夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『映画 クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』

2024年08月21日 | 映画(か行)
『映画 クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』
監督:佐々木忍
声の出演:小林由美子,ならはしみき,森川智之,こおろぎさとみ,真柴摩利,北村匠海,
     伊藤俊介,畠中悠,水樹奈々,戸松遥,安元洋貴,小林ゆう,金田朋子,内田真礼他
 
前述の『ボレロ 永遠の旋律』を観てからTOHOシネマズなんば本館へ移動して。
 
いつの頃からか欠かさず観ている“クレヨンしんちゃん”劇場版。これが第31弾なのだそうです。
劇場版を観るたびに、私はやっぱり“ドラえもん”より“クレしん”が好きだとしみじみ思う。
 
夏休みに入り、遊びに行く気満々のしんのすけだが、
野原家の父親ひろしは仕事とつきあいに忙しく、家計も逼迫して出かけられそうにない。
 
そんななか、東京に恐竜テーマパーク“ディノズアイランド”がオープン。
創設者はこれまで斬新なアイデアで数々のイベントを成功させてきたバブル・オドロスキー。
行こうにも1年先まで予約でいっぱいと聞き、かすかべ防衛隊の面々が消沈していると、
同じ幼稚園に通うお嬢様あいちゃんが連れて行ってくれると言うから大喜び。
 
本物の恐竜を復活させたとして世間は驚き、客が押し寄せているが、本当はすべてロボット。
実はオドロスキーの息子ビリーが研究に成功して1頭だけ本物の恐竜が誕生した。
父親に渡せば何をされるかわからないと、ビリーはまだ子どもの恐竜を連れて逃げるが失敗。
オドロスキーは手下たちを使ってビリーと本物の恐竜を追いはじめる。
 
野原家のペット、シロはひとりで散歩に出かけた折にそのチビ恐竜と遭遇。
シロを追いかけていたしんのすけとかすかべ防衛隊もチビ恐竜と会ってビックリ。
まさか恐竜とは思わないまま家に連れ帰ると、ナナと名づけて可愛がるのだが……。
 
しんのすけたちとシロとナナの夏休み。可愛くてたまらん。
ちょっとお下品なところが玉に瑕だけど、のび太よりしんのすけのほうが信用できる(笑)。
 
頭の中にアイデア満載で面白く楽しいはずだった父親が、
いつしか世間の期待に応えるがために大ボラを吹くようになる。
ビリーとその姉アンジェラも、最初は一緒に楽しく研究していたのに、変わりゆく父親。
父親に背いてでもナナを守ろうとするビリーに対して、
アンジェラは父親の言いなりのままナナを捕まえようとしていましたが、
野原ひろしとみさえがオドロスキーに放った言葉を聴いて気持ちに変化が生まれます。
 
最後はちょっと泣いちゃいましたねぇ。ほんま、たまらんわ。
 
どこか引っかかってしまう。(^^;
 
「アンビリーバブル」が「アンミカバブリー!?」というのも笑っちゃったのを思い出しました。
スベるギャグも多いけど、たまにツボにハマるしんちゃんなのでした。

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『ボレロ 永遠の旋律』

2024年08月20日 | 映画(は行)
『ボレロ 永遠の旋律』(原題:Bolero)
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ラファエル・ペルソナ,ドリヤ・ティリエ,ジャンヌ・バリバール,ヴァンサン・ペレーズ,エマニュエル・ドゥヴォス,
   ソフィー・ギルマン,アンヌ・アルヴァロ,アレクサンドル・タロー,マリー・ドナルノー,フランソワ・アリュ他
 
なんばグランド花月で“中川家 特大寄席 2024”を観る前に、なんばで2本。
前日に高校の同窓会でしこたま飲んでいるため、この日は酒抜き。
なんばへ行くときの常で黒門市場近くのコインパーキングを狙って行ったら、
この辺りの最安値、10時間最大料金900円のタイムズに1台だけ空きあり。ラッキー。
TOHOシネマズなんば別館へ。
 
フランスの作曲家モーリス・ラヴェルの曲の中で最も有名な“ボレロ”はどのように誕生したかを描く音楽伝記ドラマ
監督は『ボヴァリー夫人とパン屋』 (2014)や『夜明けの祈り』(2016)のアンヌ・フォンテーヌです。
 
1875年生まれのモーリスは、バスク人の母親とスイス人の父親との間に生まれ、幼い頃から音楽の才能を発揮。
ローマ賞(芸術選考の学生に対してフランス国家が授与する奨学金付き留学制度)にエントリーするも落選。
しかし母親や親友シパの支えにより挫折することなく音楽の道を進みつづける。
 
