廊下づたいに聞こえる物音で青年は目が覚めた
耳を澄ますと騒がしさのなかに住職の声
大丈夫か?大丈夫か?と聞こえる
昨夜[家内の具合が悪くて]と言っていた
青年は頭陀袋を引っ提げると庫裡へと向かった
すみません!すみませんと今度は庫裡の玄関ではなく
渡り廊下の庫裡の戸の前で何度も声をかけた
やっと出てきた住職は仏頂面で[はばかりなら▪▪]と
[奥様の具合が悪そうな気配が本堂に伝わって来ました。
私は医者です。もしよければ診させて頂きたいと▪▪]
住職は表情を一変させ奥に案内した
[何も考えずに旅して来い]と父に進められて出た旅
医者であること両親のこと祖父や兄のことなど
何も念頭に置かず旅に出る
迷ったけれど聴診器を頭陀袋にいれた
病人は横になることも苦しいらしく
布団のうえに丸まって座り辛さに耐えている
[どうされました?]という問いに
病人は苦しさの模様を喘ぎ喘ぎ答えた
仰向けに寝てはいられない
右脇腹を下に丸まるか坐位で丸まる
この痛さは尋常でない
車の手配ができる所まで小一時間
リヤカーに布団を敷き病人を乗せて
手伝い一人も加わって青年と住職と
病人は山を降りることにした
耳を澄ますと騒がしさのなかに住職の声
大丈夫か?大丈夫か?と聞こえる
昨夜[家内の具合が悪くて]と言っていた
青年は頭陀袋を引っ提げると庫裡へと向かった
すみません!すみませんと今度は庫裡の玄関ではなく
渡り廊下の庫裡の戸の前で何度も声をかけた
やっと出てきた住職は仏頂面で[はばかりなら▪▪]と
[奥様の具合が悪そうな気配が本堂に伝わって来ました。
私は医者です。もしよければ診させて頂きたいと▪▪]
住職は表情を一変させ奥に案内した
[何も考えずに旅して来い]と父に進められて出た旅
医者であること両親のこと祖父や兄のことなど
何も念頭に置かず旅に出る
迷ったけれど聴診器を頭陀袋にいれた
病人は横になることも苦しいらしく
布団のうえに丸まって座り辛さに耐えている
[どうされました?]という問いに
病人は苦しさの模様を喘ぎ喘ぎ答えた
仰向けに寝てはいられない
右脇腹を下に丸まるか坐位で丸まる
この痛さは尋常でない
車の手配ができる所まで小一時間
リヤカーに布団を敷き病人を乗せて
手伝い一人も加わって青年と住職と
病人は山を降りることにした