Dr-Hの船外機のお話

船外機のメンテナンス

BF2Dのアフターファイヤーと研究所

2010-07-30 16:33:18 | ブログ

昨日、一昨日と和歌山県田辺市で定期点検などをしていまして、雨に打たれたのか、帰って

来ると夜から高熱が出て、本日はふらふらしながら仕事をこなしております。

明日も大阪市内で修理なので、体調を戻しとかないと・・・

さて、今回はBF2Dのアフターファイヤーの件です。

時々、「BF2Dを陸上でエンジンを掛けると、アフターファイヤーを起す。これは不具合で

は?」とのお問い合わせや、来店があります。

私自身も陸上でエンジンを掛けて、スロットルを急激に戻すと、「パンパン」と音がするのを

認知しております。

Product_photo_bf2

これは、先に申し上げますと、不具合ではなく、正常です。

今までは、点検したり、海上試運転したりして確認していましたので、「問題ないです」と

いう話で終わっていたのですが、最近、同様の件でまた来店がありましたので、良い機会と

思って弊社の試乗艇のBF2Dでその現象を動画に収め、本田技研工業㈱さんと

この現象について分析、解説をお願いし、話し合いをする機会を持ちました。

①もともと船外機なので、排気を水中に放出することを想定しているので、空中(陸上)で

 エンジンを掛けると、排気の抜けがよくなりすぎる。

②そのとき、急激なスロットルOFFをすると流速で混合気が排気管に導かれてしまう。

③排気管の熱で発火し、「パンパン」と音が鳴る。

と言った現象で、正式には「アフターバーン」と言うようです。

不具合ではありませんので、ご安心ください。

空冷のBF2Dなので、水を通さずにエンジンが(短時間)掛けられるので、こういった

勘違いが発生してしまうと思います。

そういったご相談で持ち込まれたエンジンでも、海上試運転やバケツに入れての運転では

「パンパン」となったことは、現時点では1度もありません。

水中に排気することによって発生する排気抵抗を想定して設計されています。

たとえば自動車で、排気管を交換している「走り屋」さんの車が、たまに「パンパン」と

なっていますが、排気の抜けが良くなると、アフターバーンが発生します。

なお前にも解説しましたが、空冷のBF2Dですが、排気管の、特に下部は水によって

冷却を想定して作られています。

プロペラの前の方のボディーに、冷却水を内部に取り入れる穴が数個、開いています。

インペラーポンプはありませんが、ボディー内に入った水は、バーチカルシャフト(縦の動力軸)の

回転によるスパイラル効果で、少しは上部に巻き上げられ、となりにいる排気管にも

しぶきが掛かっていると思います。

何度もブログで「試運転はプロペラをはずしてバケツに突っ込んで」と言っているのは、

そのためです。

空中で長時間運転すると、排気管は火傷するくらい高熱になると思います。

ここからは少し、自慢話になりますが、最近、レンタルボート店様で、他社からBF2Dに

変更していただくことが多くなっていきました。漁師さんであれば業務とはいえ毎回同じ

人が使用しますが、レンタルは想像を絶するヘビーユーザーさんです。

毎回、使う人が変わり、スピードもほぼ全開です。

変更理由は大人の事情で言えませんが、次はBD2Dにしていただいております。

有難いことです。

話は変わりますが、本田技研工業には、「研究所」と言う部門があります。

創業者(本田宗一郎氏)の意向で、営業などの部門から独立することにより、

良い製品を開発すると言う考え方とのことです。また、船外機製造工場には研究、開発、

解析を行う場所があり、工場にマリーナ設備があり、世界中の船外機を取り付ける

ボートがテスト用に並んでおります。

今回もこれらの部門にも回答をいただいております。

また、製品や各パーツの耐久性やサンプル調査、経年調査で現地に来られ(大阪湾、南紀、

琵琶湖、池原、七色ダムにも)、何度もご協力をしたことがあるのですが、非常に自社製品に

真剣に取り組んでおられます。いつも調査に立ち会って、そこまでするかといったところまで

調査されますが、それら情報を製品にフィードバックされています。

今回動画を送ったのも、最近調査でお会いしたある方より言われていた

のを思い出して送った次第です。

こういった方々の努力により、日々進化している船外機なのです。

ニューモデルが出るたびに、必ず進化していると言ってもいいのでは。

なお、修理やアフターサービスの対応などは、販売したお店が責任を持って行うことになって

います。そういうシステム(メーカーとディーラの取り決め)となっております。

研究所の方は修理にはこられません。(役割分担が違います)念のため!

