夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『グランド・ブダペスト・ホテル』

2014年06月12日 | 映画(か行)
『グランド・ブダペスト・ホテル』(原題:The Grand Budapest Hotel)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ,F・マーレイ・エイブラハム,エドワード・ノートン,マチュー・アマルリック,
   シアーシャ・ローナン,エイドリアン・ブロディ,ジュード・ロウ,トニー・レヴォロリ他

TOHOシネマズなんばにて、ハシゴの2本目でこれが本命。

必ず観てしまうウェス・アンダーソン監督の作品。
前述の『ニード・フォー・スピード』が地味な顔ぶれなら、
こちらはいつもながらの楽しい顔ぶれで、挙げたい人だらけ。

ほかにもウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ジェイソン・シュワルツマン
ティルダ・スウィントンハーヴェイ・カイテルトム・ウィルキンソン
それにほんのちょい役で美しきレア・セドゥ
ほとんどカメオ出演のビル・マーレイオーウェン・ウィルソンと、老いも若きもみな楽し。

時間軸は1932年、1968年、そして現代。
まずは現代が映し出され、とある国の国民的作家が語りはじめます。

1968年、ヨーロッパの東端に位置するズブロッカ共和国(架空の国)。
同国で生まれ育った作家が休暇を取って訪れたのは、グランド・ブダペスト・ホテル。
かつては栄華を極めたこのホテルだが、いまは閑散と寂れている。
そんな風情も好ましく、ゆったりと時間を過ごす作家。

ある日、ロビーにたたずむ老紳士を見かける。
口の軽いコンシェルジュによれば、老紳士はホテルのオーナーのゼロ氏。
自分のホテルであるにもかかわらず、彼が宿泊するのは従業員用の部屋。
なぜもっとも狭い部屋を選ぶのか。
作家が好奇心に駆られていると、ゼロ氏から食事に誘われる。

やがてゼロ氏は遡ること30数年、1932年のことを話しはじめる。

当時、グランド・ブダペスト・ホテルには“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴがいた。
ベルボーイとして雇われたばかりの移民の少年ゼロは、
グスタヴの言いつけをきっちり守り、仕事を忠実にこなして信頼を得てゆく。

そんな折り、常連客でグスタヴと懇意だった富豪のマダムDが殺される。
遺言が開示され、名画“少年と林檎”がグスタヴに遺されると判明したことから、
マダムDの遺産を狙っていた業突く張りの息子ドミトリーが激怒。

殺人の罪を着せられたグスタヴは逮捕されて刑務所へ。
ゼロはたびたび面会し、恋人の菓子職人アガサの協力を得て、
グスタヴと同房の囚人たちを脱獄させようと企てる。
脱獄に成功したものの、ドミトリーが刺客を送ってグスタヴの命を狙い……。

カテゴライズするならば「ドラメディ」という比較的新しいジャンルになるそうで、
これはドラマとコメディの要素をミックスしたものを指す造語だとか。

終始ニヤニヤしっぱなし。
猫が投げ飛ばされて無惨に死んでしまうシーンは、猫好きとしては悲しいですけれども、
あまりに漫画的なため、残酷さはありません。
指が切断されるシーンなども、つくり物すぎて笑えます。

曲者役者たちのユーモラスな演技を満喫、平面的な舞台背景も粋。
飛び出す絵本的な楽しさがあります。
シリアスな役柄の多いレイフ・ファインズエドワード・ノートン
いかつすぎるウィレム・デフォーやハーヴェイ・カイテルなど、
以前ならばこんな役にオファーが来るとは思ってもみなかった人が多いかも。
いまやこの監督の作品の常連になりました。み~んなとっても楽しそう。
こうしてこの監督に魅了され、ウェス・アンダーソンファミリーが増えるのでしょうね。

ただ、人にお薦めするかどうかを考えてみると、万人受けするとはとても思えず、
けなされると悲しいので、こっそり楽しんでおこうかと。

エンドロールの端っこ、パラパラマンガのようなコサックダンスもお見逃しなく。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ニード・フォー・スピード』 | トップ | 『ラスト・ベガス』 »

映画(か行)」カテゴリの最新記事