ローマ賞に落選しようとも彼の評価は下がることなく、
特に著名なバレエダンサー、イダ・ルビンシュタインはモーリスに首ったけで、彼の曲で踊ることを切望。
モーリスはその話を引き受けたものの、まったく音が思い浮かばないまま日が経ってゆくのだが……。
 
生涯独身だった彼について、本作のなかでそのセクシュアリティが具体的に描かれているわけではありません。
ただ、彼に想いを寄せるミシア(=シパの姉で既婚者)を好きでありながら、彼女のいかにもなアプローチを躱す。
彼女から遠回しにゲイなのかと聞かれると否定はするけれど、だからと言って女性にも性的な興味はない。
つまり、女性にも男性にも性的な欲望はまったく感じないアセクシャル(無性愛)の人として描かれています。
 
モーリス役のラファエル・ペルソナの美しい顔立ちは、そんな中性的な人物像とよく合っていて、
彼が「官能」について理解できずにいる戸惑いも良い具合に伝わってくる。
自らは性的な関心を持ったことがないからわからないのに、周りの人は自分の曲を官能的と評するのですから。
工場の風景にぴったりだと思った“ボレロ”の舞台を娼館にされて下品だと激怒するけれど、
渋々観に行った初演で絶賛され、下品と官能的は違うのだと初めて知るのですね。
 
偏屈と言えなくもない彼は純粋で、だからこそ彼を支える人が多くいたのかと。
鑑賞中はどういう間柄なのかわからなかった同居人マルグリット・ロングはピアニストなんですね。
シパ、イダ、ミシア、いずれも実在の人物なので、鑑賞後に調べるのもまた面白い。
 
オープニングではジャズやレゲエやヒップホップにアレンジされた“ボレロ”の映像が流れて冒頭からもうウキウキ。
明るい内容の作品ではないのに、音楽に魅了されて切なくも晴れやか。
後世に残した曲は決して多くはなくても、こうして誰もがその旋律を知る曲がある。
15分に一度、世界のどこかで何らかの“ボレロ”が演奏されているそうです。

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『劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』

2024年08月19日 | 映画(は行)
『劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』
監督:斎藤圭一郎
声の出演:青山吉能,鈴代紗弓,水野朔,長谷川育美,内田真礼,千本木彩花他
 
TVアニメ化された頃から気になっていたものの、一度も観たことのないまま数年が経ち、
先月劇場版の前編『劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく! Re:』でお初の対面。
それが思っていた以上に楽しくて、ちょっとファンになりました。
楽しみにしていた後編を封切り日にイオンシネマ茨木にて鑑賞。
 
ほんとはギターヒーローなのに、相変わらず極度の人見知りで陰キャな女子高生ひとり。
それでも“結束バンド”のメンバーになってからは、以前とは違う毎日を感じていた。
しかし、夏休みの終わりが近づくにつれて気が重くなり、虚ろ。
 
明らかにおかしいひとりを見て、メンバーの虹夏、リョウ、郁代が心配していたところ、
虹夏の姉・星歌が鋭い指摘をする。「誰か、夏休み中にひとりを遊びに誘ったか」。
それぞれの夏休みを謳歌していた虹夏たちは、ひとりの夏休みには思いが至らずにいたのだ。
慌てたメンバー3人は、夏休みの思い出づくりにひとりを誘って海に出かける。
 
みんなと過ごせたおかげでなんとか2学期からも登校する気力が湧いたひとりは、
文化祭の2日目のライブに出演するバンドを募集中だと知り、
結束バンドとして演奏してみたいと考えるが、応募する勇気はなくて躊躇する。
そんなひとりの気持ちを知ってか知らでか、郁代が勝手に応募してしまい……。
 
序盤の悩めるひとりのシーンは、独りでいるのも好きな私には結構うざくもありました。
そんなに独りが嫌か、そんなに心配せんでも大丈夫やでと思ったりして。
だけどたぶん、独りでいることか皆といることか、どちらでも選択できるからこそ独りも好きと言える。
誰も友だちがいなくて、学校でも常にひとりぼっちだったら、独りが好きだなんて思えないかも。
 
結束バンドが文化祭に出演することになってからは音楽の話が一気に増え、
どうか文化祭が成功しますようにと願わずにはいられません。
このような作品で失敗するはずもないから、安心して観ていられますけれども、
ひとりのギターの弦が切れたときはどうなる!?と多少ドキドキしました。
 
カップ酒を4本空けてご来場のきくりさん、アル中ではないのかしら(笑)。
彼女を見るたび、私もほどほどにしようと思うのでした。
 
劇場版は一応これで終わりですね。
なんだか名残惜しい。いつまでも彼女たちを見ていたい。

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『ある一生』

2024年08月18日 | 映画(あ行)
『ある一生』(原題:Ein Ganzes Leben)
監督:ハンス・シュタインビッヒラー
出演:シュテファン・ゴルスキー,アウグスト・ツィルナー,アンドレアス・ルスト,ユリア・フランツ・リヒター,
   イヴァン・グスタフィク,ロバート・スタッドローバー,マリアンネ・ゼーゲブレヒト,トーマス・シューベルト他
 
