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2020年1月に読んだ本まとめ

2020年02月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2020年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3867ページ
ナイス数:944ナイス
 
■たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)
感想書きますよ、書きますけれど、これは何にも知らずに読むほうが絶対面白いですよね。作家買いをしたものだから、内容についてはちぃとも知らず、連作短編だと思い込んで読み始めました。第2章に入り、なんじゃこりゃ、別立ての話か、それにしてもしまらん、どうせぇっちゅうねんなどと悪態をつきかけ、第3章で「おみそれしました」。複数の人物の「それ」が変わっているのはちょっとずるいかなとも思うのですが、毎度のことながらこの人には鮮やかに騙される。そしてとても嫌な話。性別が謎だと今日まで思っていましたが、猥談はいかにも男性。
読了日:01月02日 著者:佐藤青南
 
■MASK 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
まったく、人間の思い込みってどんだけ偏見に満ちているんだか。「恵平」って確かに読めん。でも「平」と付いたら男の名前だと思い込んでいたものだから、「えーっ、女なの!?」とたまげました。“藤堂比奈子”シリーズを読了して厚田班ロスがようやく癒えたというのにまた手を出してしまった、別のシリーズに。恵平と書いて「けっぺい」、じんぞう先輩とのコンビが楽しい。事件は相変わらずグロいけれど、ナミヤ雑貨店を思わせるようなファンタジーでもあります。男前で超絶綺麗なドラァグクイーン、ダミさんのファンになりました。今後も楽しみ。
読了日:01月04日 著者:内藤 了
 
■デトロイト美術館の奇跡 (新潮文庫)
正直に言います。単に薄さに惹かれて買いました。この著者は私にとってビミョーなんです。いつも序盤はめちゃくちゃいいと思って読んでいるのですが、終盤は熱すぎてちょっと引いてしまう。だから世間の人気ほどにはのめり込めずにいました。でも本作は熱すぎない。もしかすると、いつものマハさんが好きな人なら物足りなく感じるぐらいかも。言い得て妙の「なんと気難しい、一生懸命な顔」の《マダム・スザンヌ》。彼女を見つめていたい、ただそれだけの人たちの想いが叶う。アートの素養がなくたって彼女は受け入れてくれるはず。美術館に行こう。
読了日:01月07日 著者:原田 マハ
 
■翼がなくても (双葉文庫)
思っていた以上に「アスリート」の物語。ミステリーの部分よりも、義肢で走る陸上選手の話の占める割合が大きい。ヒロインのことをあまり好きになれず、かつ、私の苦手な「無駄に金を使った海外ロケ」みたいなイメージがあって(海外ロケがあったわけじゃないけれど)、中山作品の中ではイマイチな読後感。でも、ここで御子柴弁護士に会えるなんて嬉しいじゃないですか。“御子柴弁護士”シリーズファンがニヤリとすることは間違いなし。なんだかんだでひと晩で読み切るまで寝られなかったのですから、東野圭吾と並んで私が読まされてしまう作家。
読了日:01月09日 著者:中山 七里
 
■十七歳だった! (集英社文庫)
お兄さん。かつてあなたは確かに妹さんよりも売れっ子でした。それがいつのまにやら追い抜かれ、今や「マハの兄」といわれる状況に。このあいだ妹さんの著作を読んだ私はふとお兄さんのことを思い出し、急に昔の作品を読み返したくなって本屋へ。「原田」の書棚にたどり着いて呆然。マハ2段ぶち抜き、宗典わずかにこの1冊。大麻で捕まったのがあかんかったのでしょうか。いや、その前からすでにマハの時代になっていましたよね。妹さんのあんな小説の合間に、ふとお兄さんのバカ話が読みたくなるのです。比べたりしないから、戻ってきてください。
読了日:01月10日 著者:原田 宗典
 
■小説 シライサン (角川文庫)
今年も映画館で300本観ることを目標にしていると言っても、日本のホラーは苦手だから、これは絶対ムリなやつと決めつけてまったくスルーしていました。ところが書店で平積みされているのを見かけ、「えっ、原作乙一なの?」と思わず購入。1件目の眼球破裂でやめたくなりつつ最後まで。ホラーを読んだときって不思議ですね。たいして怖くないやんと余裕をかましていたはずが、必ず怖い夢を見る。あの世に連れて行かれかける夢を見ました(泣)。映画がヒットしたら、シライという苗字の子、いじめられるやろと思ったけれど、シライサン、それか!
読了日:01月12日 著者:乙 一
 
