『ポライト・ソサエティ』(原題:Polite Society)
監督:ニダ・マンズール
出演:プリヤ・カンサラ,リトゥ・アリヤ,ニムラ・ブチャ,ショナ・ババエミ,
エラ・ブルコレリ,アクシャイ・カンナ,セラフィーナ・ベー他
前述の『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』とハシゴする作品を探していて、
『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』に行きかけたのですが、どうも気乗りしない。
ノーマークだったこれはどうかと調べてみたらワーキング・タイトル・フィルムズ製作だという。
ここって、そこそこ以上には大作で、でも小品のような趣もある作品をいろいろと手がけていて、
振り返ると結構好きな作品が多い映画製作会社なんです。
たとえば『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)とか『宇宙人ポール』(2010)とか。
『レ・ミゼラブル』(2012)は堂々の大作ですが、
大好きだった『トラッシュ! この街が輝く日まで』(2014)や『ベイビー・ドライバー』(2017)もそう。
で、観る気になりました。
これはイギリス作品。監督はパキスタン系イギリス人の新鋭ニダ・マンズール。
なんと表現すればいいのか、今まで観た映画のどこにも属しがたい変な作品かも(笑)。
ロンドンに暮らすリアは、姉リーナと両親の4人暮らし。
スタントウーマンになることを夢見て、日々リーナをつきあわせては練習に励んでいるが、
両親は馬鹿げた夢だと取り合ってくれないし、学校ではきっちり変人扱いされている。
それでも親友のアルバとクララ、そしてリーナだけはリアのことを笑わない。
ある日、リーナに縁談話が持ち上がる。
富豪の御曹司サリムの豪邸でおこなわれた夜会で見初められたのち、
交際を経てトントン拍子に話が進み、結婚することになったのだ。
しかも結婚後はシンガポールに引っ越すのだと。
自分の唯一の理解者である姉を取られてしまう焦りから、なんとかサリムの汚点を探そうとするリア。
汚点がないなら作ればいいとサリムの部屋に忍び込んだりもするがすべて失敗。
それどころか、サリムの母親ラヒーラはリアのアタマに問題があると言い出す。
あきらめるしかないかと思っていたところ、サリムが怪しい遺伝子研究に手を染め、
よからぬことを考えているという証拠を見つける。
このままではリーナの命が危ないと、リアは親友たちの手を借りて救出を誓うのだが……。
まずテンポが普通の作品と違っているところに戸惑います。
インド映画のようでありながらなんだか違う。
話している言葉はすべて英語、でも見た目はインド映画っぽかったりして、
宗教的なこともまったくわからないから、この人たちはムスリムなのかどうかも私にはわかりません。
社会に存在していそうな家庭の階級の違いなんかも感じます。
とにかく金持ちが偉そうで。
ラヒーラのキャラが強烈でただただ怖いと同時に、サリムのマザコンぶりが気持ち悪い。
真相も非常に気持ち悪くて、ちょっと吐き気を催すほどです。
ただ、リアたちが団結して戦うところは爽快で、ダンスシーンも美しかったりして、
気持ち悪かったシーンを思い出さなければまぁ普通以上に楽しかったかなというところ。
なんだかとても不思議な感覚にとらわれた作品です。
何これと言う人も多いでしょうから、積極的には鑑賞を勧めません。
でも観たことは忘れないし、やっぱり面白かった気はします。