皆様ご機嫌いかがでしょうか?
今回はコメントをいただきました「サンマルクさん」のご質問に、
私なりの回答をさせていただきたいと思います。
ご質問は「、BF115Aを係留保管しているが、真水で水洗できるか?」とのことです。
まず、BF115Aの水洗経路から説明します。
(画像をクリックすると拡大します)
イラストの黒いボールペンの部分に「ジョイントASSYホース」を差込み、水道
ホースをつなぎます。
真水は「フラッッシング ウォーター ホース」内を流れ、さかのぼり
上の赤いボールペンで指している「フラッシュバルブカバー」に達し、エンジン内に
流れ込み、エンジンを真水で洗うことができます。
「ジョイントASSYホース」は、イラストではメーター2個の右側の
「2」番の番号のOリングと、その下の真鍮のパイプです。
税別定価¥3,820- 部品番号は19270-ZW1-000です。
さて、「真水で洗うべきかどうか」ですが、確かにいろいろなご意見があります。
ここからは、私の個人的な意見です。
エンジンが停止すると、当然冷却システムも停止します。
すると、エンジンは、余熱により停止前より一時的に温度が高くなります。
停止後20分ぐらいが一番高いとか言われたりします。
これが、曲者で、エンジン内に残った海水を液体から固体へ変化
させる手助けをしていると思います。
で、私の意見としては、できるだけエンジン停止後20分以内に真水で
エンジン内を洗浄することが、塩害に対して有効と考えています。
(なお、塩害と電蝕は、似ていますが同じ現象ではありません。
真水で洗えば電蝕にも大変有効ですが、犠牲の亜鉛が効いていないと
航行中でも電蝕は進行します。亜鉛(アノード)の交換を!)
私がお世話しているお客様には、日立や工進のビルジポンプを
ボートに取付て、ポリタンクの水で洗えるように艤装させていただいているものが
多いです。
ヤマハ発動機(ワイズギア)さんが出してる「ソルトル」も、
使える洗浄機です。
コツとしては、はじめに、エンジンにつなぐ前に、ホースに真水を満たして、
俗にいう「送り水」状態を作っておきます。
わたしは、ホースを差す手前で止めて電源をONし、水がきたら一旦OFFして
ホースを差し、あらためてONにします。
残念ながら、メーカーは水道水での洗浄を想定しているのか、
ビルジポンプでは水圧が少し低く、「フラッシュバルブカバー」内の
逆止弁(リリーフバルブ)が開きにくく、
送り水が必要な場合が多いです。
逆止弁(リリーフバルブ)は、上記のような構造です。
通常はエンジンの冷却水が漏れなうように塞いでいて、
真水で洗うとき、水圧で開くようになっています。
さて、どうしてもビルジポンプで逆止弁が開かないオーナー様には
私は、オーナー様と相談し、お互いが責任を共有するということで
逆止弁「リリーフバルブ」をコントロールしている
「フラッシュバルブスプリング」を少しずつカットして、
ばねの力を弱め、洗浄の真水が浸入しやすくしています。
カットしては仮組みし、ビルジポンプで水を流し、またエンジンを掛けて
漏れて逆流してこないか・・・・
2~3度テストして、大体1巻き~2巻きカットしています。
切りすぎるとエンジン内の海水が逆流して出てきます。
その場合は、新しいスプリングを買ってセットし直してください。
スプリングのカットは、自己責任でお願いします。
カットした時点で、メーカー的には「改造」とみなされます。
ここも、よく考えて判断していただければ幸いです。
あと、過去に一度も洗ったことの無いBF115Aの場合、この
「フラッシュバルブカバー」や「フラッシングウォーターホース」、
また逆止弁「リリーフバルブ」が塩害でスムーズに機能しなくなっている
場合があります。
その場合、この部分の分解メンテナンスが必要です。
なお、ポリタンクの真水に「ソルトオフ」や「ソルトターミネーター」
など除塩に効果のあるケミカルを混ぜていけば、
エンジン内で「ぶくぶく」と泡になり、塩を溶かして
意外と有効です。
毎回でなくてもいいので、ぜひご検討を!
さて、「サンマルクさん」、
疑問にお答えできたでしょうか?
一部歯切れの悪い表現がありましたがお許しください。
大人の事情というやつです・・・
BF115Aがいつまでも調子よく、活躍しますように!