宮海「私が一晩、家を留守にしている間に、そんなことが――ッ!?」
ニュー「……何の話ですか?」
宮海「ごめんちょっと言ってみたかっただけ」
ニュー「宮海さま、今度からは、お泊りならば事前にそう言っておいてくださいね?
電話で『今日は泊まるから』なんて簡単に断りを入れられるほど、このヤミツカ
の屋敷は門限に緩くはありません」
宮海「すいません。ところで、門限なんてあったんだ? 何時までなの?」
ニュー「6時に玄関を施錠し、9時には館内の照明を落とします」
宮海「それなんて月姫だよ……。てことは、この日記は消灯後に書いてるのか……」
ニュー「私は今までそうやってきました。兄さんにも守ってもらわねば困ります」
宮海「誰が兄さんやねん」
ニュー「冗談はともかくとして、ご友人宅というのはまた珍しいですね。そういうの、宮
海さまはあまり好きではない性だと思っていましたが」
宮海「ビンゴッス。あまり乗り気じゃなかったんだけど、やむにやまれず~」
ニュー「泊まることがダメな、具体的理由とかってあるんですか?」
宮海「んー、泊まるコト自体は別になんだけど、なんか相手に気を使ってしまって、ど
うもね~。なんつーの、異物混入の心境?」
ニュー「宮海さまが異物の立場ですか……そんな比喩を持ち出す人、始めて見まし
たよ」
宮海「私、自慢でもなんでもないんだけど、枕が替わってもスグに眠れる神経なの。
だから、己の図太さとか負のイメージを持たれちゃうんじゃないかって、少し心
配で……。三大欲求くらいは、落ち着ける場所で満たしたいと思わない?」
ニュー「まぁ、少なくとも睡眠欲は落ち着ける場所じゃないと満たせないでしょうけど」
宮海「私ってば精神ダメージに弱いし、そこんところ過敏になってしまうわけですよ。
有る意味で、自己管理しなきゃ、というフィルセーフが掛かっていると言えなくも
ないでしょう。難しいトコロなんですよ」
ニュー「その前に図太いのか気が弱いのか、ハッキリさせていただきたいです……」