Dr-Hの船外機のお話

船外機のメンテナンス

インペラーの交換

2010-06-30 17:14:01 | ブログ

いやーサッカーのワールドカップ、終わってしまいましたね。

私は俗に言う「にわか・・・」ですから、熱心なサッカーファンではありませんが、

昨日はさすがに・・・・・

いつも、日本の応援だけです。オリンピックも、ワールドベースボールクラシックも、

「日本勝て、勝て」なのですが、実は後半戦が終わった時点で、見ていられなくなって

(選手ががんばっているのに点が取れず、いたたまれなくなって)

布団に入りましたが・・・気になって、気になって・・・・

朝のニュースで結果を知ったのですが、TVを見ながら目がうるうるしていました。

ドラマが待っていたのですね。タイムリーに見ていたら、泣いていたかも・・・

私も昔、ヨットレースに出ていたのですが、やはり負けたときはつらいし、「よし来年こそ」と

思ってまた1年間練習するのですが、その1年間がまたつらい。

負けたときはその1年間の練習を思い出すので悔しいさ100倍増です。

ワールドカップは4年後ですね。次回も応援するでしょう・・・

さて本題のインペラーの交換です。

以下の写真は、左側が新品の部品で、右側が付いていたもの。

Photo

今回はSUZUKI DT-5の修理で水の出が悪いとのことでした。

旧部品は変形していますので、水の上がりが悪かったのですが、原因はもう一つあって

仮組みして試運転しても、少し水の出が悪いようです。

そんなときは、これの出番

1 2

ハンディータイプの温度計です。

トリガーを引くと、赤外線ポインターみたいなレーザー光線がでて、当たっている場所の

温度を瞬時に表示します。

シリンダーヘッドやウォータージャケットやサーモスタットカバー付近の温度を計測してみると

確かに、高すぎます。

再度分解してみると、ウォーターポンプに刺さるウォーターチューブ(冷却水管)の

刺さり量が少ない・・・

以前に修理されたとき、ポンプで管を突いて、上に曲げていたようです。

最近、オークションで購入されたとのことなので、前のオーナーさんがミスったのか???

直径7mmほどの銅管なので、強引に押されて、上部のカーブ部分が曲がって上にずれて

しまっていました。

最終組立をして試運転すると、水量も大幅に増え、温度を計測しても安定しております。

修理完了です。

念のため、この温度ですが、2ストロークと4ストロークで違いますし、メーカーによって

違うので、どれがどうと言えません。

船外機はほとんど水冷ですし、直接冷却なので、修理にこの温度計は必需品で

大変重宝しております。

これが無いと、サーモスタットなど、はずして鍋に入れて、グツグツと煮て、開く温度を

棒温度計で計測してと、現地の修理なら「キャンプしてるみたい」と言われてしまいそうです。

壊れていなくても、サーモスタットのガスケットが犠牲になります。

で、私の大切な相棒の一つです。

インペラーの交換は、お客様と会話していると、結構簡単で・・と言う話になりがちですが、

基本的にはお客様自身で交換できるのが理想ですが・・実は奥も深いんですね・・・。


お手伝い と ALCUP4

2010-06-26 18:34:37 | インポート

ある業者さんのお手伝いでBF90DKOのセットです。

Dscf1047_2

プロペラはSOLASのALCUP4の15ピッチです。

ボートは、NISSAN FP-700です。

このFP-700、当時のメーカー設定は2ストのNS90BやNS120Aの選択で、モデル最終期で

BF90Aもチョイスできましたが、その最終期のころ、新艇で数隻販売したことがあります。

BF90Aも関西でぼちぼち市場に出始めていたころですが、試運転であまりの立ち上がりの

遅さに「これでは、お客様に納得していただけない」と頭を抱えた記憶があります。

まだ、4ストロークは「重くて遅い、燃費だけ」と言われていたころです。

ハイト調整やいろいろやってみて、一番効果があったのが、3ブレードプロペラから4ブレード

プロペラへの変更でした。アルミペラですが、明らかにプレーニングするまでの時間が

短縮できました。

Alcup4

お客さんに「4ストは遅いって聞いてたけど、あまり感じまいね、これで十分だよ」と言われたこ

とが記憶に残っています。

今回はBLAST搭載EFIのBF90DKOですから、3ブレードプロペラでも十分加速したと

思いますが、NS120Aからの載せ換えなので、同等の体感などを考え、また燃費のことも

考えてALCUP4をお手伝させていただいたお店にお勧めしました。

軽く慣らし運転後、ペラの確認走行を・・・ドンピシャ6000~6100rpmです。

加速感も2ストと同様に感じます。(同じ馬力なら、2スト以上かな???)

