王林からラ・フランスに改植するため先ずは収穫後のリンゴの枝切りをする。樹齢40年以上の矮性台木の王林で当時は矮性台木のリンゴ栽培は走りだった。果樹青年部でリンゴ栽培の先進地の長野方面に深夜に出発して現場視察研修が盛んに行われていた。紅玉価格の暴落からふじリンゴの新植や高接ぎが盛んに行われていた。
そん中でこれまでの大木のリンゴ栽培から低木、密植栽培の矮性台木のリンゴ栽培が始まった。まだ実際に矮性台木のリンゴが成っていたのを見た事もなく栽培方法は暗中模索だった。確かな事は収穫作業は低木なので脚立の上り下りはしないでトマト収穫のような作業でしかも低木なので陽当たりが良く着色進み美味しいリンゴが期待出来た。
只これまでのマルバ台木の大木に成長するリンゴの木とは違い樹高が低いので台木の根は細根で浅根で風には弱く倒木する。これまでの普通の栽培とは違い倒木防止に1本支柱や棚仕立てで高額なお金が必要だった。又矮性台木の苗木は高額で10アール当たりの栽培本数多く120本で苗木代や資材代全部購入すると大変な金額だった。
リンゴ栽培仲間が集まり減反田に市内の缶詰会社から出るジュースや加工リンゴの搾りかすを貰って来た。搾りかすには砕けたリンゴかすの他に種子もいっぱい混じっている。水洗いをして中に混じっている品種は問わずリンゴの種子だけ取って集団で減反している狭い苗代田に降雪に筋状に播種した。
翌春には発芽して1m程の1年生の自根の苗が出来た。2年目の早春にその自根の苗に矮性台木を接ぎまた1年養成して3年目になってから当時の流行していたふじ、王林の品種を高接ぎしてやっと4年目で仲間の園地に定植した。それから40年以上の年月でいろんな思い出のあるリンゴ畑。
押し切り川を挟んで向こうは里山で何時の年なら美しい紅葉を眺めながら秋晴の中の収穫作業。期待外れの紅葉でチェンソウを使い太い幹の枝切りを行う。家内は切り落とした枝を燃やしているが未だ落葉しない青葉の枝なので燃え尽きが悪く難儀している。
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