昨日、一昨日と和歌山県田辺市で定期点検などをしていまして、雨に打たれたのか、帰って
来ると夜から高熱が出て、本日はふらふらしながら仕事をこなしております。
明日も大阪市内で修理なので、体調を戻しとかないと・・・
さて、今回はBF2Dのアフターファイヤーの件です。
時々、「BF2Dを陸上でエンジンを掛けると、アフターファイヤーを起す。これは不具合で
は?」とのお問い合わせや、来店があります。
私自身も陸上でエンジンを掛けて、スロットルを急激に戻すと、「パンパン」と音がするのを
認知しております。
これは、先に申し上げますと、不具合ではなく、正常です。
今までは、点検したり、海上試運転したりして確認していましたので、「問題ないです」と
いう話で終わっていたのですが、最近、同様の件でまた来店がありましたので、良い機会と
思って弊社の試乗艇のBF2Dでその現象を動画に収め、本田技研工業㈱さんと
この現象について分析、解説をお願いし、話し合いをする機会を持ちました。
①もともと船外機なので、排気を水中に放出することを想定しているので、空中(陸上)で
エンジンを掛けると、排気の抜けがよくなりすぎる。
②そのとき、急激なスロットルOFFをすると流速で混合気が排気管に導かれてしまう。
③排気管の熱で発火し、「パンパン」と音が鳴る。
と言った現象で、正式には「アフターバーン」と言うようです。
不具合ではありませんので、ご安心ください。
空冷のBF2Dなので、水を通さずにエンジンが(短時間)掛けられるので、こういった
勘違いが発生してしまうと思います。
そういったご相談で持ち込まれたエンジンでも、海上試運転やバケツに入れての運転では
「パンパン」となったことは、現時点では1度もありません。
水中に排気することによって発生する排気抵抗を想定して設計されています。
たとえば自動車で、排気管を交換している「走り屋」さんの車が、たまに「パンパン」と
なっていますが、排気の抜けが良くなると、アフターバーンが発生します。
なお前にも解説しましたが、空冷のBF2Dですが、排気管の、特に下部は水によって
冷却を想定して作られています。
プロペラの前の方のボディーに、冷却水を内部に取り入れる穴が数個、開いています。
インペラーポンプはありませんが、ボディー内に入った水は、バーチカルシャフト(縦の動力軸)の
回転によるスパイラル効果で、少しは上部に巻き上げられ、となりにいる排気管にも
しぶきが掛かっていると思います。
何度もブログで「試運転はプロペラをはずしてバケツに突っ込んで」と言っているのは、
そのためです。
空中で長時間運転すると、排気管は火傷するくらい高熱になると思います。
ここからは少し、自慢話になりますが、最近、レンタルボート店様で、他社からBF2Dに
変更していただくことが多くなっていきました。漁師さんであれば業務とはいえ毎回同じ
人が使用しますが、レンタルは想像を絶するヘビーユーザーさんです。
毎回、使う人が変わり、スピードもほぼ全開です。
変更理由は大人の事情で言えませんが、次はBD2Dにしていただいております。
有難いことです。
話は変わりますが、本田技研工業には、「研究所」と言う部門があります。
創業者(本田宗一郎氏)の意向で、営業などの部門から独立することにより、
良い製品を開発すると言う考え方とのことです。また、船外機製造工場には研究、開発、
解析を行う場所があり、工場にマリーナ設備があり、世界中の船外機を取り付ける
ボートがテスト用に並んでおります。
今回もこれらの部門にも回答をいただいております。
また、製品や各パーツの耐久性やサンプル調査、経年調査で現地に来られ(大阪湾、南紀、
琵琶湖、池原、七色ダムにも)、何度もご協力をしたことがあるのですが、非常に自社製品に
真剣に取り組んでおられます。いつも調査に立ち会って、そこまでするかといったところまで
調査されますが、それら情報を製品にフィードバックされています。
今回動画を送ったのも、最近調査でお会いしたある方より言われていた
のを思い出して送った次第です。
こういった方々の努力により、日々進化している船外機なのです。
ニューモデルが出るたびに、必ず進化していると言ってもいいのでは。
なお、修理やアフターサービスの対応などは、販売したお店が責任を持って行うことになって
います。そういうシステム(メーカーとディーラの取り決め)となっております。
研究所の方は修理にはこられません。(役割分担が違います)念のため!
毎回、難問や高度な修理問い合わせにも迅速かつ的確に回答していただけるので、
私たち現場の人間にはありがたい限りです。
ああっ、またフラフラしてきた。今日は早く寝よう・・・・