Dscf1049

セット完了です。

なおアルミの4ブレードプロペラは、一つだけ3ブレードに負ける要素があります。

最高速域での、速度の伸びがすくないです。

それ以外は、立ち上がり時やアクセルワークへの追随、後進時の保進性などいいことが

多く、私個人的には、使いやすいと思っています。燃費も良くなる要素が多いです。

お勧めです。ALCUP4・・・


BF2D の アイドルエンスト

2010-06-21 20:54:33 | ブログ

注意!今回はエンジンの調整方法についてご紹介しますが、取扱説明書では本来、「販売店に作業を依頼してください」と書かれている項目になっております。お客様自身でされる場合は自己責任でお願いします。また、作業に自信の無い方は購入店に持っていって調整をされることをお勧めしますし、特に海上では絶対に作業をしないでください。

では本文に・・・

最近、お問い合わせや修理のご依頼で、アイドルエンストと思われる症状が多くなっているのが気になったので、今回は調整方法をご紹介します。

アイドルエンスト・・・一旦掛かったエンジンがアイドリング時に自然に停止してしまうことです。

状況としては、BF2Dの場合、アイドリング回転数は2000rpmとなっており、その回転を維持するようにキャブレターの弁の開き具合などで吸入空気や燃料を調整しています。

たとえば最近の自動車はEFI(電子制御燃料噴射)となっており、燃料は噴射しますが、空気はアイドルエアーコントロールバルブというバイパス空気通路に付いた電磁弁がコンピューターから来た情報により吸入空気の量をこまめに調整し、規定のアイドリング回転数を維持しています。

このバイパス通路は、アクセルペダルからつながったバルブ(弁)とは別の空気通路になっている場合が多いです。

よって、温度、酸素濃度、湿度、季節など自然環境の変化があっても、弁や通路が汚れて狭くなって吸入量が減っても、EFIエンジンは自動的にアイドリングを維持できます。

ところがBF2Dのようなキャブレタータイプのエンジンは、自然環境の変化や汚れに伴う空気量の変化(汚れによる燃料の量も)があっても、自動的に調整する機能はありません。

もともと工場で組み立てたときの温度や湿度で最適に調整されていますし、最近の工場は空調管理が完璧です。

で、季節やエンジンの使用状況でアイドリングを調整しないといけません。

方法としては、キャブレター上部にある「アイドルストップスクリュー」を調整します。

注意!「パイロットスクリュー」ではありません。パイロットスクリューはキャブレターの横にある燃料を調整する為のものです。これは絶対に触らないでください。

私の行う手順としては①エンジンオイル量を確認する。②燃料を確認する。③スパークプラグやその他を確認する。④プロペラをはずす。⑤エンジンスタンドに立てて、バケツに突っ込み、バケツに水を張る。⑥チョークを引きエンジンを始動する。その後チョークを戻す。

バケツに水を張る量は、アンチキャビテーションプレートより5~10cm上ぐらいまでです。ボートにエンジンを付けた場合に海に浸かっているのと同じ高さとお考えください。

これにより、排気熱によるエンジン各部の損傷を防ぎます。

エンジンを1~2分暖気し、スロットルを完全に戻したとき、エンジンが止まってしまうならアイドルエンストです。

以下、写真で説明します。(クリックすると、拡大します。)

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キャブレター上の隙間から、「アイドルストップスクリュー」が見えています。

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ドライバーで時計回りにまわすと、アイドル回転が上がります。

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作業がしにくい人は、写真のように上部サイレンサーをはずしてください。

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で、キャブレター上にある、ばねの付いているネジを回します。

時計回転でアイドル回転が上がります。(反時計回転で、アイドル回転が下がります)

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スロットルグリップを完全に戻しても、エンジンが掛かり続けるところに調整します。

無意味に回転を上げないでください。エンジンがかかり続けるギリギリよりほんの少しだけ余裕がある程度です。無意味に回転を上げすぎると、遠心クラッチがつながり、プロペラシャフトが回り始めてしまいます。

