雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

証拠隠滅 ・ 小さな小さな物語 ( 303 )

2012-01-25 10:51:25 | 小さな小さな物語 第五部~第八部
中国で大きな鉄道事故が発生しました。
事故により亡くなられました多くの方々のご冥福をお祈り申し上げます。
また、負傷された方々も多数にのぼると報じられています。一日も早いご回復をお祈りいたしますとともに、ご家族の方、ご遺族の方々にお見舞い申し上げます。


さて、事故直後の映像がわが国のテレビなどで早々に伝えられましたが、事故状況の映像もさることながら、線路橋から地面に縦になっている車両をそのまま押し倒した映像には驚きました。まあ、事故車両を地面に下ろす方法としては、最も手っ取り早くて合理的な方法かもしれませんが、私たちには乱暴に過ぎるように見えました。
しかも、そのあとすぐに、車両の一部が重機で砕かれ、土に埋められたといいます。その作業工程の中で、二歳の子供が生存しているのが発見されたということですから、何とも凄まじい話です。
国民性や文化の差というものがありますので、私たちがあまり無責任な意見を述べるのはどうかとも思いますが、さすがに中国の一般の人たちにとっても乱暴すぎる事故処理だったようで、被害者家族や報道機関などから、「証拠隠滅」のための行動だと非難の声が大きくなり、政府首脳も対策に乗り出したようです。


他国のこととはいえ、多くの外国人が利用することもある鉄道であり、隣国の人たちのためにも安全な鉄道システムが構築されるよう訴えることは必要なことだと思います。わが国などもその典型ですが、一国の不条理は、なかなか国内の知性や道徳だけでは解決されないことも事実なのでしょう。
それにしても、わが国のこの数日のテレビ報道はどうなのでしょう。新聞なども同様のようですがあまり多くを見ていませんのでテレビに限定しますが、中国の鉄道事故に対して、「証拠隠滅」「証拠隠滅」と、下手な選挙運動のように連呼しているように見えてしまうのが少し情けないのです。


隣国の大事故を無視するのも良くないことですが、そのため福島第一原発の事故報道は手抜きされていませんか。かの国の「証拠隠滅」を指弾するのもいいことかもしれませんが、わが国の「証拠隠滅」の追及は甘すぎるのではありませんか。
かの国の有力報道機関は当局の意向に従った報道しか出来ない、などと蘊蓄を述べられているテレビ解説者を数人見ましたが、福島の原発発生後の、それも一か月以上にわたって、政府も含むいわゆる当局者の発表データーをそのまままことしやかに伝えていたのではありませんか。あのデーター正しかったのですか。かの国の今回の事故に対する「証拠隠滅」が少々乱暴すぎ、わが国の「証拠隠滅」が少々巧妙だっただけではないのですか。
福島の原発事故発生後、せめて三月中の関連ニュースや解説報道について、歪められた当局の発表データーを妄信していたり、意図的であれ無知であるからであれ、明確に誤った報道がなされていなかったかどうか検証すべきではないでしょうか。
まあ、自助能力を苦手としている私たちですから、外国機関からの圧力でもかからない限り無理なのでしょうが。

( 2011.07.29 )

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