夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2020年2月に読んだ本まとめ

2020年03月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2020年2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4290ページ
ナイス数:1158ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■ししりばの家 (角川ホラー文庫)
これを買ったら読まずにはいられなくて、読みかけだったほかの本をほっぽらかしてしまった。その時点でもう取り憑かれている(笑)。小学生の頃に誰かから「西洋の幽霊は建物に憑くけれど、日本の幽霊は人に憑く」と聞いたから、恨まれるようなことさえしなければ怖い目には遭わないのだと自分に思い込ませてきました。だから、建物に憑く話ってめっさ怖いんです。その家に住んだが最後、脳内を侵食される。異常であることを異常であると思えない様子にゾゾーッ。そう思いつつもたいしてビビらず読めたけど、今晩はたぶん怖い夢を見るにちがいない。
読了日:02月02日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/14954395

■ツバサの脱税調査日記 (幻冬舎文庫)
薄めの本を書店で探していて、ポソッとあるのをみっけ。しゅっと読めるはずが、「しかし」「だから」「しかも」「つまり」のなんと多いことよ。途中から頁をめくるたびに見開きに「しかし」がいくつあるのかを数えたくなってしまい、集中力を欠く。また、いくら天敵とはいえ、相手に近い人の自殺を皮肉るところなど、人としてどうかと思うから、応援する気持ちにはなれません。でも、著者は元国税調査官とのこと、追徴税にノルマがあるなんて知らなかったから、興味は途切れず。確かに、国民が正しい税務申告をすれば税務署の職員が困るなんて変だ。
読了日:02月04日 著者:大村 大次郎
https://bookmeter.com/books/13659592

■蟻の菜園 ‐アントガーデン‐ (角川文庫)
実際の事件がモチーフになっているとはいえ、こんな真相であるはずもなく、むしろこうであればよかったのにと思ってしまう。結婚したがる男たちから金をせしめて殺しただけというよりは、悲惨な目に遭ってきた姉妹が起こした事件というほうが納得できるから。ただ、どれだけ不幸だったからとしても、パチンコに狂った挙句の果てというのは、う〜ん。モノローグの正体がイマジナリーフレンドだったら拍子抜けだと思っていたこともあり、手放しで面白かったとはいえません。同著者の『孤狼の血』ほどの衝撃は味わえない。でも、虐待は駄目、辛すぎる。
読了日:02月06日 著者:柚月裕子
https://bookmeter.com/books/13798173

■スタート! (光文社文庫)
自慢じゃないけど(自慢です)、去年は劇場で映画を300本観ました。それでも年間に公開される総数からすると3分の1にも満たない程度しか観ていないわけで、毎日どこかの撮影現場で大なり小なりこんなドタバタが起こっているのかと思うと愕然とします。エンドロールでよく目にする「◯◯製作委員会」をいつも謎に思っていた私は(調べろよ(^^;)、それがどういうものかわかってスッキリ。しかしなんぼドンデン中山センセの作品であっても、ミステリーとしてはイマイチと言わざるを得ないから、映画をあまり観ない人にはイマサンぐらいかも。
読了日:02月10日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/9342165
 
■ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
日本でさえ様々な差別があるのに、ちょっと見渡しただけで多くの人種が同じ地域に暮らす海外の国へ行けば何でもあり。「パキ」、そうそう、『ボ・ラプ』でさんざんフレディが言われていたなぁ。「どの差別がいけないという前に、人を傷つけるのはどんなことでもよくない」、この考え方が世界中の人に浸透すればいいのに。真面目、かつユーモアにも溢れていて、ちっとも説教臭くないのがいい。ジョン・ステイサム似のボス的少年の描写があったりして、密かに映画や音楽ネタも多くて楽しい。シンパシーじゃなくてエンパシー、その能力を身につけたい。
読了日:02月11日 著者:ブレイディ みかこ
https://bookmeter.com/books/13789029

■文庫版 書楼弔堂 炎昼 (集英社文庫)
何の知識もなくとも書けそうな本が溢れる今、こんなにも丁寧に書き上げられた本を読むと嬉しくなるのです。しかも単行本をそのまま文庫化するのではなく、文庫は文庫で見開きにちゃんと字が収まっている。この京極さんの凝りようが嬉しくてたまらない。本好きで、想像できたなら必ず足を踏み入れたくなる弔堂。訪れる実在の人物たちは本当にこうだったかもしれません。人が死なねばならぬ義などない。生きてこそ。澤村伊智さんが敬意を表している京極さん。『ししりばの家』を読んだあとこれを読んだら、幽霊いないよと言いたくなってしまう(笑)。
読了日:02月13日 著者:京極 夏彦
https://bookmeter.com/books/14684624