エンジンが掛かり続けている状況でバケツに手を突っ込んでプロペラシャフトを触って回転していないか確認します。(必ず初めに書いたように、プロペラは先にはずしておくこと。はずさないと大変危険です。)

プロペラシャフトを触って、回転していなければ調整は完了です。

もし、プロペラシャフトを触って、少しでも回転していれば、残念ながら購入した販売店にご相談ください。キャブレターが調整不可能なほど汚れているなど、上記の方法だけでは解決できないと思われます。

プロペラシャフトが回った状態なのにプロペラをセットして、ボート上でエンジンを掛けるとボートは急発進します。絶対にやめてください。

あと、キャブレターをはずしたことのある方で、キャブレターガスケットを再使用していると、キャブとエンジンの隙間から2次エアーを吸い込んでアイドル不調になる場合がありますのでガスケット(パッキン)の再使用は絶対にやめてください。

上記の方法を理解して、事前に調整のうえ海に行けば、現地で不快な思いをすることも無く1日楽しんでいただけます。ご自分で調整するか、販売店に調整してもらうかは自己の責任でご判断ください。

もしご質問があれば、メールなどでお気軽にお問い合わせください。

皆様の安全かつ快適なマリンライフに少しでもお役に立ちますように・・・


梅雨とカツオとバートラム

2010-06-15 15:30:18 | ブログ

いやー梅雨ですねぇ・・・

じめじめ、ねちねち、ぐちょぐちょ・・・あまり好きではない、うん!

でも、毎年この時期になると、思い出すのはカツオです。

今日も八百盗 中村屋さんに電話したら、「Hさん、釣れてるでぇ~!」と言われ、

よだれを垂らしながら、頭のなかは「カツオのタタキ」でいっぱいになります。

この写真は、最近の中村屋さんの釣果です。

Photo

なぜ、私は梅雨と聞くとカツオと反応してしまうのか・・・

この業界に入ったころの話です。

みんなでカツオ釣りに行くことになりました。岸和田港を出航し、すさみ沖へ・・・

と言いたいところですが、先発隊はボートで、仕事のあった私は夜行電車で。

11:00ごろ各駅停車の電車に乗ったのですが、電車の中は同じように釣りに行く人でいっぱ

いで、皆さん大声で釣り談義に花を咲かしておられ・・・寝られない・・・

やけくそで、一晩中、ボートに積む予定のビールをひたすら飲んでいました。

5:00ごろ現地に着き、ボートの中で一眠り・・・と思いきや、エンジンSTART・・・

えぇっ、もう行くの・・・釣りですから当然です。ボートはUSバートラム28です。

Photo_2

しかし海は大時化で、梅雨のしとしと雨です。

業界に入ってすぐの私は、貴重な体験をすることになりました。

そう、それまでは知らなかったのです。

時化(荒天)+寝不足+二日酔いの3条件がそろうと、人はどうなってしまうのか・・・

後部デッキではみんなが仕掛けを流しているので、気分の悪くなった私は

ロワステーションのトイレに・・・洋艇特有の臭いが、追い討ちをかけます。

・・・中でどれくらい時間がたったでしょうか・・・体中の水分を全部出し切ったかのように

ふらふらです。正直、カツオが釣れたかどうかも覚えていません。

帰りは、電車で帰るみんなを見送り、新人は経験と言うことで回航要員に・・・

ひたすら北上するボートに強いブロー性の西風が雨とともに吹きつけます。

ボートがジャンプするたび、右に傾斜したまま着水するので、FBの右端に乗っていた

私の眼下は、海面がもろに見えます。

どうにかこうにか、無事に帰りました。

貴重な体験をした私は、その後「3条件の法則」を破ることが無くなり、ボートの上で

人間ポンプになるのは、これが最初で最後になりました。

しかし、悔しかった私は、その後毎年のように梅雨の時期になると、カツオの

トローリングに行くようになり、装備品は仕掛けに、しょうゆにわさびに生姜にビールに

金串とバーナー・・・?本カツオもソウダカツオも関係ありません。(ソウダガツオを金串に

さしてあぶっていたら、地元の漁師さんに「猫またぎを食べている」と言われましたが)

あるときは、2泊3日釣行のうち、陸に上がったのはボートを舫う数分だけで、

食事も寝るのも排泄もボートで済ませて、釣れたカツオをバーナーで焙っていました。

最近はぜんぜん、行かなくなってしまいました・・・

でも、梅雨になると、思い出してしまうのです。

ああぁっ、釣れたてが食べたいっ!