毎回、難問や高度な修理問い合わせにも迅速かつ的確に回答していただけるので、

私たち現場の人間にはありがたい限りです。

ああっ、またフラフラしてきた。今日は早く寝よう・・・・


ウイングフィッシャーと高性能プロペラ

2010-07-27 20:14:24 | ブログ

船外機の修理をシコシコとこなしております。

本日もBF20Dのロワケースの修理が終わって、発送が終わったところです。

ベアリングとシールの全数を打ち換えたので、汗だく、集配に間に合わせないといけないし・・

明日からは泊まりで、田辺の中村屋さんのウイングフィッシャー26などの定期点検です。

八百盗 中村屋さんのブログ

http://blog.rebass.jp/user/yaotou/nakamuraya/

ウイングフィッシャー26と言えば、BF150AとBF225Aのエンジンが選択できます。

中村屋さんがボートを購入されるとき、エンジンの選択で悩まれましたが、

私は、業務使用時の低燃費とボートの前後トリムの関係でBF150Aをお勧めしました。

BF225A搭載時にはスピードは36ノット出るので、早いほうが良い人はこちらですが

お客さんを乗せて釣りをさせるとき、BF150Aの方が前後のバランスがよく、

風が吹いても船首が風下に落とされにくいんですね。

でも、パワーダウンによる課題が残りました。加速と速度です。

日産マリーンさんのデーターでは17ピッチ3ブレードのプロペラで30ノットです。

でも、船底塗料も塗りますし、お客様もたくさん乗せられます。

そこで選んだのがSOLASのHR-TITAN4の15ピッチ4ブレードのプロペラ

Hrtitan Hrtitan2

このプロペラは名前の通り、HR・・・ハイレーキプロペラです。

マーキュリーのトロフィーと同じタイプで、耐キャビテーションやベンチレーション効果が

高く、比較的高速艇向けです。

セットしてみると、加速性能、プレーニングに入るまでの時間が大幅に短縮されました。

軽負荷での最高速も、17ピッチプロペラと同等の30ノットを超えました。

プレーニングに入る時間が短いと言うことは、燃費も良くなるんですね。

価格もマーキュリーより●●●なので・・・

バスボートにも良くお勧めします。

2ストロークを搭載するように設計されたボートの4ストへの換装時にはスタンヘビーに

なりがちですが、ハイレーキペラなのでそのエンジンの極限の高さ(冷却水が吸える

限界)までハイセットしても、ペラが先にキャビることがほぼありません。

4ブレードによる加速性能の向上は、4ストロークにはありがたいものです。

ステンレスなので少し高めですが、下手なチューニングより効果があるかも・・・

バスボートならステンレスは当たり前ですしね。

パワーテック社よりも同じようなタイプが出ており、こちらもお勧めですね。

ハイレーキペラ、すごく良いですよ!


Dr-Hと修理がいっぱい

2010-07-24 14:08:36 | ブログ

夏本番、尋常じゃない暑さ、たまりませんねぇ。

そんな中、船外機の修理依頼が続々と入っております。

昨日は、BF175Aの修理で北陸地方へ。

Bf175

冷却水系統の問題でしたが、比較的簡単に問題解決しました。

コンピュータースキャンツールをつないで、エンジンの状態や履歴を確認します。

Drh

実はこのHONDAのコンピューター診断機ですが、名称が「Dr-H」と言います。

ブログタイトルと同じじゃないかと言われそうですが、なんの、私がお客様から

そう言われた方が数年早くて、本田技研の講習会で診断機の名称が発表されたとき、

大笑いしました。

さて診断すると・・・問題はなさそうです。4年間で95時間稼動しており、過去に3回オーバー

ヒートブザーが鳴ったようです。

無事、修理は完了しました。

翌日、あるレンタルボートさんから、BF20Dのロワギヤケースがとどきました。

Dscf1124

分解してみると、すごいことになっています。

あと、BF130Aのバルブ関係の修理、BF150AとBF50A2の定期点検と、

お盆までにこなさないといけない修理が続々と・・・まだまだ増えるかも?

中国地方へインターセプター11の配達もあります。

この前やった和船の船体修理の続きもあります。

がんばります・・・・???


BF2Dの点検、調整

2010-07-21 18:41:55 | ブログ

またまた好評の?HONDA BF2Dの点検のコーナーです。

まず、エンジンオイルの量を点検します。

Photo

レベルチェック窓の半分が、正しい量です。

陸上試運転は、プロペラをはずして、バケツに水を張って行います。

(プロペラをつけたままエンジンを掛けると、バケツがひっくり返ります!)

Photo_2

2

エンジンの回転数をチェックします。タコメーターが無いエンジンなので、

デジタルタコメーターを使用します。

2_2

アイドル回転数は、基本として2000rpm±100rpmです。

但し、プロペラシャフトを触って、回転していないか確認します。

2_3

次はタペット調整です。フライホイールの矢印と、IGNコイルの

取り付けネジのセンターを写真のように合わせます。

(写真では矢印を判りやすくするため白く塗りました)

2_4

次に、タペットカバーをはずして、隙間ゲージで計測し、

狂っていれば調整します。IN0.06~0.10mm、EX0.09~0.13mmです。

調整後は、液体パッキンを塗布し、カバーを取り付けます。

G

あと、最近イリジウムプラグに変えたほうが良いかとよく効かれるのですが、

私的には、どちらともいえません。

確かに、プラグ(火花)の性能は上がると思いますが、

イリジウムプラグは、ワイヤーブラシでゴシゴシと掃除ができないので・・・

好みの問題かな???

個人的にはNG●のプラグが故障が少なくお勧めです。

イリジウムはDEN●●のプラグは性能が良いと聞きますが・・・

さて、お盆に向けて、修理の依頼が立て込んできました。

Bf130hed2

これは、今日修理に行って持って返ってきたやつです。

他にもいっぱい・・・

がんばらねば!


BF2D 入院

2010-07-13 21:19:02 | ブログ

本日、遠方よりBF2Dの修理に来店されました。

お電話で聞いていた内容では、

少しの調整でお持ち帰りいただけると予想していたのですが・・・

思わぬところに不具合が見つかり、入院となってしまいました。

Bf2d

バラバラにして、点検中です。

通販で他店よりお買い上げいただいたようですが、このタイミングでお持込いただいて

逆に良かったのかも知れません。

少しお時間をいただくことになってしまったので、仕方ないとはいえ、少し恐縮です。

今度は完全に直って、元気に活躍してくれることでしょう。

がんばります。