テアトル梅田にて4本ハシゴの〆にドイツ/オーストリア作品を。
 
原作はオーストリアの作家ローベルト・ゼーターラーの世界的ベストセラー小説。
御年58歳のハンス・シュタインビッヒラー監督はわりと寡作な人なのか、
日本で公開されたのは代表作の『アンネの日記』(2016)を含めて過去に3作品だけ。
もっと老齢の人が撮ったような趣があります。
 
20世紀初頭のオーストリア・アルプスの麓の町。
私生児だったアンドレアスは、母親の義兄だという叔父の家に引き取られるが、家族として認められることはなかった。
叔父はアンドレアスが同じ食卓に着くことを許さず、叔父の実子たちもアンドレアスをのけ者にする。
農場主である叔父はアンドレアスをこき使い、少しでも失敗すれば骨が折れるまで尻を殴打する。
唯一優しかったのは老婆アーンルで、アンドレアスに料理や読み書きを教えてくれた。
 
年月が経って成長しても、叔父の虐待は相変わらず。
そんなある日、アーンルが急逝し、またしても殴ろうとする叔父にアンドレアスは初めて刃向かう。
アンドレアスから「俺を殴ればおまえを殺す」とにらみつけられ、慌てながら叔父は彼を追い出す。
 
叔父に虐げられたせいかおかげかどんな仕事もできるから、どこへ行っても重宝される。
各地を転々としながら日銭を稼ぎ、やがて貯まった金で見晴らしの良い土地に家を借りたアンドレアスは、
行きつけの食堂を手伝う女性マリーと出会い、初めて恋に落ちるのだが……。
 
不幸としか思えない境遇に遭っても文句を言わず、涙をこぼさず、ただ生きる。
これこそが幸せというものにせっかく巡り逢えたのに、それがまた壊れてしまう。
80年に及ぶ彼の人生は辛くも強く美しく、アルプスの景色に魅了されます。
 
こういう作品を観るといつも、幸せでしたかと聞きたくなりますね。
きっと幸せだったと思いたい。

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『ひどくくすんだ赤』

2024年08月17日 | 映画(は行)
『ひどくくすんだ赤』
監督:田中聡
出演:松澤仁晶,三溝浩二,金谷真由美,小島怜珠,大藤瑛史,岡崎愛莉,末次寿樹,東遥貴,細井じゅん他
 
テアトル梅田にて、4本ハシゴの3本目。
きつそうで避けていたのですが、上映時間が46分。2本目と4本目の間に鑑賞可能だったため。
 
国内外の映画祭で14冠を獲得したという田中聡監督の短編映画『うまれる』(2022)は、
いつどこで上映されていたのか知らず、未見のまま。
これはその田中監督が新たに放つ「禁断の問題作」との触れ込みです。
 
吉田は交通誘導員のアルバイトをしながら日銭を稼ぐ独身、58歳。
少年時代の彼は、“稲妻戦隊サンダーファイブ”のリーダー・レッドで、史上最強のヒーローともてはやされていたが、
あるとき愚弄な行動に走り、すべてを台無しにしてしまった。
その結果、サンダーファイブの仲間たちまで路頭に迷わせることになり、中には自死した者もいる。
何十年も経った今、どうしても自分のことが許せず、生き残っている面々に謝罪に行くのだが……。
 
生理的に無理に感じてしまう部分が多いです。
吉田役の松澤仁晶はTVドラマに多く出演するベテラン俳優で、『シュシュシュの娘』(2021)にも出演しています。
けれどお世辞にもかっこいいとは言えないオッサン。
少年時代のレッドを演じる小島怜珠が美形なだけに、えっ、成長してこんなオッサン!?と思ってしまう。
 
解散に至った行動というのが、ここに書きたくもないようなことで、って、書いちゃいますけど、
戦隊として活動中に、メンバーの紅一点・ピンクのお尻を見てあろうことか欲情し、
そのまま公衆の面前でピンクをレイプするという。これ、映像で見て受け入れられますか。
 
ひとりずつに謝って回ったところでどうしようもなく、最後は自分で自分を殴り殺す。
布団の上でただひとり、血だらけの彼を見ても気の毒には思わないし、呆気に取られるだけ。
 
「ヒーロー不在の時代に新たなヒーローの出現を願ってつくられた大人が楽しめる禁断のヒーロー映画」らしいけど、
ごめんなさい、私には痛々しいだけで理解不能。

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