エンジンオイルと大人の事情

2010-06-12 19:42:45 | ブログ

お客様より船外機に入れるエンジンオイルについての質問を受けることが多いです。

一番多い質問は、

「メーカー純正のオイルを入れないといけないですか?」

「ホームセンターで売っている安いオイルを入れても大丈夫ですか?」

という類の質問です。

これについては、

「取り扱い説明書に書いてある、グレード(SJとかSMとか)と粘度(10W-30とか)

を守れば良いと思いますが、あまり安いのを入れるのは・・・」

「ご心配であれば、メーカー純正を入れては・・・」

みたいな回答になりがちです。

私が経験したり聞いたりした限りでは、ホンダ船外機に限っては、グレードや粘度を守ってい

れば、オイルが原因で即故障のようなことは、過去にありません。

昔、お客様がディーセルエンジン用のオイルを入れていて、センサー類の誤作動を

起したり、オイルパンに堆積したりと言うのはありました。(これは論外ですね!)

弊社が通常、特に指定が無い場合に入れているのは、これです。

Products_01

本田技研の第二ブランドHAMPのオイルです。

コストパフォーマンスで選んでいますが、SMグレードです。Honda Cars店などでも

多く使用されている業務店向けのオイルです。で、20?缶と200?缶のみです。

昔、8耐なんかに出たこともある方がやっているPWC店に出荷したことがありますが、

「オイル交換をしたら音が静かになった」とわざわざ電話をいただいたことがあるし、

まあまあのオイルと思います。

性能を要求されるお客様には、これです。

Products_05_2

NSXやS2000に推奨されているオイルです。化学合成オイルなので高いですが、

安心してお勧め できるオイルです。

特に、BF150やBF225など高馬力で高回転をブンブンよくまわすお客様にはお勧めです。

でも、本当に大切なのは、交換頻度です。

たまにオイル交換をすると、墨汁のようなオイルが出てくることがあります。

かなり長い時間オイル交換をしないと、粘度の残っていないオイルが出てきます。

これでは、どんなに高性能オイルを入れても、エンジンは磨耗し、擦り切れ、

気がついたときはパワーダウンと言うことになります。

廃油には、極微細な金属粉が混じって、キラキラ光る♪・・・歌っている場合ではない。

エンジンオイルは100時間以内に交換してください。

先日、あるバスボートショップの社長さんと話をしたときのことですが、

そのショップではいろいろなエンジンオイルをテストしてお客様に勧めているとのことで

通常使っているオイルが、高性能オイルとのことです。

特にホールショット時の時間が、ぜんぜん短縮できるとのことです。

先日もBF225のお客様と相談して、その時は違うオイルを入れることになったとのことです

が、お客様がすぐに「やっぱりもとのオイルに戻して、加速が遅い」と言ってきたとか・・・

お店もすごいが、お客さんもすごいです。

エンジンオイルもできるだけ50時間以内で交換するようにお客様には話をし、ほとんどの

お客様が理解を示されるとか・・・うらやましいかぎりです。ハイレベルな会話ですね。

本田技研工業の技術の人も、「エンジンオイルの違いで、性能が5%は変わる」と言っていま

す。本当にそう思います。

で、そのバスショップ店が使っているオイルですが、「どこのなんと言うオイルか?」って??

大人の事情でお話できません。

エンジンの加速がそんなに違うのですから、すごく研究されたと思います。

企業秘密ですね。昔、そのショップでセットしたBF150に乗せてもらいましたが、確かに

違いました。

どうしてもと聞きたいという方は、お電話ください。

そのお店への行き方をお教えいたします・・・・冗談です。

私もブランド、グレードなどは、あえて聞いておりません。聞くとしゃべりたくなるので(笑)

でもどうしてもと言う方には、本当にそのお店がどこかと言うことは自信をもってご紹介できま

す。

ハイパフォーマンスなバスボートを目指す方、ご連絡くださぁい。

horii-miyasan555@space.ocn.ne.jp