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『窓辺にて』

2022年11月11日 | 映画(ま行)
『窓辺にて』
監督:今泉力哉
出演:稲垣吾郎,中村ゆり,玉城ティナ,若葉竜也,志田未来,
   倉悠貴,穂志もえか,佐々木詩音,斉藤陽一郎,松金よね子他
 
前述の『犯罪都市 THE ROUNDUP』を観たあと、109シネマズ箕面へ移動。
なんとまたしても“おひとりさま”、今年9度目っていつになく多い年です。
 
けっこう好きです、今泉力哉監督。
本作では稲垣吾郎を主演に起用、今泉作品常連の若葉竜也も出演。
 
フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は妻の紗衣(中村ゆり)と二人暮らし。
紗衣は売れっ子若手作家の荒川円(佐々木詩音)を担当する編集者
茂巳は紗衣がずいぶん前から円と浮気していることに気づいているが、
妻の浮気に気づいたときにショックを受けなかった自分にもっとショックを受けている。
 
茂巳はある日、某文学賞を受賞した高校生作家の久保留亜(玉城ティナ)の記者会見に出席。
受賞をさして喜んでいない様子の彼女に記者たちが戸惑うなか、
的を射た質問をした茂巳に留亜のほうが逆に興味を持ち、彼に声をかける。
 
一方、茂巳の後輩でアスリート選手の有坂正嗣(若葉竜也)は、
妻子のある身でありながら、タレントの藤沢なつ(穂志もえか)と浮気中。
妻のゆきの(志田未来)には気づかれていないと思っているが、
ゆきのは何カ月も前から気づいていて……。
 
相手が不倫中の2組の夫婦です。どちらもバレていないと思っているけれどバレている。
妻に浮気されている男は妻の浮気を知ってもなんとも思わず、
夫に浮気されている女は気も狂わんばかり。
どちらも元サヤに戻る話ならつまらなかったけど(笑)、これはこれでまぁありか。
 
しかし正嗣の相手=なつがあまりにいい子なだけに、この展開では彼女が気の毒にも思います。
彼女は正嗣のことが本当に好きで、正嗣のほうもただの体目当てではない。
悩み事があれば妻より先に相談できる相手。
なつには不倫が悪いことだという認識があるし、正嗣に不倫は似合わないとも思っている。
別れを彼女のほうから切り出すけれど、好きなときに連絡をくれていいと正嗣に言います。
でも、友だちとしてお茶を飲みに行くだけ。最大限でも焼肉止まりね。
こんないい子なのに、あの気のつえぇ妻のもとに正嗣が戻って終わりかよと思ったりも。
 
一方、紗衣の相手=円も、紗衣のことを本気で好きですが、こっちはなぜかあまり切なくない。
実は優れた物書きで、なのに自ら筆を折ってしまった茂巳。
売れっ子作家の円はおそらく茂巳に勝ちたいと思っているのに、
書こうとしない作家相手には勝負できないですよね。死人と張り合うようなもの。
茂巳が紗衣のことを書かなかった理由を、自分が紗衣のことを書いてみてわかったという円。
書いた時点でその人とのすべてが過去になってしまうというのは少し切ないけれど。
 
と、こうして書いてみると結構面白かったのかな。
でも、今泉監督の作品としてはピカイチではありません。
そうだ、切なさが足りない。

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