Dr-Hの船外機のお話

船外機のメンテナンス

台風とBF90AキャブOH

2010-10-30 17:24:40 | 修理

台風が無事、通過していきました。

係留保管のお客様には電話で「台風対策大丈夫ですか?」とお尋ねしていますが、

近頃は皆様「準備万端です!」と頼もしい限りです。

昨日は天気が何とか大丈夫そうだったので、マリーナさんに頼まれていた修理に行きました。

まず、115CETOです。

115c

こいつは先日からてこずらせてくれました。

メドが付いて、次はBF90Aのキャブレターのオーバーホールです。

と、トラブル発生、移動用エアーコンプレッサーが突然停止・・・・

キャブの修理なのに、泣かせる・・・

とりあえず、ばらしていきます。

Bf90a1 Bf90a2

BF90Aは、インテークマニホールドごとはずします。

はずしたあとは・・・すっきりしております。

おっと、インテークマニホールドの裏側には、防蝕亜鉛(アノード)が付いております。

係留保管の方は、キャブのOH時は一緒に部品を取っておき、交換してください。

Bf90 90

今回は陸上保管艇ですので、亜鉛表面の掃除で済ませます。

で、キャブレターをばらしていきます。

Photo_2 90_2

キャブレターを分解してみると・・・細かな砂???が入っていました。

でも、一番のポイントは、ここ!

90_3

長期に使用しないのにキャブに燃料を入れたまま放置すると、これが

詰まっていることが多いです。

今回は、3番と4番の穴が細くなっており、2番が完全に詰まっていました。

強力業務用キャブレタークリーナーでも開通しません。細い細い針金でゴニョゴニョと

ほじくって開通しました。

コンプレッサーの故障で、すごく作業時間を食います。

私が修理している傍らで、マリーナスタッフが台風対策でボート同士、または

ボートと地面をロープで縛っていきます。

マリーナがまるでくもの巣のようです。

キャブの組立は、基本的に上記の作業と逆にしていきますが、

キャブボディーの通路の詰まり、フロートやニードルの確認調整など

チェック項目がたくさんあります。

組立後、ベースアイドルや同調調整を行うのですが、

デジタルタコメーターとバキュームゲージが必要になります。

整備経験の無い方、上記工具の無い方は、専門のサービスマンに任せたほうが安心です。

機会を見つけて、これらもご紹介できればと思います。

ああぁ・・・・・移動用コンプレッサー直るかなぁ。


BF9.9D洗浄方法(水洗)

2010-10-27 12:08:03 | ブログ

みなさま、ご無沙汰しております。

先週は何かとスクランブルが多く、115CETO,VZ200PETO,F60CETOとか・・・

そう、ヤマハ船外機週間でした。(BF90AとかBF9.9Dもありましたが。)

で、週末は地元のお祭り、だんじりをエイヤコラと引き回し(私が引き回され?)

またこれが、休憩のたびにお酒が振舞われるのですが、

朝のスタート時にだんじりをお清めしてお神酒を飲んで、休憩するごとに

「おいH君、飲んでるか?!」大先輩達からほとんど命令です。

顔を真っ赤にした、背中には「祭」のハッピを着た集団が町を練り歩き、引き回し、

お囃子が「テンテケテン」、どんどん酔いが回って、本当はしんどいのでしょうが

みんな威勢がよくなって、最後までがんばれます。

これって、ある意味ドーピング?

昔の人は、うまく考えたものです。

終わってからも、飲み会は続き・・・・・朝から1日中飲むのは、毎年この日ぐらいです。

では本題に・・・・・・・・・・

BF9.9Dの洗浄方法(水洗方法)についてです。

BF8D,BF15D,BF20Dも全く同じ方法です。

まず、エンジンカウルをはずすと、サーモスタットカバーの上に、水洗口があります。

991 992

水洗口に、オプションの水洗プラグ(ウォーターホースジョイント)を接続します。

水洗プラグは、税別¥470-です。

接続後、ホースをつなぎ、蛇口を捻るか、ポンプで送水してください。

993 994

この方法はダイレクトにヘッドを洗えるので、係留保管艇でも洗浄可能です。

エンジンを始動せずに水洗できます。(逆に、エンジンを掛けてはいけません)

この方法はインペラーポンプから水を吸わないので、エンジンを掛けると

インペラーを破損します。

陸上でエンジンを掛ける場合は、バケツに突っ込むなどして掛けてください。

ヨットの補機、フィッシングボートのサブエンジンとしてお使いのオーナー様には

特に実施していただき、長く使用してください。

あと、長期間ご使用にならない場合、シーズンオフ前等には、必ず

キャブレターの中のガソリンをドレンから排出して置いてください。

少し長めのマイナスドライバーがあれば簡単にできます。

「ホースをはずして、エンジンを止まるまで掛けて・・・・」とよくお聞きしますが、

やらないよりはマシですが・・・・たぶん、まだガソリンは残っています。

洗浄して、ガソリンを抜いて・・・慣れたら15分ぐらいでしょうか?