■サイレンス (文春文庫)
決して出ることのできない島。よそ者から島の娘を守るために島民たちが何をしたのか、最後まではっきりと語られることはないけれど、わりと早いうちから想像がつき、驚きはありません。しかし、結局島に残った娘たちが、洗脳されたかのごとく、その後は島民たちと同じ行動を取るようになるところを想像すると恐ろしい。田舎暮らしを始めて昔ながらの住人たちと上手くなじんだ生活をする人がいる一方、よそ者はずっとよそ者のままという土地もあるのでしょう。笑顔と裏腹なのが怖くて、坂東眞砂子の『くちぬい』を思い出す。読むなら冬の間に。
読了日:02月16日 著者:秋吉 理香子
https://bookmeter.com/books/14854395

■線は、僕を描く
たぶんこの本は、読む人みんなを素直な気持ちにさせる。意地悪な人の出てこない物語というのは良いものです。良すぎると、優等生的だったり偽善的だったりに思えて皮肉な見方をしてしまう物語もあるけれど、この本はそうじゃない。『舟を編む』を読んだときに感じた、なんともいえない幸せな気持ち、それとおんなじ。切なくてもどかしい気持ちがゆっくりと澄んでゆく。たまの擬音も心に響く。唯一、違和感をおぼえるのは、会話中の相手の呼び方と描写中の呼び方が皆一致しているのに、なぜ彼女のことだけ呼び捨て?(笑) 勇気を持って線を引く。
読了日:02月18日 著者:砥上 裕將
https://bookmeter.com/books/13776823

■アカツキのGメン (双葉文庫)
爺さんが3人寄ると聞けば、有川浩の『三匹のおっさん』を思い出しますよね。私も当然そうでした。なのにそのワクワク感が冒頭で霧散。迷宮入りした銀行強盗団の正体が爺さんたちだというのは良しとしましょう。でも、その爺さんたちの技を目当てに、ろくに働きもせずに「自分は飲食業向き。店を持ちたいねん」などとのたまう遠縁の若造にカネつくってやるために強盗を計画するってどうなのよ。途中からは池井戸潤風になってきたけれど、最初に萎えた気分が大きく変わることはないまま読み終わってしまいました。きっかけが好きになれないとツライ。
読了日:02月20日 著者:横関 大
https://bookmeter.com/books/14694883

■幹事のアッコちゃん (双葉文庫)
このシリーズは「アッコちゃん」が主人公かと思いきや、アッコちゃんと関わることになった人物の目でアッコちゃんが描かれています。毎日忘年会だったりお稽古事だったり。アッコちゃんの凄まじいほどのバイタリティが主人公に伝播する。よく幹事を務めることのある身としては、余興なしで喋るのメイン、集まる顔ぶれによって店選びさえすれば、たいてい喜ばれると思っていますが、やはりここまでしないといけませんかね。もちろん、私自身も楽しめる宴会であることが前提です。「過ぎ去っていく一瞬の美に鈍感になってはいけません」。肝に銘じる。
読了日:02月23日 著者:柚木 麻子
https://bookmeter.com/books/14233099

■スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
勝手に「スマホミステリー作家」と呼ばせていただいております。第2弾もスマホを落としたわけじゃなかったですけれど、この第3弾は「スマホを拾っただけなのに」ですね(笑)。あっちにもこっちにも黒髪の美人。いったい誰が誰なのさと撹乱されてウキウキ。あの人は生きているようだからまだ続編があるのでしょう。時事ネタだらけで小説としての旬は今。そろそろ長く読み継がれる物語を書きたいなんてことをお思いではないのでしょうか。ま、この路線で書けば当たることは間違いないから続けるか。お節介なことながら作家の心の内を考えてしまう。
読了日:02月24日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/14954268

■バック・ステージ (角川文庫)
この著者にこのタイトルにこの表紙、絶対イヤミスでしょ。もともとは軽めのものよりも少しヘヴィーな話のほうが好きなんですが、今は滅入りそう。頁数が手頃というだけでヘヴィーなやつに手を出しちゃったかなぁなどと思いながら。そうしたら予想外に軽妙。恩田陸の『ドミノ』を読んだときのよう。同じ時間に複数の人物に何が起きていたか種明かしのように綴られる話は本も映画も楽しい。パワハラ上司をぎゃふんと言わせられるか。巻き込まれた新入社員・松尾のキャラがイイ。先輩社員・康子とのコンビはまた見たい。玉ノ井も混ぜてあげてね(笑)。
読了日:02月26日 著者:芦沢 央
https://bookmeter.com/books/14258933

■スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作ではみんなが「スマホ落としてへんし」とツッコミ入れていましたが、中田秀夫監督はオマケとしてちゃんとスマホを落とさせてくれます。第3弾も既に読んだ人ならば、中盤過ぎまで顔を見せないあいつが実はあいつなのか、でもここではいい人っぽいけれど、実はひどい奴やねんと叫びたくなることでしょう。つい浦野を応援してしまい、ゲスな警官がやられたときは心の中で拍手さえしました。続編あらいでかという終わり方。エンドロールが回り終わってから再び成田くん登場します。途中で退席しないで。
読了日:02月28日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/13210967

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