■戦場のコックたち (創元推理文庫)
日常の謎系といっても舞台は戦場。すでに日常ではありません。第二次世界大戦中、志願して戦線へと降り立った青年ティム。腹が減っては戦ができぬ。料理上手の祖母に育てられて腕におぼえのある彼は、コック兵に挙手します。丁寧に綴られた物語で、読書にスピード感を求めるような人には不向きかも。しかしハマる人であれば、ティムと共に過ごすうちに、かけがえのない友を得たような気持ちになれます。戦地から無事に帰ったところで悲しみを分かち合える人は家族の中にはいないとしても、帰る場所はそこ、出発点もそこ。おばあちゃん、ありがとう。
読了日:01月15日 著者:深緑 野分
 
■夢をかなえるゾウ3 文庫版
そこいらの自己啓発本とかビジネス本よりよっぽど心に響いてためになると思いませんか。それにしたって私はなぜこんな本を読んで涙ぐんでいるのか(笑)。ガネーシャ凄すぎる。古田新太でしか想像できませんけれど。書きとめておきたい言葉いっぱい。やってみようと思えることもいろいろ。それに加えて、クレオパトラがモテたわけとか、松下幸之助が真の商売人たる所以とか、歴史上のあらゆるジャンルの人物について豆知識が増えることでしょう。こてこての大阪弁に嫌悪感のない人であればオススメしたい。何しろルビまで大阪弁だったりしますから。
読了日:01月17日 著者:水野敬也
 
■近いはずの人 (講談社文庫)
文節=一文みたいな感じで淡々としているからササッと読めるかと思ったら、意外に時間がかかりました。この時間のかかり方は、ひょっとすると主人公が気持ちを整理する時間を私が共に過ごしたくなっていたからなのかもしれません。妻を事故で亡くし、しかもその事故というのがどうやら不倫相手と落ち合う温泉に向かう途中に起きたものだったのですから。劇的に面白いわけでもないので、人に薦めることはありませんが、私は嫌いじゃない。大事な誰かを亡くしたとき、こうして人は心を取り戻して行くんだなぁ。ぽっかり空いた穴が少しずつふさがる。
読了日:01月23日 著者:小野寺 史宜
 
■メデューサの首 微生物研究室特任教授 坂口信 (幻冬舎文庫)
ジジむさい(笑)。内藤さんの著作はこれまでシリーズものしか読んだことがなくて、想像しただけでときめくイケメン曳き師とか、高ビーだけど可愛げのある女子とか、思わずギュッと抱きしめたくなる女性刑事や警官ばかりを見てきたから、定年退職後の特任教授の爺やとなるとなんか調子が狂う。グロさは相変わらずで、変異して自分の手を噛みちぎるネズミなんてやっぱりホラーなんですが。爺やが倒れたら困るから、応援したくなるという点では同じかな。私の苦手な「ジジイの妄想」に走ったら嫌だなと思っていましたが、美人捜査官相手でも節度ある。
読了日:01月26日 著者:内藤 了
 
■バベル九朔 (角川文庫)
お酒飲みながら読んだらあかんやつ(笑)。酔っぱらうと話についていけなくなります。雑居ビルの各階テナントの話か~、大好きだった三羽省吾の『路地裏ビルジング』と同じ設定だな~と思っていました。カラス女の登場辺りで酒をあおったのがあかんかった。次第に哲学的になってきて、バベルがぐるぐる回れば私の頭もぐるぐる回る。絶望と失望がバベルの源、幸せよりも不幸のほうが他人にパワーを与えられるものだとしたら、ちょっと寂しいような、でもわかるような。自分の夢がすでに叶っている世界と夢に向かってもがく世界、どちらに居たいかな。
読了日:01月30日 著者:万城目 学
 
■ルビンの壺が割れた
その作家の専門分野でもなかろうに、どれだけ丹念に調べて書き上げたんだろうと驚嘆する小説がたくさんあります。本作はそういう意味ではまるで驚きがありません。調べなければわからない知識としては、数行の熱帯魚に関することと売春に関することぐらい。懐かしい相手にメッセージを送るところから始まり、双方の年齢、関係、過去の出来事を読者は知る。誰にでも書けそう、でも書けない。それにしたって表紙を埋め尽くすコメントは言い過ぎじゃないでしょか。だって1時間ほどで読めてしまうんだから、寝られないなんてことは決してない。(^^;
読了日:01月31日 著者:宿野 かほる

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