これと油脂類の定期交換で、ほぼ医者要らず(修理屋要らず)です。

ぜひ実施をおねがいします。

・・ああぁ・・だんじり筋肉痛が・・イテテテテェ~


ジョイフィッシャー25とアオリイカ

2010-10-15 17:46:40 | ブログ

昨日はジョイフィッシャー25の改良のご依頼で南紀方面へ。

オーナー様は係留保管で約1年間使用されましたが、岸壁からボートへの

乗り降りにご不便を感じておられ、ハンドレールの改良のご依頼です。

ジョイフィッシャー25はバウパルピット(ハンドレール)が一体型ですので、船首を岸壁に

接岸して乗り降りするとき、跨いで乗り降りしないといけないので、クーラーボックスや釣具を

持っていると、非常に辛いとのこと。

Jf25

元々は、この形状です。真ん中を切断加工して通路を確保します。

当然切り口はきれいに溶接して塞ぎ、丸く整えます。

また、もともと一体型なので、左右に分かれるとグラグラ不安定になりかねないので

後ろ足を増やし、ベース部分も大型にして安定をさせます。

で、加工後です。

Jf25_2

予定通りうまくいきました。グラグラしません。

ちょうど作業終了後、八百盗 中村屋さんが帰ってきました。

八百盗 中村屋さんのブログ

http://blog.rebass.jp/user/yaotou/nakamuraya/

お客さんとして乗っていたのは、ジョイフィッシャー21オーナーでもあるKさんです。

久しぶりに3人で昼食をしました。

アオリイカや甲イカが5~6匹釣れたとのこと。うらやましい(おいしそう)

午後は将軍丸のハゼさんと合流し、スパンカーの改良のご相談です。

今のシステムに少し不便を感じているとのことで、2人であれこれ知恵を出し合い、

将軍丸の高いマストに登って、改良をしました。

出来上がりにハゼさんも満足。

で、「今から1時間ほどエギングに出ませんか?」とのお誘いをいただきました。

でも仕事で来ているので、釣り道具はありません。どうやらロッドは予備があるようですが

準備のできたリールが今日は積んでない・・・・と、後ろに人の気配が・・・・

Kさんがリールを貸していただけることになり、将軍丸出航です。

将軍丸のブログ

http://blog.livedoor.jp/shougun0739/archives/2010-10.html

時間が少ないので、近場でサッと・・・・・・・・えっ!!

船長のハゼさん、1投目からHITです。

少ししてKさんもHIT、さすが船長、短時間でも釣らせてくれます。

プロですね。

そのあともHITや、ゲソ(足だけエギに残っている)を重ね、暗くなったので

終了。暗い海でも、レーダーとDGPSで安全に帰ってきました。

で、夕方の釣果

K

ニコニコ顔のKさんです。

ええ、私ですか・・・・・・特等席の船首を独り占めしたにもかかわらず、ハゼさんの

餌木邪をロストした挙句、「沈黙の艦隊」となりました・・・ハァ、言い訳もありません。

修行が足りないです。

でも私のようなへたくそでも、ハゼさんは親切丁寧に教えていただけます。

初心者の方でも、ぜんぜんOKです。

Pap_0014

さあ、秋の釣りシーズン本番です。みなさん、私の敵討ちに言ってください。

えっ、私は・・・ハイ・・・・しばらく反省します(泣)


