数が違います。

たとえばHONDA BF150Aなら、ピニオンギヤの歯の数は14山です。

ベベルギヤは30山です。

この、ギヤの比率がギヤ比で、30 ÷ 14 = 2.14となります。

クルマのように、船外機はギヤチェンジしません。

このギヤ比は、その船外機のそれぞれの逃げられない個性となります。

ここで、BF150Aが、23ピッチのプロペラを入れたときの

最高速を計算すると、

全開でBF150Aは、6000rpmなので、ギヤ比が2.14だと

1分間に6000 ÷ 2.14 = 2803 回 プロペラが回転しています。

1時間なら 168,180回転しております。

プロペラのピッチはインチなので、センチに直すと

23ピッチ × 2.54 = 58.42cm ペラ1回転で進むので、

1時間なら、168,180 × 58.42 = 9,825,075cm進みます。

で、98.25km/hとなります。

(現実にはスリップが発生しますので、少し遅くなります)

Bf1509

このギヤ比は、同じ馬力でもメーカーによって違います。

どこのメーカーも、最近は最高回転が、大体6000rpmぐらいですから、

このギヤ比に秘められた船外機の個性は、

各メーカーが世界中のどこをターゲットにしているとか、

どんな使い方を得意としているかという、考え方にも

つながっていくと思います。

ご自身の船外機のギヤ比とプロペラサイズで、上記の計算をしてみてください。

理論上の最高速度がわかります。

ちなみに、その理論上の速度と、GPSなどで計った実際の速度の差が

「スリップ率」となります。

「スルップ率」が低いほど、スピードを出すには、理想的な船型、ボトムの状態が

良い、セッティングが良い、となります。

一つ、すごい意地悪なことを言います。

(気を悪くされる可能性のある方は、ここから下は

スルーして下さい。ゴメンナサイ)

あなたがいつも、ボートのスピードや、プロペラの相談をしている

誰かがおられれば、上記の式のようなことをご存知か聞いてください。

全くご存知でなければ、あなたは自分のボートのスピードアップについて

相談する相手を間違えている可能性があります。

と、偉そうに言っている私は、よく計算を間違うので

人のことは言えませんが???

算数は苦手です。

小学校のとき塾で、先生にむちゃくちゃ怒られてました。

「ああっ、いやな過去を思い出してしまったぁぁっ!」

いま心は、深海より濃いブルーであります・・・・・・・・・・

(おわり)


鳥の巣とBF90A

2011-04-23 21:03:21 | 修理

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。

私はというと、昨日の定期点検中に予定より早く雨が降ってきて・・・・

雨にズブ濡れになり、本日は少し鼻声で、頭痛がしています。

さて本日は、その雨にぬれたとき整備をしていたがBF90A。

このBF90Aは、すごくたくさん市場にでているので、今でもあちこちで活躍しています。

4ストブームの火付け役ですね。こいつは!

で、お得意のアノードの位置ですが・・・

Photo

ここはインテークマニホールドをはずしたところですね。

BF25A/30A/40A/50A/75A/115A/130Aなども、大体同じです。

で、次は・・・・

Photo_2

サイレンサープレートをはずした内部についているアノードです。

ここにも2個、付いています。

で、このエンジンは陸上保管です。

でも、内部アノードの状態は・・・・・・

90

どちらが新品かは、見たとおりです。

古いほうも、体積は同じように見えますが、塩の結晶で覆われていますから、

磨くと「ボロボロッ」と、周囲が砕けていきます。

「陸置」でもこの状態です。たぶん5年ぐらい経っているとは思うのですが・・・

このアノード、1個の値段が税別¥570-です。

皆さん、交換お願いしま~す。

で、お題の鳥の巣ですが・・・

いえ、北京オリンピックのメイン会場のことではなく、

エンジンの内部に侵入者が・・・

90_2

「誰ですかっ!こんなところに」

むかし、違うエンジンでカウルを開けたら、スズメが2匹並んで仲良く・・・チ~ン♪

昇天されておられました。

エアインテークから、入れるようですね。

エンジンカバーの装着をお願いします。

日焼けも防げますし・・・

この巣の掃除、大変です。

掃除機で「ブイィィィ~ン」と吸ったり、エアで「ブシュー」と吹き飛ばしたり。

ちなみに、新型のBF90Dでは、スズメのミイラや巣は見たことがありません。

進化したのか?BF90D・・・


8CMH UL の大手術

2011-04-18 18:45:30 | 修理

みささま、ご機嫌はいかがですか?

先日、ヨット保管の多い、とあるマリーナ様のご紹介ということで、

オーナー様が8CMH ULを連れてこられました。

当然、ヨットの補機として活躍していたのですが・・・・・・

大病に冒されていて・・・・それはいけない、大手術です!

