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『孤狼の血』

2018年05月20日 | 映画(か行)
『孤狼の血』
監督:白石和彌
出演:役所広司,松坂桃李,真木よう子,音尾琢真,駿河太郎,中村倫也,
   中村獅童,竹野内豊,ピエール瀧,石橋蓮司,江口洋介他

TOHOシネマズくずはモールで4本ハシゴのラスト。

この日のハシゴがいかに時間に無駄のないハシゴだったかと言いますと、
1本目『モリーズ・ゲーム』 9:05-11:35
2本目『ラブ×ドック』 11:40-13:45
3本目『ボストンストロング ダメな僕だから英雄になれた』13:40-15:50
4本目『孤狼の血』 16:05-18:25
どうです、完璧でしょ~(笑)。

原作は劇場公開の数日前に読みました。そのときのレビューはこちら
満点を付けたい小説で、映画化を担当するのは白石和彌監督。
めちゃくちゃ期待していたのですが、冒頭からゲロゲロ~。(--;

1988(昭和63)年、広島・呉原市(呉市をモデルにした架空都市)。
暴力団対策法成立直前、ここではふたつの暴力団が一触即発の状態。
一方は地場の尾谷組、もう一方は広島の五十子会をバックに呉原に進出中の加古村組。

呉原東署に赴任した国立大出の新人刑事・日岡(松坂桃李)は、
マル暴のベテラン刑事・大上(役所広司)とコンビを組むことに。
凄腕ながら暴力団との癒着の噂もある大上のやり方に、日岡は面喰らう。

そんななか、加古村組系列の金融会社の経理担当・上早稲(駿河太郎)が失踪。
暴力団絡みの殺人事件を確信する大上は、日岡を連れて捜査開始。
大上はずいぶんと尾谷組の若頭・一之瀬(江口洋介)に肩入れしている様子。
ヤクザと会うたびに金が入っているとおぼしき封筒を受け取る大上に、
癒着はまちがいないと日岡は考えるのだが……。

たぶん、原作を読まずに本作を観たら、それなりに面白いと思います。
しかし原作を読んでしまったら、なんだかいろいろとガッカリ。

思いっきりネタバレしますから、知らないまま観に行きたい人はご注意を。

まず、グロい。
原作とはずいぶん構成も異なっていて、上早稲の拷問シーンで始まります。
養豚場での拷問は、豚のお尻がどアップになったと思ったら脱糞。
画面の中央に肛門が映って、そこからクソですよ、クソ。これがもう耐えがたくて。
指詰めのシーンもモロ写し。痛い、痛いっちゅうの。

原作では最後まで描写のない、日岡が大上を内偵しにきた監察官だということ、
これが中盤には明らかにされます。
上司の嵯峨(滝藤賢一)に日岡が報告するシーンも半ばには登場。

原作と比べていちばんの不満は、日岡と大上の絆をちっとも感じられなかったこと。
日岡は大上を憎みこそすれ、敬ってなどいません。
また、大上と一之瀬の信頼関係も映画版では感じられず。
そもそも原作では一之瀬は大上に敬語で話していますしね。

原作にはいない薬局の娘(阿部純子)の存在や、
飲み屋の女将からクラブママの里佳子(真木よう子)への改変やら、
ちょっぴりつまらないものになってしまいました。
ヤクザや刑事の下品なダジャレもちっとも笑えないし。

白石監督じゃなければこんなに期待して観ることもなかったので、
それだけにガッカリ感が大きいです。
原作で感じた切なさも映画版ではなくなってしまったのがとても残念。
ガミさんにはパナマ帽を被らせてほしかったなぁ。
ただの警察vsヤクザ映画になっちゃった。
巷の評価は高いけど、白石監督の力量はこんなもんじゃないはずだと思うのでした。

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