TOHATSU M60B のオーバーヒート修理

2010-10-08 19:05:45 | 修理

夕方になって雨が降ってきましたね。

本日は朝からマリーナさんの仕事の依頼でトーハツM60Bのオーバーヒートの

修理です。高回転で走行すると、オーバーヒートブザーが鳴って、回転制御が

掛かるとのこと。チェックすると水は問題なく上がっております。

オーナー様と打ち合わせして、関連部品を交換します。

本来は症状が出るまで走って問題を追求したいところですが、時間と費用とリスクを

考え、今まで14年間交換したことが無いサーモスタットをまず交換。

Photo Photo_2

次に温度センサーを交換しました。

Photo_3 Photo_4

マイナスがボディーアースなので、導通があるか確認します。

そして、インペラーも交換します。

Photo_5

まだ使える?かも知れませんが、問題の可能性のある部分は100%

取り除く方が、この場合安くて安全で近道になります。

トーハツのこのタイプはシフトシャフトの連結がピン式です。

シャフト連結時の長さの調整がいらないので、私は好きです。

Photo_6 Photo_7

ポンプケースのボルトには、グリスなど塗布してから組みましょう。

過去にボルトが塩かみして、このタイプ、何台も苦戦しております。

ポンプケース下のベースの厚みが1.5cmほどあり、この部分で塩かみし易いです。

最悪の場合、ボルトの頭を飛ばして、ポンプケースをはずしてからボルトを抜いたこと

何回もあります。

Photo_8 Photo_9

念のため、圧縮を確認、マニュアルでは暖気後になっていますが、あくまで確認なので

冷間で・・・3気筒とも9kgほどあります。規定値は8.5kg(暖気後)、目安ですが

冷間なので規定値以上出ております。そして陸上試運転。OKです。

お昼から海上試運転。風が強いのでゆっくり走りたいですが、高回転での症状なので

ずっと全開です。マリーナのサービススタッフと全開で30分ほど・・・

症状は現れません。とりあえずOKをもらいました。

今回は、水が絶対に上がっているのを確認後、部品交換からはじめました。

なぜか・・・あと残すは、パワーユニット分解の塩詰まりの確認だけだったから。

これは、修理代が高くなりますし、古いエンジンの場合、分解をきっかけに腐食部が

もろくも崩れ、組み立て不可になることがあるからです。

過去にパワーユニットを降ろしたら、その下面に迷路のような冷却通路があるのですが

その迷路の壁がボロボロと・・・・(泣)

電蝕です。

なぜ、電蝕を恐れたか・・・・ヒントにしたのはこれ!

M60

アノードの管理不足です。

貝もびっしり付いていたとか・・・

そして・・・・・オーナー様はこの部分は修理の保留を希望されたのですが・・・

Ptt

PTT(パワートリム&チルト)の裏に電蝕で穴が開いて、PTTオイルが噴出しております。

この状態です。高い確率でどこかに「もろく、そしてボロリ」が潜んでいそうです。

エンジンは絶好調なのですが・・・

時にはこういう進め方もあります。

できればPTTも修理して、完璧な状態で終わりたかったのですが・・・・・・・・


仕分け人

2010-10-07 19:13:09 | ブログ

本日はポカッと開いた時間ができてしまいました。

もともとは依頼を受けているTOHATSU M60Bの修理に行く予定でしたが、

緊急指令が入って、予定変更、某所に出かけました。

予定が終わって14:00ごろ帰社、あとは決まった予定がありません。

(溜まっている修理をかたずけろと言う声が聞こえてきそうですが・・・)

そこで、前からやろう、やろうと考えていた、今流行の必殺仕分け人です。

Photo

現地で艤装をしていると、ついつい「ごちゃ混ぜ」になりがちな私のネジ箱!

ここ1~2年ぐらい、ごちゃ混ぜが続いておりました。

尊敬する兄貴分の修理屋さんたちは・・・仕事のできる人は、みんなきれいに

仕分けされています。(見習わねば)

これら兄貴分たちと一緒に仕事をしていると、ボルトやタッピングビスで困ることは

まずありません。

「あれ~、6mm×30mmのボルトが足りないよー」と叫ぶと

「あるよ!」とつぶやく声。

キムタクと松たか子のドラマHEROの喫茶店のマスターのように、

なんでもでてきます。皆さん、尊敬申し上げます。

でも、この整理がもう~大変です。

「これが4mmのナットで、えっと、これが6mmの皿ビスで、長さが・・・・」

ボルトナットに続いて、タッピングビス、その他の艤装部品など・・・

これらのネジ達も、総額に直すと数万円にはなるのでしょう。

数時間かけて、念願の整理ができました。

これで完璧です!!

あっ! 

Tさんから注文のあったソルトオフ、

注文するのを忘れていた・・・