手術台に横たえて・・・・

8cml1 8cml2

スウィベルブラケットがガンのように、電蝕でボロボロと、さらに割れています。

この部分を手術で摘出します。

ネジがポキポキ折れて、錆び付いたシャフト類は抜けず、「カンカンカン」「「ブィィィィ~ン」

「ボ~ボ~」いろんな音を響かせて・・・摘出成功。

今度は中古の同じスウィベルブラケットを移植します。

(中古同士比べても、新旧明らかですね)

次に、ご依頼のインペラーを交換します。

8cml3 8cml4

何年もメンテナンスはしていなかったそうですが・・・

確かに・・・・・おっと、ポンプのプレートをはずすと・・・

8cml5 8cml6

塩で詰まっております。ゴシゴシ掃除しておきます。

次は、アノードの交換です。

8cml7 8cml8

古い部品は、アノードではなく、カバーなのか?

それとも溶けてなくなって、ベース部のみ残ったのか?

手前の台形のプレートが旧パーツ(付いていたパーツ)です。

せっかくアノードを交換したら、船外機のボディーと導通があるか、

テスターで調べておきましょう!

導通の無い場合は、アノードとボディーの接触部の確認を。

8chl9 8cml10

プロペラシャフトのスラストワッシャが前に行くのを止める、段になった部分ですが、

1年に1回ぐらいは点検し、耐水グリスを塗りましょう。

このエンジンはグリスが切れて、金属同士がこすれてピカピカになっています。

当然、磨耗しております。段がなくなって、スラストワッシャ(プロペラの前に入れるワッシャ、

釣り糸などのシャフトシールへの巻き込みを防ぐ為の構造となっている)

がどんどん前に言って、シャフトシールと接触していたのを聞いたことがあります。

そうなる前に、グリスアップを!

ギヤオイルも結構、黒いです。

ヨットは船体にたいして補機の馬力が小さいので、航行中に船外機が

受けている負荷(負担)は滑走艇とは違った意味で大変大きいものです。

ギヤオイルなどは、必ず毎年交換して欲しいのもです。

8cml11

キャブも掃除し(サービスマニュアルでは、パイロットスクリューの戻し回転が

1-1/8±1/4となっているのですが、3回転ぐらい戻っていました。

何度マニュアルをみても・・・実際マニュアル通り付近が調子いいし・・・)

各部グリスアップし、試運転です。

スロットルケーブル、キャブ関連の微調整をして・・・

やっと・・・大手術が終わりました・・・・

今週末には、ヨットに戻される予定です。

毎々の自主メンテナンス&毎年の定期点検で・・・

いつまでも、長く長くがんばれ8CMH!

(おわり)


補機とBF5A4

2011-04-16 13:24:02 | ニュース

皆様、ご機嫌いかがでしょうか?

桜が満開で・・・いや少し過ぎて葉もちらほらと。

今年も春がやってきました。

深呼吸をすると、気持ちよくて・・?・???ハ、ハ、ハクション~ッ!

花粉症??いえ、私は田舎生まれなので、花粉にはあまり反応しないようなのですが、

黄砂の多い日は、鼻水がジュルジュルで、くしゃみが・・・これも毎年毎春の恒例です。

さて先日、遠方よりBF90Aの定期点検のご依頼をいただきました。

そして、補機(補助エンジン)のご相談も・・・

重量やお使い方を検討して、BF5A4 LJがお嫁に行くことになりました。

Bf5a4

このエンジンの登場は・・初期型が1985年1月・・・超ロングセラーです。

重さは27.5kg(LJ)ですが・・・・・Y社F5A(L)が28kg、S社DT5(L)が27kg、

T社MFS5B(L)が27kg?なので、モデルチェンジする必要がなかったといえば、

そうなのでしょう。

(マイナーチェンジは度々行っております)

私が初めて触ったホンダ船外機が、この娘でした。

非常に愛着がある、猫可愛がりしたくなる娘です。(ニャン♪)

では、恒例のメンテナンス方法です。

補助エンジンで海水使用した場合、主機と同じく帰港後は真水で洗浄して

ください。

マイナスドライバーで「WASH」と書いてあるネジをはずします。

そして、そこにオプションの「ウォーターマウスジョイント¥470-税別」を

セットします。

1 2

そこにホースをつないで、水を通してからエンジンスタートです。

水圧が低い人は、下のウオータースクリーンをガムテープで塞ぐのも

いい方法です。当然、バケツに水を張って・・・・でもOKです。

3

納品前の試運転です。キャブレターモデルですから、

調整が出る可能性も十分あります。

通販で購入される場合、これらバックアップがあるかどうかは

重要です。(電話問い合わせに応じてくれるとか、サービス体制を持っているとか)

前に、「他店の通販で買ったが、一切説明をしてくれないので、取扱方法を

教えてくれ」と電話が掛かってきたことあります。

いろんな意味でがっかりしました。

転勤や引越しで、購入したお店から離れてしまった方は、本田技研工業の

お客様相談センターから販売店を紹介してもらってください。

そういったお客様なら、来店大歓迎です。

エンジンをしばらく使わない場合は、キャブレターのガソリンを

抜いておきましょう。

Gas1 2_2

マイナスドライバーで、2~3回転ぐらい緩めるだけです。

「マイナスドライバーを持っていないから出来ないよ」という方、

船外機を買ったときについている「工具袋」の中に入っています。

さて、諸先輩方からは、「何だ。5馬力か」みたいな言葉がよく聞こえてききます。

「GPS魚探より安い」とか、「売上に貢献しないとか」・・・

私にとっては2馬力も、5馬力も、1台は1台です。

新人のとき、初めて契約をいただいたときは、みんな飛び上がって

喜んだはずです。

「初心忘れるべからず」

私にとってBF5Aは、そんな船外機なのです・・・・

・・・あっと、待っていた部品をヤマト運輸さんが持ってきました。

これから8CMH ULの修理の続きをしまーす。

大手術中なんです。

(次回につづく?)


