夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『星の子』

2020年11月02日 | 映画(は行)
『星の子』
監督:大森立嗣
出演:芦田愛菜,永瀬正敏,原田知世,岡田将生,大友康平,
   高良健吾,黒木華,蒔田彩珠,新音,田村飛呂人他
 
TOHOシネマズが今頃2週間にも渡ってシネマイレージデイ開催って、
サービス改悪で期限が設けられたポイントを使わせないようにする腹じゃないかと思う(笑)。
だってそうでしょ、この12月に初めてその期限が訪れるわけだから、
今までポイントを貯めつづけていた人は、使いまくって無料鑑賞するのが今。
ポイントを使うなら、何の割引もない日に使わないともったいない。
なのにシネマイレージデイを開催されたら、有料鑑賞してしまうやん。
ぜったい無料鑑賞する客を減らそうと思っているにちがいない。
 
で、まだまだポイントが残っているというのに、
仕方なく1,200円払ってTOHOシネマズ伊丹にて鑑賞。
今村夏子の同名小説を大森立嗣監督が映画化。
原作は既読。そのレビューはこちら
 
中学3年生のちひろ(芦田愛菜)。
父親(永瀬正敏)、母親(原田知世)、姉(蒔田彩珠)の4人家族だが、
姉はある日突然出て行ってしまった。
というのも、「普通」の家庭ではないから。
 
ちひろは生まれてまもないころから湿疹に悩まされ、
赤く腫れたちひろの皮膚を見て両親は途方に暮れていた。
そんなとき、父が会社の同僚から教えられたのが「水」。
その水でちひろの肌を優しく拭いたところ、目に見えて快復。
喜んだ両親はその水を販売する新興宗教にずっぽりとハマる。
 
緑色のジャージを着て、頭にタオルをのせ、水をかける両親。
その水のおかげなのか、両親はいたって健康。
なんだか変だと思うけれど、両親はとても優しい。
何も言わずにちひろは両親に従っていたが、
姉はたまりかねたのか家出してしまったのだ。
 
そんななか、新任の数学教師・南先生(岡田将生)にちひろは一目惚れ。
授業中もせっせと先生の似顔絵を描きつづけるのだが……。
 
芥川賞作家の作品ですから、原作はわかりやすくはありません。
巻末の小川洋子との対談を読んでわかった箇所もいくつか。
映画版も大森監督となればそんなにわかりやすく撮るはずもなく、
原作そのまんまの印象を持ちました。
大きく違うとすれば、家出したままどうなったかわからなかった姉が、
映画版ではどうしているかがチラリとわかること。
 
ちひろは両親が新興宗教にハマっていることを特には言わないけれど隠してもいない。
彼女とはまるでちがうタイプに思える美人同級生・なべちゃん(新音)との関係性が良い。
なべちゃんは宗教のことでちひろに気を遣ったりしないし、
むしろスパッと切り込んでくる。
でもちひろがそれでいいならいいやとばかりに、
必要以上には言わないし、やめさせようともしません。
 
逆に、ちひろの伯父(大友康平)はどうにかしてやめさせようとします。
自分の妹夫婦を説得するのは無理だと知るや、
ちひろを引き取ることを考えはじめます。
 
友人と身内では関わり方が異なるのも当然に思えますが、
どちらが正しいとか誤っているとかいうこともないだろう難しい問題。
それこそミイラ取りがミイラになるときがよくあるのでしょうね。
 
人から見れば自分の家族は変だ。
虐待されているわけじゃないけれど、人によってはこれも虐待だと考える。
でも、ちひろは十二分に両親の愛情を感じていて、
誰から何を言われようが、両親のそばを離れないと断言します。
これも一種の共依存なのではないでしょうか。
 
原作では、それでもちひろが両親のもとを離れそうな予感がありましたが、
映画版でもそれは同じこと。
黒木華演じる教団の女性の「迷っているのね」という言葉に、
ちひろも、両親も、いつか離れることを予感して、
こうして一緒に流れ星を見ているのかもしれません。
 
本作を観てエドワード・ファーロングって誰よと思った人は多いはず。
ほんと、昔々は美少年だったのですけれど、
今はヨレヨレ、ヤク中アル中で残念なことになっています(泣)。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2020年10月に読んだ本まとめ | トップ | 『望み』 »

映画(は行)」カテゴリの最新記事