夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『くちびるに歌を』

2015年03月22日 | 映画(か行)
『くちびるに歌を』
監督:三木孝浩
出演:新垣結衣,木村文乃,桐谷健太,恒松祐里,下田翔大,
   木村多江,小木茂光,角替和枝,井川比佐志他

TOHOシネマズ西宮にて2本ハシゴの2本目。

前述の『風に立つライオン』の第二の舞台だった長崎・五島列島。
期せずして本作もそこが舞台でした。
全国学校音楽コンクールの課題曲、アンジェラ・アキの『手紙~拝啓 十五の君へ~』をモチーフに、
乙一中田永一名義で書き下ろした小説が原作。
公開日が『幕が上がる』と同日で、三木孝浩監督曰く「部活映画対決」。
さて、軍配はどちらに。

長崎県の離島にある中五島中学校に着任した柏木ユリ(新垣結衣)。
ユリは東京で活躍するプロのピアニストだが、訳あってピアノを休止中。
地元の音楽教師で幼なじみの松山ハルコ(木村文乃)が産休に入るとのこと、
彼女の代替教師をゴリ押しされ、ピアノは弾かないという約束で渋々引き受けたのだ。

ハルコが務めていた合唱部の顧問もユリが引き受けることになり、
美人の新任音楽教師を目当てに、男子生徒が何人も入部を希望。
オトコは信用できないと、部長の仲村ナズナ(恒松祐里)は猛反対。
「男子がいると県大会を突破できない」と憤るナズナに、
「男子がいなくても、あなたたちは全国に出られるレベルになんてない」とユリは冷たい。

一方、引っ込み思案な桑原サトル(下田翔大)もユリに惹かれた一人だが、
自閉症の兄・アキオ(渡辺大知)を毎日迎えに行かねばならず、
とても部活には参加できそうにない。
しかし、ちょっと顔を出してみると、同級生からボーイソプラノを褒められる。
帰宅しておそるおそる母親(木村多江)に相談すると、意外にも聞き入れてもらえる。

ユリは合唱部の練習をただ見ているだけ。
不満を募らせるナズナたちにユリが出した宿題は、コンクールの課題曲にちなんで、
15年後の自分に手紙を書くようにというもので……。

『幕が上がる』はももクロ主演で、なかばミーハー的気分で観に行き、
あまり期待していなかったらおもしろかった。
こっちはそこそこ期待もあったのに、それ以上に良かったからこちらのほうが上か。

『幕が上がる』が演劇のみにほぼ絞り込んでのに対し、
こちらはそれぞれの人物像が細やかで濃い。
ナズナは母親を亡くし、ろくでなしの父親(眞島秀和)は出て行って、
祖父母(井川比佐志角替和枝)に育てられています。
サトルの手紙に書かれている「僕が生まれてきた意味」には涙ぼろぼろ。
また、ユリがピアノを弾かない理由に温かな友情をからめ、
ありきたりではあるけれど、三木監督はあれもこれも上手く盛り込んでいます。
ちなみにユリの恋人役として電話の声だけで登場するのは鈴木亮平

終盤の「みんなで」は私がいちばんダメな(=泣かされる)やつ。
涙腺が刺激されてオイオイ泣いてしまうじゃあないですか(笑)。
幸薄そうな木村多江の笑顔がとても素敵で印象に残りました。

歌は人を幸せにする。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『風に立つライオン』 | トップ | 『ブルックリンの恋人たち』 »

映画(か行)」カテゴリの最新記事