ウイングフィッシャー27とBF225AK1

2011-04-12 16:28:08 | ブログ

みなさま、ご機嫌はいかがでしょうか?

4/8、4/9、4/10と新西宮マリーナにて関西ボートショー2011が開催され、

私も金曜、日曜、日産マリーン㈱さんのお手伝いで参加させていただきました。

2011

4/8金曜日は朝からあいにくの雨、それでも多くのご来場がありました。

(Tさん、京都から雨の中、ご来場有難うございました。)

4/10日曜日は・・・朝から各社試乗艇が、ひっきりなしに出航しています。

日産ドライバーの方はみんな出航されていて、E所長はN34の上で商談中!

私もドライバーでお手伝いすること数回・・・・・しかしぃぃぃぃっ・・・・

S22

サンキャット22のときは、風上側でよかったのですが、風下側の

サンキャット26では、横流れの少ないカタマランなのに、上手く着岸できずに

「恥ずかしい~っ!」

そうなんです、事務仕事が増えて現場に出ることが少なくなったり、

進水式でオーナー様に運転させて自分はお客さんしていたりと横着

していたので、「潮っ気」が抜けて、「陸(おか)の人」になりさがって、

着岸がへたくそになってしまっていました。「・・・情けない・・・」

これでも一応、昔はどんな強風でも、バックでもピタッと着岸できたんですが・・

で、新型のウイングフィッシャー27ですが、イベント用のカラーリングで

前から・・・

Wf271

横です・・・

Wf274 

ご来場の子供さんに喜んでいただこうと、日産のE所長の発案で

スペシャルカラーリングとなりました。

ご家族で見学に来た皆様に大好評です。

でも・・・小さい子供さんに喜んでもらおうと、「向こうにクジラがいるよ」と

いうと、「えっ、どこどこ」とさがて、「あっ、本当だぁ~」と・・・

TOYOTAさんの旗を指差していたので、あわててWF-27まで誘導しましたが・・・

あまりのご来場の多さに、あっという間に1日が終わりました。

少し心配していましたが・・・

マリン業界一同、今年もがんばって皆様に「海」をお届けいたします!

(ご来場の皆様、特にE様とご友人、有難うございました)

で、お手伝いの最後は、ボートの回航です。

E所長から「Hさん、どれ回航したい?」と聞かれたので、

「ウイングに乗せてください!」とWF-27を回航することに。

Wf273

E所長「ウイングは一番に上げる(上架する)から、一番に出て(出航して)」

とのことなので、張り切って出航します。

マリーナ出口で、前に他社さん28ft、後ろに違う他社さん29ftなどと数珠繋ぎに

なります。

早く営業所に着いて、次に上げるN34の準備の時間を稼がないといけないのに

イライラします。

出た瞬間、航跡を右にかわし、電子スロットルレバーを2/3ほどあけます。

「おおっ!」BF225AK1はBLAST付きですから、大きくなったWF-27でも

軽々と一瞬でプレーニングに入ります。ハンプ状態ほとんど存在しません。

「キィィィ~ン」と軽快にウイングフィッシャー27は大阪湾を駆け抜けます。

私は、気づきました、WF-26からの進歩を・・・ソフトです。非常にソフトです。

波きりがソフトです。着水がソフトです。

試乗艇で装備が付いていないのに、ソフトです。

ウインチやGPSや、その他実際の装備をして、重くなったら

もっと乗りやすくなるでしょう。

こんなに走るなら、WF-26のときのようにBF150A4もありですね。

BF150A4もBLASTが付きましたから、ワイドになったWF-27でも

楽々プレーニングさせるでしょう!

4500rpmを超えた瞬間、かすかにエンジン音が変化します。

VTECが作動し始めた証拠で、エンジンが軽く回り始めます。

4600rpm付近でクルージングします。でもかなり速いです。

あっという間にお楽しみの時間が終わりました。

スタッフIさんとボートを上架しました。

ちょうどN34が帰港してきました。

「Hさん、WOT(全開)で帰ったでしょう?前に居たはれへん(居なかった)し・・・」

N34を回航してきた、フラッグシップスのKさんに言われました。

いいえ、WOTには一度もしていません。

規則正しく4600rpmです。

(営業所直前で少し5000rpmにしましたが・・・)

広くて、速くて、ソフトで・・・全方向で進化していました。

ウイングフィッシャー27

窓も広くなって、見やすくなりました。

安定性も抜群です。

さあ、乗り換えたくなった皆さん、大阪営業所で実物を確認できます。

お電話ください。

えっ、試乗はお前が運転するのかって・・・

着岸の練習、しておきま~す!(反省)